正規社員と非正規社員の待遇格差
日本郵便の待遇格差の是正を求めた3件の訴訟で、最高裁はいずれも不合理として日本郵便側の上告を棄却した。
この裁判は、各地の郵便局で配達や集荷を行う契約社員らが、正社員と同じ業務をしているのに手当や休暇の待遇に格差があるのは不当だと日本郵便を訴えたのである。
最高裁は2日前の非正規の労働者のボーナスと退職金をめぐる判決では、不合理な格差に当たらないとする判断を示しており、敗訴した非正規社員などから強い批判を受けており、ニュースで大きく取り上げられていた。
それだけ神経をとがらせる問題だけに世間の注目を浴びていたが、最高裁もそれらに若干配慮したようにも思える。この判決であくまで個別にケース・バイ・ケースの判断になるようである。
この問題は、同一労働や待遇格差の線引きは難しく、今後、各企業は非正規の扱いに苦労しそうだ。非正規には嬉しいニュースだが、これで正社員の待遇が悪くならぬようにしてもらいたいもの。
そもそも正規社員と非正規社員がたまたま同一の仕事をしていた時まで、「同一労働同一賃金」が適用される訳ではないが、勘違いしてやたらとむやみやたらと、権利を主張してくる非正規社員が増えたら会社もたまったものではない。
有期労働者と無期労働者のどちらも雇用している会社や店は、双方の労働条件について、再度チェックすることが必要だ。そうしないと文句言いは必ず何か言ってくる。
但し、この規定は有期労働者と無期労働者の労働条件を完全に同一にすることを要求している訳ではないという事を認識することが必要である。有期労働者と無期労働者では、与えられた仕事の内容、仕事量や、責任の程度、配置転換や転居を伴う異動の有無などの点で違いがあるのは当然である。その違いを認識したうえでそれらに沿った労働条件であれば何の問題はない。
例えば、飲食店でたまたま社員とバイトが同じ接客や作業を同じ労働時間でやっていたとしても、その一現象を捉えて、「同一労働・同一賃金」にする必要はない。
しかし、あまりに待遇の格差が生じている就業規則等であれば、そのような格差が妥当な範囲に収まっているかを十分に検討し、必要であれば条件の変更を行う必要がある。
国も「同一労働・同一賃金」のルールを進めている中で、同一の基準が曖昧だから起きる問題。コロナで加速する「働き方改革」と仕事に人を当てる「ジョブ型雇用」の推進が急がれる。働き手の労働意欲と能力を向上させるには、明確な基準による正当な評価と適正な処遇で応えねばならない。