アルコール依存症:『断酒さえすれば良くなる』は幻想、現実的に考えましょう

重度アルコール依存症の kiyopi です。

最近は、アルコール依存症でない人でも断酒について語ったり配信するようになって、プラスの面だけがやたらとクローズアップされているように思います。

ですが、依存症者やその家族においては、断酒して変わることもあれば変わらないこともある、解決することもあれば解決できないこともあるメリットもデメリットもあるのが断酒です。

今回は、断酒がもたらすことについて、自分・自分たち家族にとっては、を現実的に考えて把握してみましょう。

今回も紙に書き出して視覚化し、しっかりと把握しましょう。


①断酒したら何が変わりますか?

世間的に言われているのは、健康状態の回復、集中力の回復、思考力の回復などがあります。
家族からしてみれば、色々な酒害が無くなる、という事が大きいと思います。
思い付く限り書き出しましょう。


②断酒しても変わらない事は何ですか?

断酒したからと言って、依存症者の性格は変わりません。
失った信用や信頼は、ほぼ取り戻せません。
崩れた家族関係も、お互いが信用し合えない限り修復できません。
家族においては、依存症者を信用出来る様にならない限り、飲酒される不安も恐怖も無くなりません。
元から抱えていた精神疾患は回復しません。
元から抱えていた悩みや苦しみも無くなりません。
元々、暴言や暴力のあった人は、断酒したからといって直りません。
お酒によって失った職や資格も回復しません。
興味のある事が見つかったり、好きな事が見つかったり、趣味が持てる訳でもありません。
思い付く限り書き出しましょう。


③断酒によって増える事を考えましょう

(人によって違いはありますが、僕の経験や実体験が元の聞いた内容です。参考に)
料理酒やみりんが使えなくなります。
食品の成分に酒成分が入っているか気になるようになります。
そういった食品を買えなくなくなります。食べられなくなります。
依存症者が一緒にいる時は、外食もほとんどできなくなります。
外出や旅行に気を使います。出来なくなる人もいます。
『飲んではいけない』という義務感を抱えます。こじれるとお酒に対する恐怖や憎しみを抱える事になります。酒売り場やその周辺を避けたりする人も多いです(とにかく視界に入れない)。
子供の習い事の打ち上げや地域の付き合いなどの飲酒の場に依存症者を出席させられなくなります。欠席する事へ家族が引け目を感じたり、人間関係が崩れたり、代わりに他の家族が参加する手間が増えます。本人は罪悪感や劣等感を感じたり、イライラしたり、鬱鬱としたりする人もいます。子供を見張りに付けるパターンもあります。子供にとってはアダルトチルドレン化を起こす要因になります。
職場の飲み会への欠席で人間関係が崩れたり、出席しても飲めない事によるイライラや鬱々を起こしたりします。


いざ書き出して、メリットとデメリットをしっかりと把握してみると、依存症者やその家族にとってのメリットは少ないという事が分かると思います。
断酒はメリットばかりが独り歩きして幻想ばかりが蔓延しています。

しかし、デメリットもしっかりと把握できさえすれば、何が問題であるのか?どうしたらいいのか?そういったことも考えやすくなります。

僕としては、断酒なんてものにこだわるから問題が増えると思っています。
目指してほしいのは断酒ではなく、回復です。
今回見えた内容を元に、自分は、家族は、何を回復したいのか?よく考えてみて下さい。

断酒って何なんでしょうね?
回復って何なんでしょうね?
本当に自分にとって安心できる形とは何なのか?求める形とはどんななのか?その答えを出してみてください。
それが、あなたが目指すべき回復の形ですから。


今回は以上です。
参考にして頂けたら幸いです。

あなたが回復に向かえますように
ご家族様の傷や苦しみが癒えていきますように

最後まで読んで頂きありがとうございました。


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