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重篤な腰痛の鑑別 レッドフラッグス②~筋骨格系由来の特徴~
こんにちは!腰痛マガジンメンバーのこじろう(@reha_spine)です。
前回は腰背部痛のレッドフラッグス(red flags,以下RFs)についての概要と、特に「内臓器疾患由来の腰背部痛」を中心にまとめさせて頂きました。
教科書やガイドラインなどで一度は拝見された事があるとは思いますが、その内容を少し深堀りし、ガイドラインの中では説明されていない詳細な部分についてもまとめていきたいと思います。
急性腰痛をきたす疾患として腹腔・胸腔内臓器に由来するものと筋骨格系に由来するものがあり、今回は筋骨格系由来のRFsについてまとめていきたいと思います。
今回の記事は特に以下のような方にオススメな内容となっております!
✔︎ RFsの各項目の意味について詳細に知りたい方
✔︎ 骨折や悪性腫瘍、感染症に関する注意すべきレッドフラッグスについて学
びたい方
✔︎ 腰痛患者さんを担当されている方、特に個人で経営されている方
では本題に移っていきましょう!
▶︎重篤な腰椎疾患のトリアージ
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問診では、以下の3つの腰痛にトリアージ(多くの人の中で優先治療される人を選別)することが勧められています。1)
①RFsを有し、重篤な脊椎疾患の可能性がある腰痛
(脊椎・脊髄腫瘍などの悪性腫瘍、化膿性椎間板炎・脊椎炎などの感染症、椎体骨折、膀胱直腸障害を伴うような腰椎疾患)
②神経症状を伴う腰痛(軽度の麻痺や下肢痛、しびれ、間欠性跛行)
③神経症状のない腰痛
そして、筋骨格系の疾患は、速やかな対処が必要な疾患群とそうでない疾患群に分類できます。
速やかな対処が必要となる疾患とは①で示した「癌転移」や「感染性脊椎炎」、「骨折」、「馬尾症候群」などが該当し、特に鑑別が必要になります。
1) 悪性腫瘍
原発性・転移性の脊椎、脊髄腫瘍
2) 脊椎感染症
化膿性椎間板炎、脊椎炎、脊椎カリエスなど
3) 骨折
椎体骨折など
4) 重篤な神経症状を伴う腰椎疾患
下肢麻痺、膀胱直腸障害(馬尾症候群)などを伴う腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症
このような疾患を示唆する症状・徴候が “RFs”として知られています。
そしてこのような症状がない急性腰痛では、90%が4週間以内に保存的治療で軽快するといわれています。
では「重篤な脊椎疾患の可能性がある腰痛」に該当するRFsとはどのようなものか確認していきます。1)
【重篤な脊椎疾患(腫瘍、感染、骨折など)の合併を疑うべきRFs】
①発症年齢が20歳未満もしくは55歳以上
②時間や活動性に関係のない腰痛
③胸部痛
④がん、ステロイド治療、HIV感染の既往
⑤栄養不良
⑥原因不明な体重減少
⑦広範囲に及ぶ神経症状(馬尾神経症状を含む)
⑧構築性脊柱変形
⑨発熱
ここで注意したいのは、RFsがあるからといって、重篤な脊椎疾患(腫瘍、感染、骨折など)に必ずしも関連しているわけではありません。
重篤な脊椎疾患の診断には1つの危険信号だけでなく、複数の危険信号を重視することが勧められています。
ガイドラインで示されている項目は多く、RFsのどの項目が骨折や悪性腫瘍に対して注意すべきなのか?という疑問が残ります。
そこで、今回は特に、骨折や悪性腫瘍に対して重要となる項目についてまとめていきたいと思います。
▶レッドフラッグスの詳細
![](https://assets.st-note.com/img/1674250832111-n02cUR91Kb.jpg?width=1200)
腰痛ガイドラインにはRFsの各項目に対する診断制度に関する情報が含まれていないため、実際のところどの項目が何の疾患を診断するのに重要なのかが分かりづらいです。
そこでガイドラインに記載されている各項目について理解を深めていきたいと思います。
おさらいですが、以下の項目が腰痛ガイドラインに記載されているRFsになります。ここからは①~⑨の項目とその他で注意すべき項目について、どのような意味があるのかを1つずつ確認していきます!
【重篤な脊椎疾患(腫瘍、感染、骨折など)の合併を疑うべきRFs】
①発症年齢が20歳未満もしくは55歳以上
②時間や活動性に関係のない腰痛
③胸部痛
④がん、ステロイド治療、HIV感染の既往
⑤栄養不良
⑥原因不明な体重減少
⑦広範囲に及ぶ神経症状(馬尾神経症状を含む)
⑧構築性脊柱変形
⑨発熱
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