家の中で、ぐんまを旅する?|人に会いにいくバーチャル・ツアーをやってみた。
お出かけしづらい今こそ、ぐんまに旅に出ませんか。
…家の中で。
そんな呼びかけで、友人と「今、地方にあったらいいなあ」という新しいサービスをつくろうとしています。県内外から22名でおためし会をやってみました。
こんなモヤモヤ、ありませんか。
「家や職場だけだと、息が詰まる」「本当の気持ちを話せる場所がない」「一方的に、YouTubeやNetflixを浴びつづけるのに疲れた」。そんな声を聞くことが多くなりました。
私もそうで、何度かオンライン飲みに参加してみたのですが、興味のない話に「うんうん」と言い続けることや、同じような匂いのする人たちだけでつるむことに、疲れてしまうことがあります。
今、したい遊び
そんな今だからこそ、ふつうにしていたら会うはずのなかった「違う人」に出会ってみたい。そして、そして、お膳立てされたものを浴びるんじゃなくて、自分たちで探して、選んで一緒に作っていく遊びがしたい。そう思いました。
旅だなあ
くり返してスミマセンが、旅だなあと思ったんです。今こそ、旅をしたい。
それで、私たちは「ちか旅」というものをやってみることにしました。
やってみるといっても、実はこれ、2019年に、「近所のおもしろい人に会いにいく」旅イベントとして、めちゃゆるく、地元の友だちの市根井くんと始めたものです。
旅先は、ぐんまを生きる人の「人生|ライフストーリー」。語り手のここだけの話を聞いてから、焚き火を囲むように、ゆるりとトークセッションします。
ちか旅のこれまで
ちょっとだけ、ちか旅のご紹介をします。
コンセプトは「はやく遠くへから、ゆっくり近くへ」
こんな感じでやってきました。
福岡の友人が、「地元っこの遊び」と言ってた、それがしたい。
私たちって、お互いの事情を知らないと、「あの人なにいってんの!ムキーッ」ってなりがちで。そうすると、ヤなかんじで忙しくなっちゃいますよね。疲れるし。
ちなみに、このシャレオツな写真は全て市根井くん(ユザメ)によるもの。ちか旅のロゴは、同じ町内に住むマニアッカーズの佐藤さんです。製作陣も、ちか場です(笑)
遂に(?)オンライン化
今こそ「ちか旅」やりたいなあと。でも、お出かけできない。ぐぬぬ・・・と、友だちとオンラインで酒を飲みながら話しては、旅の風景写真を見たり、これまでとこれからの人生を案ずる(笑)話を、何度かしていました。そして、ある時思いました。「これ、旅じゃん」
やってみた
そんなことで、今大流行りのzoomを使って、ちか旅のバイブスを保ちつつ、群馬のローカルを楽しむバーチャル・ツアーをやってみることにしました。
参加者は、土の人(群馬県民の方)と、風の人(県外の方)で半々くらいでしょうか。またお仕事も、年代もバラバラです。
武田てるみさん@静岡県牧之原市から
まずはゲストハウスに集合して、気分を「旅モード」にするウォームアップをします。準備ができたら、歩いて群馬を散歩しなからおしゃべり。ちょっと参加型のノベルゲームみたい・・笑
そして、いよいよメインストーリーの中に入っていきます。今回は、友だちの渡邉くんに旅先となってもらいました。ご参加のみなさんが文字にしてくれた、その語りの記録をちょっとだけこちらにシェアします。
えもいわれぬ感じの写真(彼から送られてきた)
渡邉慎也|アウトロー教師(ただし合法)
小さい頃から教師とそりが合わなくて、近所の悪ガキだった。
毎日呼び出しを食らって、ゲームにのめり込んで、オタクの道へあゆむことに…。自分が何者かに迷って、それを探るために、考えるよりは体を張ってやってみることを覚えた。五重の塔のでかいオブジェを製作したり、近所を回って空き缶を集めたり。それでも、高校で落ちこぼれて、負のスパイラルから抜け出せなかった。
就職で悩む際に、恩師から「お前みたいなやつが教師になれ」と言われ、それが転機となって教師の道に。
運動会で着ぐるみ着たり、道徳の授業で子供たちを爆笑に誘ったりした。それは、子供達にとってより意味があるものにしたいという工夫で、生徒には好評だった。けれども、他の先生からお叱りを受けることが多かった。「道徳とは静かであるべきものだ」と。
もう教師をやめる!と言ったところ・・・
こんな感じです。
続きは、参加した人だけが知っています。
この後に、班に分かれたり、一堂に集まったりしながら、みんなで焚き火を囲うようにお話しました。ちょっとおもしろい仕掛けや、普段とは違うお話の仕方をしてみました。このパートこそが醍醐味かなという感じがします。
ここは、ほんとに記録するのが難しいところで。同じ旅に出ているんだけれども、みんな違う体験をしていたようです。まるで、人生の交差点というのか。参加された方が、「人って、それぞれ違うけれども、どこかで重なり合っているんだね」とおっしゃっていたのが、私にとっては言い得て妙でした。
そして、最後はこんな顔で終わりました。
参加した皆さんからのコメント
終わる前に、みんなで、今回のことをふりかえってみました。たくさんの声をいただきました。ほんとはもっと多いのですが、一部シェアします。
おうちで旅の体験
家にいながら、たしかに旅っていう不思議な感覚。
人と何かを共有するのは、景色や食べ物やどこにいったかよりも大きな体験かもしれない。おうちにいながらこんな旅ができるとは、正直思ってなかった。
ベロベロに酔った時に話すようなことを話したかもしれない。でも、酔った時と違って、話した後の後悔がない・・笑
ふつうのひとのほんとの話
普通の人、どこにでもいる人が、どんな思いで仕事に取り組んでいるかとか、今の仕事を選んだきっかけとか、そんなものを語ってもらえる機会は、初めて。
「自分はこういう人間だ。」とSNSで発信すること容易になった時代。しかし、そこで語られるストーリーは、何だか外向けで脚色されているようにも思う。その人の口だけでなく、身振りや視線、存在感などから発せられる混じり気ないその人を旅することが出来る。
生き方を問い直す
ストーリーを聞くことで、語る人の人生をなぞることができて、自分の人生も改めて振り返ることができる。
じぶんが中高生の時にちか旅に参加したかった!いろんな生き方の選択肢が、社会にあるんだって知れる。
過去の事実は変えられない。でも、その意味はいつでも変えられるのだと思いました。もし、ありのままの話を聞いてくれる人がいれば。。そうしたら、明日の行動はもっと確かなものになりそうです。
ここで知ってしまったことや、気づいてしまった可能性は、なかったことにできない。世界の見え方や自分の道の歩き方に、何かしらの変化がおきていくと思います。
健やかさ/あたらしいこと
今、おうち時間が多くなって。そうすると言葉を忘れたり、声さえ出にくくなって、どんどん具合悪くなっちゃうじゃない?自分の友だち以外の人と話ができて、環境や視点が違う人の話を聞くと、自分の新たな視点も生まれたり、声を出せるということで、とても良いと思います。
お互いの事情を知れると、やさしくなれる。新しいものが生まれる。よそ者の視点が、地域や人生を考えるために大切。
人への想像力を持つことは、効率的じゃなくて…難しい。「一輪車に乗れ」と言われても、すぐは乗れないのと一緒。言葉で知っているだけ、本を読んだだけでは、乗れるようにならない。でも大切なこと。それを、練習できる場ってこれまでなかったかなあ。
未来が変わるかも?
話し手の話を聞いて、もっとその人のことを知りたいと思った。「やっぱり聞き足りない」というムラムラを貯めるのがいいかも。回数重ねて、オフ会をやったらすごく楽しそう。群馬行きたい!
終着点を設けず、その人の内面をいったり来たりできるのが、「人を旅する面白さ」だと思う。このような安心して話せる場が増えれば、寛容な社会になっていくかなと思う。
これを違うストーリーと、違う参加者で重ねていったらどんなことが起きるのか、見てみたいです。
フレッシュレモンになりたいにょー♡
続けてみようと思う
オンラインって、リアルと違って、参加するみんなの波動?が伝わってこないので、ホストとしてはやってて不安でした。でも、このコメントを見るに、豊かな時間だったんだと思います。そもそも、クリエイティブでやさしい人が来ていただいたんだなあ…と。そのご縁に感謝しています。
この取組、しばらくは地道に続けようかなあ、と思いました。その理由は3つです。
1 個人:話し手が人気者になる
ストーリーの語り手を好きになっちゃう人が続出したようにも思います。もちろん渡邉くんがステキ野郎だからなんですが、彼自身やその事業のブランディングにもなったようでした。友だちが人気者になるのは、とっても嬉しい。
これは緊急に必要だと思っていて。もちろん、資金がショートしそうな飲食店など「喉が渇いて死にそうな人」に、今すぐ水がいくようにすることも大切です(私も金がなくて死にそう)。そんな時に、その人に「井戸の掘り方を学ぼう」と誘ったら、ひっぱたかれるでしょう・・。でも、時間がかかるからこそ、今始めないといけないと思います。
今、これまで通りの形が失われたからこそ、意味が問われてしまう。「それ、そもそもなんの意味があるの?その仕事が手段だとしたら、目的はなんなのか?」と。だから、今こそ、物語、世界観、哲学でブランドを作り、ファンを獲得していかないといけないのではないかと思っています。「井戸」というのは、その人の想いの源泉のことです。私は、渡邉くんのように想いのある友だちが、みんなにチヤホヤされてほしいという勝手な思いがあります。
2 つながり:居場所+旅先づくり
生きてて不安になることが多い時代です。だから、私は、安心できる「居場所」が欲しいです。でも、それって、すれ違ったら挨拶するくらいの「顔が見えるつながり」では、頼りなくて。土の人どうしの「お互いの背景が見えるつながり」が、より私はリアルな助けあいにつながるなと思いました。
また、それと同じくらい、私は「旅先」も欲しいと思います。変わっていかねばと思った時に、ちがう業種・多世代の人生が混ざりあって、あたらしいものを一緒に作っていく「旅仲間」がいるか。自分にとって「風の人」とのつながり。そういうことが、変わり続ける時代を生きていく上で、私は欲しいです。
3 地域社会:オフ会したくなる
「もっと知りたくてムラムラする。」「こんなに友だちが増えるなら、その人たちに会いに、わざわざ群馬に行きたいじゃん!みんなで町歩きしよ!」という声がありました。これって、関係人口のこと?ん〜、あたらしい「地元の友だち」って感じがします。
この取組は、まちづくりや観光という観点でも、面白そうです。コロナ禍が明けた時に、そのムラムラ?が発揮されるものかもしれませんね。
つまるところ、「ともだちづくり」だなあと思いました(つまりすぎ?)。今このわけわからん時代を生きていく上で私がほんとうに欲しいのは、「この人たちといるとなんかワクワクする。なんかできちゃいそう」という友だちだと思うから。せかせかと目先のお金があっても絶望することはあるけれど、そんな友だちがいる限りは、私は「にょー♡」という希望を持っていられます。
ということで、これは、各地でやってくださったら、是非とも私は参加したいと思いました。ホストばかりはチョット大変なので…誰か、やってください!
私は地元ぐんまで続けていきたいと思いました。とはいえ、私は、一人じゃがんばれない人です。でも、一緒にやってくれる人がいると、一人ぶん以上に、元気になれることがあります。
ぜひよかったら、これからもゆっくり近く、ご一緒してください。
次回のちか旅
それで、次回のお知らせです。
企画する私たちが「このひとの話を聞きたい」と情熱を持つ人をゲストにお呼びしたいと思っています。次回は、友だちの「かけちゃん」です。
掛川和輝|群馬県高崎市|地方公務員
〜あらすじ〜
小さな頃は、いつも周りから一歩遅れている、いじめられっ子。学生の時に、心の支えになる卓球との出会いと、大病による突然の別れで、人生が一変。紆余曲折を経て市役所に入って10年。仕事だけでは、自分が思うようには高崎のために動けないと思い、有志を誘って、まちなかでイベントの企画・運営などはじめる。趣味は自転車。
奥様とお子さんを大切にしながら、地域でチャレンジするかけちゃん。役所勤め10年の人生って、あまり語られてない物語と思います。「市役所の人として」「地域のプレーヤーとして」「父として」その人生の背景が見えてきた時に、どんな景色が見えてくるのかなあと、楽しみです。ぜひ私たちと、お話ししませんか。
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個人的に、ちか旅のテーマソングがキリンジのこの曲なので貼ってみました(蛇足)。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今日もすてきな一日を。
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