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父が事故を起こした時のこと

2022年9月のこと、高齢の父が自動車で事故を起こしました。居眠り運転で駐車場に突っ込み、停めてあった2台の車を破損させました。
不幸中の幸いにして、本人も含めて死傷者はゼロ。
その事故をきっかけに免許返納を強く勧めましたが、説得に応じず、返納しませんでした。
高齢ドライバーのニュースを見るたびモヤモヤするので、吐き出すために記事にしてみました。


父について

まず、父の人物像に触れておきます。
当時、74歳でした。

仕事人間で、多趣味を自称しているくせにものぐさで、家では寝そべってテレビを見ている姿しか見たことがありません。定年退職してからはそれに拍車がかかり、たまに起きては「寝てばっかだから腰が固まった」と発言するくらいがせいぜいでした。

基本的にネガティブで、会話をすれば「興味ねぇ」「つまんね」「金もらってもやりたくね」しか言わないので、家族も話しかけませんでした。その何でもかんでも否定するのやめたほうがいい、誰も話しかけられなくなる、と注意しましたが、「思ったこと言ってるだけなのに何がネガティブなんだ」と怒り出すので、いよいよ家庭で孤立していました。

車の運転が趣味だった節があります。すべてにおいてものぐさで、自分のためにも人のためにも何もしないのに、車の運転だけは頼みもしないのに買って出る人間でした。ちょっと出掛けてくると言えば、どこまで?送ろうか?と言ってくる感じです。家の近くや直進できないT字路ではウィンカーを出さなくていいと思っている節があり、それを助手席から注意すると不機嫌そうに無視をするクソジジイでした。危なっかしい運転をするたびに「もう免許を返納してくれ」と何度も伝えていましたが、そのたびに喧嘩になりました。それに疲れて僕は、彼の運転する車には乗らなくなっていました。高齢の母は、出掛けるには父の運転に頼るしかなく、たびたび同乗していたようです。「最近、お父さんの運転が怖い」などと言っていたので、僕と同じような経験をしていたと思われます。

父は、テレビで高齢者の事故を見るたび、「なんで踏み間違えなんかするんだろうな。絶対ありえないだろ」と呆れ顔をしていたことを覚えています。
思い出すと腹が立ちますね。

事故当日

ある土曜日のことでした。秋の彼岸で、父親は、墓参りに出かけました。道が混むからと、店も開いてないのに、9時ころに出発して行きました。

そこからの細かい足取りは不明ですが、父は14時ころ事故を起こし、母に電話で伝えてきました。本人の話によると、墓参りを終え、定食屋で昼食をとった帰りに事故を起こしたとのことでした。電話を代わると、本人はピンピンしていて、バツが悪そうに言い訳がましいことを言っており、要領を得ませんでした。割と自宅から近かったため、当時は実家暮らしだった僕は、すぐに自転車に乗って事故現場へ向かいました。

なんでこんなところで?と思うくらい見通しの良い直線の道だったので、事故現場はすぐわかりました。パトカーのランプが光ってますし、見慣れた実家の車が傍らに置いてありました。

近付くと、思ったより酷い事故で、目眩がする思いでした。冒頭触れましたとおり、2台の車が破損していました。1台はバンパーが外れるくらい衝撃を受けており、玉突きでもう1台、側面がへこんでいました。こちらの車は側面がぐしゃぐしゃ。野次馬が集まってきて、恥ずかしかったことを覚えています。よくこれだけ激しく突っ込んでおいて、本人はかすり傷一つ負わなかったなと思いました。

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