元ゲーム業界人の視点で、パルワールドの売れゆきのすごさを簡単に解説してみる
新作ゲーム「パルワールド」の勢いがすごいらしいですね。1月19日の発売から、3日間で500万本。この数日、パルワールドの話題ばかり見てる気がします。
ただ、たまに「売れてる感だしてるだけじゃないの」といった声を聞くこともあって。
もともとゲーム業界いた自分としては、すなおに「すごい売れ方してるなぁ」という気持ちでみてるので、どんな視点ですごいと思っているのかと、数字の見方を少しだけ解説してみようかと思います。
ゲーム業界にいたのは5-6年前なので若干のズレもあるかもしれません。ひとつの視点として、「へー、こんなすごいんだぁ」くらいの感じで読んでもらえれば。
※あくまで数値的な話をしていくので、権利的な部分にはふれません。
販売本数(Steam内比較)
パルワールドが販売されているのはPCゲームプラットフォームのSteam。「steam spy」というサイトを見ると、非公式なものですがざっくりと販売本数がわかります。
現在のパルワールドの販売本数は、この記事を書いている1月22日23:00時点で500万本。これを2023年と2024年でそれぞれ見てみると。
2023年 年間ランキングで10位以内に入れるくらい
※参考:2023年 Steam売上本数ランキング
https://steamspy.com/year/2023
2024年 年間ランキングだとダントツ1位(2位はまだ100万本くらい)
※参考:2024年 Steam売上ランキング
https://steamspy.com/year/2024
という状況です。2023年の10位以内と同じくらいというのも、発売から3日と考えるとほんとすごい。
販売本数(Steam外比較)
500万本クラスというのを、switchや3DS、PSといったパッケージソフトと比較してみると。全世界販売本数でいえば、ここらへん。
直近でいうと、配信者を通して人気が高まってきている「ストリートファイター6」が、2024年1月の頭に全世界販売本数が300万本を突破したと報じられたばかりでした。
ここの数値感だけでも、3日で500万本という数値のすごさがわかるかと思います。
開発費用 / 開発年数
ここで、そんな売れ方しているパルワールドにかかったコストはどれくらいなんだろうと、先日 運営会社のポケットベアさんが出されていたnote記事を参照してみると。
開発費用は、10億円。開発期間は、3年とのことでした。
海外の超有名メーカーの大型タイトルなら数十億円超えるものもごく稀にあったりしますが、一般的なゲームメーカーが開発をおこなう場合にはだいたい、このくらいです。投資回収を考えると。
10億円かけて、3年作り続けるというのが、そうとうアクセル踏み込んでたんだというのがわかります。
売上 / 利益
Steamの場合、プラットフォームロイヤリティが30%なので、運営者に残る利益は70%となります。この利益から、開発費やプロモーション費用、経理、法務、など諸々のお金を払う形です。
定価3,400円ということで500万本で、単純計算 売上170億円。リリース記念セールとして、10%オフキャンペーンを今まで入れ続けているようなので、これを考慮して差し引き 売上153億円。
ここに利益率70%をかけて、利益107億円となる計算です。この時点で開発費10億円の10倍になってます。
時勢について思うこと
最後に、ここまでになった理由を少し考えてみると、やっぱりゲームユーザーが「こんなゲームを求めていた」んだと思います。正確には「求めるようになってきていた」という方が正しいのかもしれません。
自分自身、ストリーマーやVtuberの方の配信をよくみるのですが、RUSTやARKなどの多人数でプレイするゲーム実況がこの1〜2年ですごく面白くなってきていて。
こんなオープンワールドで旅するようなゲームを、知り合いと一緒にやれたらほんと面白いだろうなと思ったりしてました。
2023年末から2024年の頭にかけては、エーペックスの大きな大会が終わり、VALORANTやストリートファイター6といったタイトルも落ち着いて、配信者は昔ながらのリーグオブレジェンドなどに回帰したりと。2024年の新作を待ち望んでいるタイミングだったようにも思います。
そんな中で登場した、パルワールド。いまはまだ目新しさでプレイしている人ばかりですが、このパルワールドを使ってまたいろんな遊び方が生まれてくるんだろうなと思うと楽しみです。
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