お父さんと私⑤ 終末医療へ
父の病気が見つかってちょうど1年経つころ、がんが肺に転移していることがわかった。私も母もショックだったとは思うが、一番ショックだったのは、父本人だろう。この日は言葉がとても少なかった。
そんな状態だというのに、(そんな状態だからだろうか)、明日までに書き上げたあい原稿がある、と言って夜遅くまで仕事をしている日があった。身体のことがとても心配だったが、母も私も止められなかった。母は、「お父さんから仕事は奪えないよ。」と言っていた。父にとって仕事は生きがいだった。本当は、止めた