非接触型運営が求められる飲食店
感染対策の為、非接触型運営が求められる飲食店。入店案内~食事~レジ会計・持ち帰りを店員が関与せず、自動化・機械化されている回転寿司。接客と高度な技術による調理が飲食店にとっては付加価値創出の源泉。その中でもレジ会計は再来店を促す最後の接客だから、人が対応する方がいいと思うが、今の時期は仕方ないか。外食の特性が薄れ残念ではあるが、それでもそういった制約条件の中でも満足度が高い仕組みを確立した「スシロー」はさすがである。
そのコロナ禍でも業績好調な回転寿司の中でも先頭を走る「スシロー」は明日から12月10日の期間、平日の15時から閉店迄の時間限定で通常100円で提供している黄色皿を1皿90円で提供するようだ。単なる値下げで収益を目減りさせるのではなく、合理的基盤が確立されているスシローだから、この値下げによる集客で売上が増えれば利益が向上するのだろう。その仕組みができていない店が追随型ディスカウント戦略を採用しても疲弊するだけである。
「スシロー」はますます2位以下を引き離すか。
他方、吉野家の牛丼が牛肉価格が高騰している事に加え、円安というダブルパンチに見舞われた為、387円(税込)だった並盛を39円値上げし、426円(税込)になった。また牛丼御三家の中でも最も低価格だった松屋も320円だった並を60円値上げし380円(税込)にしている。会社員のランチは段々辛くなってきているのが実情である。
新規のコロナ感染者が激減し収束しつつある中、営業制限を緩和し通常営業になり客が戻りつつあったが、長くは続かず先が思いやられる飲食店。そんな厳しい中、追い打ちを掛けるのが食材価格の上昇。メニューの変革や仕入れの工夫でこの難局を乗り切ろうと頑張るが、顧客と店の最適な利益配分の設定に苦労する。中長期視野に基づき経営ができるか否かは店の体力次第である。
加えて、経営資源の中でも重要な人材だが、店舗の再生にまだまだ時間を要しそうな外食店が多いから、それだけに雇用に関しても慎重だ。長期に渡る営業自粛で相当に減った外食の従業員は、コロナ過でも堅調なコンビニやドラッグストアに転職した人が多いようだ。「お客様の美味しかった。ありがとう」を励みに頑張っていた400万人位の飲食店の従事者は、そのまま帰ってこないのだろうか寂しいもの。
また飲食、宿泊、生活関連サービス、娯楽業などの業種は、コロナの影響により売上が激減した業種。政府の支援策にその場は支えられたが、これから大変に重い負担を強いられる事になる。無利子融資でも据え置き期間を過ぎれば返済が始まる。収益力を回復できない企業が大きく膨れ上がった債務を返済できない事が心配である。これからが正念場であるが、何とか事業継続ができるように踏ん張りたいところである。