清方

画家・絵画教室をやっています。 絵についての話がメイン。 履歴→ kiyokata.jp

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    毎週火曜は京都•出町柳のGACCOHで絵を描こう!

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働く人びと

神戸市立小磯記念美術館にて開催中の「働く人びと」を見た。 「働く人びと」は、小磯良平生誕120年を記念した企画展示。小磯良平の大作「働く人びと」を中心に、小磯が生きた戦後日本から現代までの様々な美術家の作品を通してヒューマニズムを炙り出す試み。 同年代のアーティスト、乙うたろう氏が出品していることからこの展示を知った。 乙うたろう氏は、美術家にとって働くとは?というテーマの最終章で紹介されていた。 展覧会の構成は、戦後日本の混乱の中働く人々、労働運動や、社会の中で、家庭の

    • 家族の話

      今年の春にKと石垣島に行った時の話。 カヤックに乗ってマングローブの森を散策することになり、個人の方が夫婦で運営されている小さなツアーに参加した。 その日は僕らの他に一組、親子連れが一緒に来ていた。 40代くらいのお父さんと小学生の息子さん兄弟二人。 僕ら2人とその親子と合わせて5人で、カヌーに乗ってマングローブ林を探検することとなった。 その親子は何度も石垣島に来ているらしく、シュノーケリングや釣りなど、色んなアクティビティを連日行っているようだった。一方でお母さんは

      • 僕とLGBT法案

        性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解増進法、通称LGBT理解増進法、が成立しました。 この法案をめぐる特にこの1週間、SNSでその動向を共にする中で、わたしの心はぐちゃぐちゃになりました。まるで道端の吐瀉物のように。焦燥感の中、無力で、苦しかった。しかし法案が成立した今、大袈裟では無く、歴史の転換点に立てたことの喜びと感動、そして少しの不安の中にいます。 「LGBT」のゲイの当事者として、この記念すべき瞬間に何か書いておきたいと思い、ずっと考え

        • Queer

          「お前みたいな変態がいるから僕ら普通のゲイが差別されるんだ」 ナイモンで突然、投げ掛けられた言葉。 それまで楽しくやり取りをしていたのに、 セックスの話になった途端、相手から非難、罵倒、人格攻撃が始まった。 「異常」 「普通じゃない」 「恥ずかしい」 「感覚がおかしい」 「家族が悲しむ」 「親に愛されずに育ったんだろう」 「ゲイなんて変態ばかり」 「一緒にされたくない」 「ゲイの世界は汚らわしい」 「ゲイなんて差別されて当然だ」 「ゲイバーもプライドパレードも大嫌い」

        働く人びと

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          映画のレビュー

          映画「his」を見ました。 2020年公開の映画でした。 見る前からある程度分かっていたのですが、やはり僕は評価できませんでした。 面白くありませんでした。 なぜかと言うと、所詮は同性愛をネタにヘテロ向けに作られた商業映画だからです。 こういうことを言うとただのひねくれ者のように見えるかもしれません。 が、実際、僕にとっては不要なシーンばかりでした。 例えば主人公が仕事の飲み会でゲイか?と茶化され自身のセクシャリティを隠すシーンなどは不快すぎてゲロ吐きそうになりました。 子

          映画のレビュー

          夏に殺される

          この記事は、実際に人の命を奪う可能性がある。 決して記事の内容が悪いわけではない。しかし、読む前に、読めば心を壊す可能性があるという事前注意が欲しいし、読んだ後には精神的なフォローが欲しい。まぁ読まずとも、センセーショナルな見出しの時点で防ぎようがないのだけど。 これ、若者や子どもが読んだら結構な割合で自死する人が出てくると思う。 なぜなら、僕も自死しようとした経験があるから。 一回目は高校生の頃。 二回目は大学生の頃。 理由は、自分は生きていても幸せになることはできな

          夏に殺される

          Kのこと 5

          Kとの関係に少し進展があったので書きたい。 先日、両親にKを紹介した。 まず僕自身のセクシャリティについて初めて自分の口から親に説明をして、僕のパートナーとしてKのことを話した。 その後、Kを実家に連れて行って、顔合わせをしてもらった。 いわゆるカミングアウトについて、僕は否定的な考えを持っていた。 なぜなら自分にとって、セクシャリティは自分の言動と常に同期していて、表裏一体の関係で表現されるもので、わざわざ言語化する必要を感じなかったから。また、人間が元々多様であるとい

          Kのこと 5

          Kのこと 4

          Kと出会って2年くらい経った頃、一緒に住むことを僕は提案した。 ちょうどお互い引っ越すタイミングというのもあり、自然な流れだった。 Kは了承して、僕らは同棲することになった。僕は嬉しかった。人生でこんなに嬉しいことは今まで無かった。 まずは二人で物件を探した。というより、僕が部屋を見つけてKに確認を取ったと言う方が正しいけれど。不動産屋に一緒に出向いて、二人で何軒も下見をした。僕は絵を描く・絵を置くスペースが取れることが絶対条件であり、そのせいでKには苦労をかけた。 なんと

          Kのこと 4

          Kのこと 3

          Kとは通天閣にも行ったし、祇園祭にも浴衣を着て一緒に行った。色んなところに行った。 K「僕がおれへんかったら、こんなところこーへんかったやろ?」 僕「そうやな」 K「感謝しいや」 こんなやり取りをよくした。 それはお互い様だろうと思ったが、その通りだった。Kも友達が少なかったが僕はそれ以上に友達が居なかった。そのことをKは分かっていてマウントを取ってきたのだ。僕は少しイラッとしつつも同意した。そう言うとKが喜ぶことを分かっていたから。 初めての旅行は長野県の開田高原だっ

          Kのこと 3

          Kのこと 2

          Kとの出会いは9年前の春。大学卒業してすぐくらい。当時の僕は社会人として、まともに生きようとしたがっていて、絵を描いていた自分を捨てたいとすら思っていた。美術以外での人間的な暮らしがしたかったから。大学生の頃は、はっきり言って絵以外はあまり良くなかった。高校生の頃はもっと最悪だった。まぁそれは置いといて。 Kのことは所謂出会い系アプリで見つけた。今で言うマッチングアプリのことだけど、当時はそんなに知られてなかった気がする。通称赤アプリと呼ばれるもの。今は廃れてて、専らナイモ

          Kのこと 2

          Painting Love

          enartsで開催しているグループ展を見てきました。 展覧会詳細 京都市立芸術大学出身の画家5名の作品が展示されています。 皆さん僕の先輩にあたる方々で、年代的に一回り上、80年代生まれの作家になります。 高校生の頃、京芸の卒展で、関口正浩さん、松田啓佑さんの作品に初めて出会いました。 たしか学内展だったと思う。関口さんはカラフルな油絵の具の塗膜をコラージュしたような作品で、松田さんは激しいストロークで巨大な排泄物を描いていた。その時の光景は印象によく残っています。 当

          Painting Love

          油絵の肖像画

          今年から、肖像画を制作しています。 それはよりプライベートなもので、友人やインターネットで知り合った方々をモデルにして描いています。 手順としては、実際に、目の前でモデルになってもらい、スケッチを重ねます。その時に使用するのは水彩です。それは最終的に、油絵に仕上げることを前提としています。油絵のモデリングを水彩で行なっている感じ。 最も重要なのは顔の造形です。 それは尖っていたり、傷付いていたり、柔らかい貝殻のようであるべきです。 もう一つ大切なことは、モデルと見つめ合う

          油絵の肖像画

          「キャラクター絵画について」について

          パープルームギャラリーでの企画展「キャラクター絵画について」を見てきました。 (その日は弾丸アートツアーが敢行され、国立近代美術館ゲルハルト・リヒター展、タカイシイギャラリー梅津庸一個展、六本木アートナイトのドラえもん&カイカイキキギャラリーのドラえもん展、MA2ギャラリー元永定正×岩名泰岳コラボ展、そしてパープルームギャラリーへという、アートファンの濃縮された1日となっていたのであった!そして今帰りの新幹線の中でこれを書いているのである!!) 「キャラクター絵画について

          「キャラクター絵画について」について

          「キャラクター絵画」回顧録 番外編〜キャラ絵を描く意味〜

          「キャラクター絵画」について僕なりにダラダラ書いたけれども、状況説明にスペースを割いてしまい、個人的な話をする余裕が無かったので、そういったことも書き足しておきたいと思う。 記事の中で、「キャラクター絵画」が孕む問題点として、僕は以下のことを挙げた。 キャラクターは多くの人々(あるいは特定のクラスタ)が知るイメージであり、そのイメージを引用すれば容易に広く多数の共感を集めることが出来た。 しかし、キャラクターを描いたりキャラっぽく描くということは、根本的には、他人の著作物

          「キャラクター絵画」回顧録 番外編〜キャラ絵を描く意味〜

          「キャラクター絵画」回顧録5

          これで本当に終わり! 2010年頃に起きた「キャラクター絵画」ビッグバン?がやがて収束した後、その後の風景、新しい動向について、僕が気になるものを付け足しでお話して終わりにしたいと思います。 「パープルーム」は、アーティスト梅津庸一氏が主宰する相模原市を拠点とした美術家集団です。 僕は2015年?2016年頃?からしかウォッチしていないのだけれど、当初は「パープルーム予備校」として、梅津庸一氏のアトリエ兼私塾のような形で始まったと記憶している。(間違っていたらごめんなさい

          「キャラクター絵画」回顧録5

          「キャラクター絵画」回顧録4

          最後に書き足し。 (終わらんかもしらんが。) 前回の記事では、2010年頃にSNSの発達を契機として一気に盛り上がったムーブメント、その最も大きな特徴とされた「キャラクター絵画」が孕んでいた問題を、僕なりの視点でお話しました。 キャラクターを描くことで、多くの人々と共鳴することが出来た反面、キャラクターはみんなのものであるが故に、作品のアイデンティティにはなり得ず、唯一無二のアートとして作品化させることは簡単ではありませんでした。 また、「キャラクター絵画」という外見的

          「キャラクター絵画」回顧録4