ビデオ通話の時代がやってきたので、世界に向けて「一人開国」してみる、のススメ
複数の海外のスタートアップと複数の日本企業の間に立って仕事してます。55歳。英語力ないままグローバルビジネスに飛び込み十年。大変苦労しましたがなんとか形になってきました。
日本企業と海外スタートアップの協業の難しさ
仕事の一つとして日本企業と海外のスタートアップの間に入って、コーディネータとして入る業務があります。海外のスタートアップと直接ビジネスをすることのリスクについて、慎重になる日本企業は今でも少なくありません。また日本の商慣習に悩む海外スタートアップも同様です。時には日本企業から、時には海外スタートアップから声をかけていただき、ビジネスがスタートします。僕は十年やってきた様々な海外スタートアップとの協業を経験に、両社にとって良い方向に向かうよう、公明正大に、バランスをとってサポートすることを目指してます。とはいっても、言うは易く行うは難し、です。うまく行かないケースは、私から見てどちらかが問題のあるケースもありますが、両社とも事業内容が優れていて、社員も優秀で、協業への意欲もありながら、それでもうまくいかないケースがあります。それは往々にして、個人ベースの人間関係を作ることに失敗しているケースです。よくあるのは日本企業サイドのメンバーによる無意識の「鎖国」です。
外国人相手にメールを塩漬けしてしまうことの意味について
外国人とビジネスをすることに慣れていない日本人の会社員に、猛烈にアピールしてくる海外スタートアップと対峙すると身ぐるみ剥がされるのではないかとの恐怖感に襲われる人が多々います。年齢は関係なく、20代の方にも結構います。語学力の差でもないように思います。英語の上手な人でもビビりまくる方はいます。海外スタートアップとのミーティング後に、彼らが日本企業のメンバーに食事に誘うと、背後で「毒まんじゅうくわされるぞ」とボソッとつぶやく人がいます。その得も言われぬ恐怖感よくわかります。僕もグローバルビジネスをはじめた頃、その、根拠のない恐怖がしばらく続きました。今となっては、その妄想が懐かしいくらいですが。
そのような恐怖感に苛まれて、人間関係など構築できるはずがありません。例えば、会った時にはYES,YESと言いつつ、メールでまったく反対の返答をしてきたりすると、海外スタートアップの担当者は混乱して、私に連絡してきます。何が起こったのか解説してくれと。最も深刻な状況に陥るのは、メールをやりとりしてたら、突然、日本企業サイドから返信が来なくなり、何回連絡しても回答がなくなるケースです。プロジェクトの進行に致命的なダメージを与えます。大抵の場合、日本企業担当者サイドは「察してくれよ。あなたの意見や提案に否定はしないけれどもポジティブではない」というようなメッセージを発しているつもりになっているようですが、そんな風には受け取られません。自分と相手の間にかかる橋を相手が焼き尽くしてしまったような印象を持ちます。これは国籍関係ないです。日本人同士でも、ショックを受けます。私もその一人です。でも、意外と「メールの塩漬」を意思表示の一種ととらえる日本人が結構いるのも事実です。橋を燃やしてしまった後、なにが起こるか想像できますよね。そんな状態で協業はできません。
ビデオ通話はグローバルビジネス目指して「開国」してみる大チャンス
相手に架かる橋を燃やす行為は、アウトサイダーやよそ者に対して強い恐怖感を感じ、身を守るために咄嗟に「鎖国」をしたいという衝動にかられているのだと思います。僕は精神分析学的な視点でとらえればその行動はよく理解でき、塩漬け刷る行動を非難すべきでないと思います。でも、個人的にはぜひその「鎖国」を乗り越えて「開国」してほしいと思ってます。「開国」によって得られる貴重な体験をぜひ味わってほしいです。内向きで、引きこもりがちで、本ばかり読んで暮してた僕が45歳に「開国」して味わった劇的変化を同じように味わってほしいと思ってます。
今、世界中で普及したビデオ通話。僕はこれが個人が「開国」するのに最強のツールになると思ってます。十年前、僕がイギリス人とフランス人とシンガポール人とビジネスを開始した頃、彼らの言っていることは3割しか理解できませんでした。最初の頃は電話をがんがんかけてきて、僕にあれこれ話すのですが、ほとんど言っていることがわからず、仕事になりませんでした。かといってメールでは、そこに意図や感情を含む事ができず、人間関係がすこしも改善しないまま、お互い疑心暗鬼になりました。そんな中、ビデオ通話がだんだんビジネスに普通に使えるようになり、相手の顔を見て話すことができるようになり圧倒的に事態が改善していきました。ビデオ通話の最中に子供に囲まれて幸せそうにしているタフネゴシエーターの素顔に触れて、人となりを知り、信用ができるようになったり、僕の話をしている顔を見ながら、僕が言おうとしているないようを察してくれるようになったり、あらためて顔を見て話すことの意義を痛感しました。遠く離れていても顔を見て話すだけで、そこにしっかりとしたきずなが生まれてきます。
世界中の著名な人たちがウェビナーを始めている
今、あらゆる業界がビジネス構造の転換を図るために実験を始めています。ウェビナーはその一つです。国際カンファレンスをしている主催者がリアルで開催できないために、ウェビナーを実施するようになっています。料金も現地にいくための旅行費用がまったくいらないので大変リーズナブルです。この種の海外ウェビナーの参加から「一人開国」を始め、グローバルビジネスの現場へ、そろり、そろりと向かっていってはいかがでしょうか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?