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腰椎手術後に残存する症状 〜Failed Back Surgery Syndrome〜

こんにちは!腰痛マガジンメンバーのこじろう(@reha_spine)です。

今回は、腰椎術後に残存する症状について、「Failed Back Surgery Syndrome(以下、FBSS)」を中心にご紹介させて頂きます。

腰椎術後の患者さんを担当する方の中には、術後に残存する疼痛やしびれ、または新たな症状を発症する患者さんを経験した方も多いのではないでしょうか?

なぜ手術をしたのに、症状が残っているの?と感じるのはスタッフだけでなく、もちろん患者さん自身も感じていると思います。

今回の記事を読んで頂くことで、術後残存する症状について理解を深め、残存した症状に落ち着いて対応できたり、術後のリハビリの進め方を再考するきっかけになると思います。

前回投稿した記事にも一部FBSSに関連した内容がありますので、ぜひご覧ください ^ ^


今回の記事は特に以下のような方にオススメな内容となっております!

✔︎  腰椎術後に残存する症状について理解を深めたい方
✔︎  術後に症状が残存しやすい術前の要因について学びたい方
✔︎  術後残存する症状と非腰椎性の症状との鑑別について学びたい方
✔︎  末梢神経の障害程度と術後症状との関連性について学びたい方


では本題に移っていきましょう!

▶︎Failed Back Surgery Syndromeとは?

脊椎に対する手術成績は概ね良好ではありますが、一部で成績不良例もあり、難治性となる場合もあります。

そしてFBSSは以下のような場合を指します。

「脊椎術後疼痛症候群:Failed Back Surgery Syndrome(FBSS)
手術後に腰痛や下肢痛、下肢の神経症状などが残存したり、増悪、再発する場合で、手術後に満足のいく効果が得られなかった成績不良例。

古志貴和:Failed Back Surgery Syndromeに関する検討


しかし、脊椎手術ですべての愁訴が術後消失するわけではないため、術前の症状が不変または悪化している状態や術前より軽快しているが日常生活に支障が残存している状態がFBSSである、との見解もあります。1)

原因としては、不適切な診断や、患者側の心理的な要因、手術方法、術後因子としてのすべり症の増強やヘルニアの再発、筋筋膜性腰痛の悪化などが報告されています。

腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニア、圧迫骨折後の椎体形成術、固定術など様々な手術において発症する可能性があり、頻度としては約10%と考えられていますが、それ以上との報告もあります。2)


▶︎Failed Back Surgery Syndromeの分類

FBSSは「診断」から「手術」に至る過程の中でどこかに問題があるとFBSSの原因となります。

FBSSの要因を「術前症状の遺残」「術後の新たな症状の出現」とに分けて要因を分類すると以下のようになります。3)

まずは、「術前症状の遺残」について説明していきます。

一部内容の詳細を説明していきます。

【診断の誤り】
診断は画像所見と臨床症状が必ずしも一致しないという点で難しくなります。
また、FBSSの原因として最も多い「椎間孔狭窄」の見落としも症状遺残の原因となります。
更に非特異的腰痛の存在が挙げられ、症状の起源を特定することが複雑化することがFBSSの原因となります。

【手術の限界】
手術による症状の改善には限界があり、改善度を予測することは難しいといわれています。
特に神経障害が高度な場合には手術を行っても症状が残存する場合もあり、馬尾神経障害に関連する安静時の症状が残存しやすいことも指摘されています。


次に「術後の新たな症状の出現」について説明していきます。

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