環境教育が役立つ理由と、それを学ぶと身につきやすい9つの力
2019年のグレタさんのブチ切れに象徴されるような、世界での機運の高まりに呼応するように聞かれる声の1つが「そんなあやふやなことを勉強しても意味があるのか」です。
そして、「気候変動なんてウソだ」「人為的なものではない」、「二酸化炭素が温暖化の原因なんて不確かだ」、「そうだとしたら、気候変動や地球環境について、学ぶことが無駄になっちゃうじゃないか」。
しかし、世界の国々、そして、私たちは気候変動について学ぶことをやめません。むしろ、それは成熟した国々においてさらに強化されています。
なぜでしょうか。これについて、2つの視点から考えてみます。本稿の本丸は、視点2なので、ぜひそちらをご覧ください。ともあれ、まずは王道の視点1から行きます。
視点1 今やらないことのリスクが高すぎる
「気候変動の原因が、CO2であり、ゆえに人為的なものだった」場合に、やらなかったことで起こる将来の危険性がガチで、やばすぎるからです。
その場合、このまま社会が脱炭素化しなければ、地球の温暖化はどんどん進んでいきます。
こんな感じに。
CO2が増える➡︎気温が上がる➡︎氷が溶ける➡︎海面が増える➡︎太陽放射熱を吸収しやすくなる➡︎気温が上がる➡︎氷が溶ける➡︎海面が増える➡︎太陽放射熱を吸収しやすくなる➡︎気温が上がる➡︎…自動&無限ループ
お気づきかもしれませんが、「CO2が増える」がなくても、ループが回っています。つまり、この無限ループがどんどん回ると、私たちがはっと気づいた時に、焦ってCO2の排出を止めても、もう手遅れです。もう止まりません。
ちなみに、このループの中で、永久凍土が溶けてしまうと、その中からメタンガスが出てきます。このガスの温室効果は、CO2の32倍の威力があると言われていますので、さらにこのループがドゥーンと大加速します。
図にすると、こんな感じです。
今の科学的な知見によると、今のままだと、未来の天気予報はこうなるようです。(環境省)
2100年のある日、仏壇や墓の前で、手を合わせる私たちの子どもや孫たちは、先祖の冥福を祈りながらも、こう言うでしょう。
「ねえ、なんでなにもしなかったの?」
今やらないことのリスクが大きすぎるんです。そして、そのリスクを負うのは、私たちだけではありません。むしろ、それを負担するのは、未来の世代たちです。
視点2 学びの切り口として優秀
気候変動の原因が、人為的なものであるか、自然のリズムの中で起きているかに関わらず、気候変動を切り口にして共に学ぶことは、有意義だと感じます。
たとえば、こうです。
・空間的、時間的に視野が広がる。地球規模で、ものごとを考えるので。
・持続可能性、つまり、「つづいていくこと」の戦略を科学的に学べる。
・科学的なデータを読み解く力がつく。科学の知見に触れるため。
・学際性に触れられる。哲学、経済、社会、自然を越境しながら学ばざるを得ないため。
・複雑さに慣れる。ごちゃごちゃと絡み合った因果関係(システム)の中での有効打を考えざるをえないため。
・不確実さに慣れる。仮説を立てながら、答えのないものを探求することになるため。
・多様性、つまり、違いをパワーにして新しいものを生み出す力。
・与えられた環境に合わせて自分を変えるだけでなく、自分たちの想いから環境を共に変えていく力。
上記のスキルは、気候変動でなくとも、今の経営環境で必要とされる力です。シンプルにいうと、気候変動というのは、ビジネス的にも社会的にも、人を賢くしやすい学びの切り口なのだと思います。
人の思考を自由にしやすいなと思うのです。つまり、思考の空間軸と時間軸が広がるので、無意識の思考の檻から解放されやすいのかなと。
ちなみに、実際にかっこいいんですよ、サスティナブルなビジネスって。たとえば、これです。スウェーデンのローカルバーガーショップ、マックス・バーガー。ローカル文化や健康の尊重しています。彼らのエリアからは、マクドナルドが撤退せざるをえなくなったとか。最近、植物のみのバーガーもはじめたようです。
これは企業努力でもありますが、それを成立させると消費者の意識の高さに、おしゃれさを私は感じます。消費者教育としての環境教育と言う側面もあるかもしれません。日本だと環境フレンドリーでは無い商品や、カルチャーへの配慮のない、あるいは、ブラックな働き方がまかり通ってしまうお店がいまだに一定の支持を受けていますね。
そんなことで、冒頭の問い「気候変動なんていうアヤフヤなものについて学ぶ意味なんかあんのか」に戻ると、「すごい役立ちますよ」というのが、今の私の考え方です。
そんなことで、次の時代を生き抜く力になりますので、お子さんにオススメです。そして、ぜひ大人も一緒に学びましょう。
広がりつつある気候変動について学ぶ場
私がお仕事させてもらっている、脱炭素&持続可能な社会に向けて、グローバルな目線を持ちつつ、ローカルで共にはたらく人の育成とコミュニティづくりをするプログラムです。
パブリックでもなく、プライベートでもなく、ローカル・コモンズの教育…「より主体的に、コラボする人が育ちやすい環境をつくる」ということを狙っています。ぜひご覧ください。
そして旅はつづく。
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