諦めている人を減らす
●ナイツの漫才
塙「漫才は野球に例えられる。ボケはピッチャー、ツッコミはキャッチャー。あなたがどんなボールでも捕ってくれるから、僕は思い切ったボケができる。あなたは、漫才界の八重樫です!」
土屋「そういってくれるのはありがたいけど、なぜ八重樫?」
塙「キャッチャーでメガネかけているから、八重樫かなと」
土屋「その条件なら、古田にして」
塙「古田ほどではないな」
ナイツの名作漫才『野球寿限無』の一節です。延々18分もの長い漫才ですが、ぜひ最後までお聞きください。
伏線回収の何たるかを学ぶことができます。磨き込まれた一流の芸です。作った人天才ですわ。こんなトークができるようになりたい。
●古田敦也
古田敦也といえば、ヤクルトの黄金時代を支えた名捕手です。首位打者を獲得するなど、バッターとしても一流でした。選手兼監督もこなした、まさにミスタースワローズと言われる存在です。
彼は大学時代から捕手として勇名を馳せていましたが、ドラフトにはかかりませんでした。その理由は、「捕手でメガネをかけているから」。本人にとっては相当な挫折だったようです。彼は結局トヨタ自動車に入り、社会人野球を経験してからプロ入りしています。
彼はプロ野球選手として何度も優勝し、MVPやタイトルも取るなど数々の記録を打ち立てました。
しかし、引退後のインタビューで「一番誇れる記録は?」という質問に、「記録ではないが、メガネをかけてやってこれたこと。目が悪くてメガネかけたプロ野球選手はダメだって言われた。けっこうたくさんの人に“メガネかけててダメと言われたけど、古田選手のおかげで野球を続けてます”と言われて、やった甲斐があったと思う」と答えています。
●大谷翔平
大谷翔平の目標は、ホームラン王や最多勝ではありません。WBCやワールドシリーズでの優勝でもありません。年棒●億円でもありません。
「二刀流はダメと言われ続けてきたが、頑張って反対意見を覆してきた。何かがダメと言われて諦めている人を、一人でも減らしたい」というのが彼の目標らしいです。
若いのに、大したもんです。もっとも、彼クラスになると若いとかいうこと自体が無意味なんだと思いますが。
●就職学生
先日、就職学生と食事をする機会がありました。
私はお酒を飲みませんが、彼はそれを見て「お酒飲まないのに営業できるんですか」と言っていた。
わけわかっていないくだらん大人が、そんなしょうもないことを優秀な彼に吹き込んで、彼の可能性を縮めてしまっています。私は憤りを覚えました。
営業というのは、クライアントの課題解決のために一所懸命に思考して行動する能力が最も必要なわけであって、酒を飲むとかゴルフをするとかは、営業の一科目にしか過ぎません。ある科目が苦手なら、他の科目で覆せば良いのです。
そういう本質を突かずに、親からもらった体質という覆しようのないことを理由に、若い学生の進路に制約を加える大人の存在に憤りを覚えました。
アホか!
●諦めている人を減らす
いずれの事例も、「何かを理由にして、何かを諦めている人」の存在が論点です。
妻の反対に遭って転職や起業を諦める人も多いと聞きます。嫁ブロックというらしいです。反対を押し切って踏み切るほどの覚悟がないと成功は覚束ないので、意思決定に必要な障壁なのかもしれませんが。
「何かを理由にして、何かを諦めている人」に自分もなりたくないし、自分の周囲からそういう人を減らしたい。そういう良い社会になるための第一歩として、自分も(大谷翔平はやはり世代が違うので)古田敦也のように頑張って実績を残したいと思います。同じメガネですし。
まずは、老眼を理由に勉強を諦めている人を減らすのを目標にします。目標小さいかな。