原電は、東海第二原発の新規制基準適合工事と寿命延長適合工事と特別重要事故対応施設工事を同時に24時間制突貫工事で対応しており(私は工事の現場を二回見学・調査)、岩盤立地の防潮堤の工事において(岩盤は、地下平均20 m、防潮堤は、海抜20 m)、サイト東側のごく一部の箇所のコンクリート打設において、図面どおりに、鉄筋が施工されておらず、コンクリートも適切に流し込まれていないことが分かり、そのようなことが、発見されたごく狭い範囲の問題なのか、それとも、突貫工事に伴う全体的な問題なのか
はじめに
原発の工事では、通常、マクロに見れば、
・安全審査申請書→安全審査→安全審査合格→安全審査申請書→安全審査→安全審査合格→設工認安全審査申請書→安全審査→安全審査合格→工事→使用前検査→稼働、
しかし、原子力規制委員会は、新規制基準適合安全審査に時間がかかるため、特例措置を認可し、マクロに見れば、
・安全審査申請書と同時に工事開始→安全審査→安全審査合格→使用前検査→稼働、
と、安全審査と工事を同時に実施、特例措置を実施したのは、九電力会社ですが、原電だけは、経営上の都合から、特例措置ではなく、通常方式を採用したため、安全審査に6年間かかり、その後、工事を開始、工期を短くするため、24時間突貫工事方式を採用しました。
突貫工事方式のプラス面とマイナス面
突貫工事は、工期を短くするため、やむをえず採用する工事方式であり、プラス面もありますが、マイナス面も多くあり、私がいつも利用しているAIによる検索結果を基に整理すると、以下のようになります、
・安全面での問題:突貫工事では、とにかく急いで工事が進められます。急いで工事を進めると起こりやすいのが事故です。突貫工事においては安全的な問題が発生しやすくなります。
・品質面での問題:突貫工事で仕上げた建物には品質面での問題も発生しやすいです。適切な工期で仕上げた建物と短期間で一気に仕上げた建物では品質レベルが全然違います。
・金銭面での問題:突貫工事になると、金銭面の問題も発生します。イニシャルコストが高くなるのも突貫工事の特徴です。また、ランニングコストも高くなりがちなのが突貫工事になります。
東海第二原発の防潮堤の突貫工事現場で生じた問題
原電は、東海第二原発の新規制基準適合工事と寿命延長適合工事と特別重要事故対応施設工事を同時に24時間制突貫工事で対応しており(私は工事の現場を二回見学・調査)、岩盤立地の防潮堤の工事において(岩盤は、地下平均20 m、防潮堤は、海抜20 m)、サイト東側のごく一部の箇所のコンクリート打設において、図面どおりに、鉄筋が施工されておらず、コンクリートも適切に流し込まれていないことが分かり、そのようなことが、発見されたごく狭い範囲の問題なのか、それとも、突貫工事に伴う全体的な問題なのかは、いまのところ分からず、工事済みの箇所は、すでに、コンクリートで覆われているため、中がどのようになっているのか、分からず、たとえ、同程度の問題が複数箇所、存在しても、いくら、安全性に影響しない程度の問題であっても、工事手順と品質管理について、再検討しておかなければならない問題です。
結びに代えて
私は、2014年4月より、静岡県防災・原子力学術会議原子力分科会委員を務めており、中部電力の浜岡原発3 & 4号機の新規制基準安全審査と工事内容については、中部電力から会合での報告や原子力分科会委員としての現場見学・調査のみならず、自身の仕事として、独自に、浜岡サイトの現場見学・調査を実施し、現状把握に努めてきましたが、調査の範囲内では、不適切な工事などは、確認できませんでした。
東海第二原発の問題は、突貫工事に伴う特殊な問題と断定できるのか、それとも、コンクリート構造物建設に伴う一般的な問題なのか、関心のある問題です。