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小学生のSNSとの付き合い方を考える
皆さん、こちらはご存じでしょうか?
オーストラリア、16歳未満のSNS利用を禁止する法案を可決
2024年11月29日、オーストラリアで16歳未満の子どものSNS利用を禁止する法律が可決されました。この法律は、X(旧Twitter)、TikTok、Instagram、Facebook、Snapchatなどを対象に、16歳未満がアカウントを作成できないように義務付けるものです。
違反した場合、事業者に最大約50億円の罰金が科される可能性があるとのことです。
法案の背景は?
SNSでのいじめや有害なコンテンツが子どもの心の健康に深刻な影響を与えるとの懸念から、子どもを守るための年齢制限が導入されました。2025年中に施行予定で、プラットフォーム運営者には年齢確認システムの導入が求められています。
賛否両論の声
子どもをオンラインの危険から守り、親の安心感を高める画期的な一歩という声もあれば、年齢確認の実効性やプライバシー保護、若者の孤立への懸念があるとの声もあります。
利用を禁止するだけで良い?
現在、小学校では1人1台タブレット端末が提供され、授業や宿題など様々な場面で活用されています。
これにより、インターネットを利用することは当たり前のこととなり、子どもたちにとってもデジタル技術は日常の一部となっています。
特に高学年になると、発表をパワーポイントで作成するなど、デジタルツールを積極的に使いこなしており、時代の進化を感じざるを得ません。
インターネットは今や欠かせないものとなっており、利用方法を学び、正しく使うという方針です。
SNSの利用状況はどうでしょうか?
東京都教育委員会 令和5年度の「児童・生徒のインターネット利用状況調査」によると、小学校におけるSNSアプリの利用状況は、YouTubeが82.8%、LINEが38.5%、X(旧Twitter)が6.7%、Facebookが3.3%、Instagramが11.7%、TikTokが24.1%となっており、思った以上に多くの小学生がSNSに関わりを持っていることがわかります。
令和5年度「児童・生徒のインターネット利用状況調査」調査報告書
これを見ると、SNSの利用はもはや一部の特別なものではなく、日常的な存在となっていることがわかります。
特に、親の影響で小さい頃からYouTubeを見ていたり、SNSを利用している子どもも多いと考えられます。
実際、TikTokやInstagramなどに投稿してみたいという1年生もおり、SNSに対する抵抗感が少ないことがわかります。
しかし、これには潜むリスクも多く、子どもたちは動画が公開されることや、その後回収ができなくなることを理解していない場合が多いのが現実です。
SNSでは、いいねやコメントが集まることが嬉しくて、次第に個人情報を公開してしまう可能性があります。これがトラブルを引き起こす原因となることも考えられます。
インターネットのトラブルはどれくらい?
先ほどの調査報告書にて、令和5年4月からこれまでの期間において、インターネットを利用したことでトラブルや嫌な思いをしたことがある小学生は7.0%でした。
その中でも「メールやSNSに書き込んだ文章が原因で友だちとけんかになった」というケースが42.8%を占めています。
また、「グループ内や、誰もが見られるところで、自分の悪口や個人情報を書かれた」という経験をした子どもも24.3%いると報告されています。
それにも関わらず、トラブルがあっても61.2%は「がまんした」と答えており、家族に相談したのは33.3%に過ぎません。
このデータからも、子どもたちがSNSでのトラブルに対して十分に対処できていない現状が浮き彫りになっています。
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SNSの利点とリスク
とはいえ、SNSには良い面もあります。
SNSには、情報収集が速く広範囲にでき、世界中のニュースや関心のある分野の情報をリアルタイムで得られる利点があります。
また、人とのコミュニケーションが広がり、遠くにいる人や普段接することのない人とも簡単に繋がることができ、異なる文化や考え方を学ぶ機会にもなります。
さらに、SNSは自己表現の場として、自分の考えや創作物を共有でき、自己肯定感を高めることにも繋がります。共通の趣味を持つ人々と繋がることで支え合うコミュニティを作ることができ、孤独を感じている子どもたちにとって仲間を見つける手助けにもなります。
これほどの利点がありつつも、SNSは情報を受信するだけのインターネット検索とは異なり、双方向のコミュニケーションを必要とするため、リスクは高いと言えます。
実際に使って失敗して学ぶという意見もあるかもしれませんが、それが最良の方法だとは言えません。
特に、トラブルや嫌な思いを経験してから学ぶことは、あまり望ましくありません。
保護者の管理下で利用すれば大丈夫?
SNSの利用についてはルールを決めて、保護者の管理のもとで利用するという方法もありますが、果たしてそれが十分に機能するのでしょうか?
保護者は忙しく、常に監視できるわけではないのが現状です。
SNSのアカウント作成には年齢制限が設けられており、Instagramの場合は13歳以上でないとアカウントを作成できません。
ただし、保護者が管理しているアカウントであれば、13歳未満でも利用が許可されていますが、実際にどこまで管理が行き届いているかは疑問が残ります。
それならば、オーストラリアのように、一定の年齢に達するまでSNSのアカウント作らせず禁止するという方法も一つの選択肢として理解できます。
しかし、実際にこの方法が効果を発揮するかどうかはわかりません。
本来的には小学生自身が使い方を学ぶこと
本来、小学生がインターネットやSNSの使い方をしっかり理解し、実践できることがとても重要です。
例えば、SNSでの個人情報の管理方法や、不適切なコンテンツを避ける方法を学ぶことが大切です。また、インターネットを使うことで得られるメリットを理解しつつ、過度に「いいね」やコメントに依存しないようにすることも重要です。
さらに、インターネット上の行動が現実世界に影響を与えることを教えることが大事です。オンラインでの言動や投稿は、一度公開されると簡単には消せないことを理解させ、他人を思いやる気持ちを育てることが必要です。
誰が教育を行うのか?
小学生の教育は、学校と家庭の両方で行う必要があると考えられますが、どちらがどのように行うべきかには議論の余地があります。
学校はインターネットやSNSの基本的なルールやリスクを教える場として重要です。
一方、家庭では親が日常生活の中でネットの使い方や時間制限、リスク管理を教える役割を担います。
しかし、どの範囲まで学校が教育すべきか、どこまで家庭で管理すべきかについては、明確な線引きが難しく、それぞれの役割についてはまだこれからだと考えます。