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ロックへの道 ~人は見た目が100%

短大卒業を間近に控えたある日、バンドの練習からの帰り道、警察に止められた。

「おい!君!」

まさか自分に言われているとは思わず、スルーした。
もう夜中12時くらいだったし早く帰りたかった。

「おいこら!待て!!」

ビックリして自転車を止めた。

「これは君の自転車か?!」
「はい、そうですけど・・」

警官は私の頭からつま先までを眺めて、

「身分証明書出して」

と言った。
カバンの中からごそごそと学生証を出した。
すると警官は、女子の姿で写っている学生証の写真と、
スイサイダルファッションでキメキメの私を何度か見比べた。
どうやら私の事を、男だと思ったらしい。
私は身長が高いのでよく男子に間違われることもあったので、
またか、と思った。
しかしこの日は特にひどく、ボロいネルシャツに軍パン、ニット帽を深く被り、ジャングルブーツを履いていた。
父に朝、「おぅお前戦争行くんか?!鉄砲もってけ!」とジョークを言われたところだった。

「自転車の登録を確認する」
といって、警察は自転車の登録番号をどこかに問合せて持ち主確認している。

完全に自転車泥棒扱いされている。

30分くらいかかったろうか、私の容疑は晴れ、解放された。

そしてほんのその2,3週間後、私は同じような時刻に同じ場所でまた警察に止められた。

「はーい、ちょっと止まってくれるかな?」(ニコやかに)

あれ?なんかこの前と感じが違うな。同じ人っぽいけど。

「ごめんなさいね、最近自転車の盗難が増えているので、念のため皆さんに聞いてるんですよ。これはあなたの自転車だよね?」
「はい、そうです」
「そうだよね。遅い時間だから気を付けて帰ってね。」
「はい・・」

ものの30秒で釈放された。
何故ならその日は珍しくスカートを履いていた。女子の格好をしていたのだ。

なるほど、社会とはそういうものか。と学生の私は思った。
警察は特に外見や挙動で人を見る。
だから詐欺師は清潔感があって感じの良い人が多いのだ。
なのであまりにも清潔感に溢れ、感じの良い人を私は常に警戒している。
大抵が本当に良い人で、疑って悪かったよ、、と後で思うんだが。

その後お付き合いをしたバンドマンの彼氏なぞはいかにも見た目が怪しいのでしょっちゅう職質をされていた。貧乏で痩せているだけなのに、シャブ中なんじゃ?と噂されたりしていた。

社会とはそういうものだ。お巡りさんお疲れ様です。
生涯何回職質されたか?でロック度を測る事もできるのではないか?

歌舞伎町では100%職質にあうロクデナシ

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