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Netflix「地面師たち」で、日本企業の稟議制度の実態を学ぶ海外ビジネスマン
遅ればせながら、僕もNetflixの「地面師たち」を観ました。
最初から引き込まれて一気に観てしまいました。その感想は、脇に置いておいて、今回は、タイトルで記した視点でこのドラマについて書こうと思います。
先日、日本語を完璧に話すヨーロッパ人の会社員の方とランチをしていた時のことです。
「原口さん、『地面師たち』を絶対見たほうがいいですよ。日本企業の承認プロセスがどのように行われているのか、その実態を見た気がします。」
と勧められました。
「原口さんもよく理解していると思いますが、欧米の企業にとって、日本企業の不可解な点は、社長の判断が、会社の判断とはならない点、そして様々な階層の関係者が、延々社内で議論して、忘れた頃に最終決定がなされる点なんですが、僕は、日本語を読み、書き、話せ、かつ日本社会の流儀もある程度、理解しているつもりですが、それでも、そういった日本企業の承認プロセスで、実際どのような人間模様が繰り広げられているのか、イメージできていなかったのですが「地面師たち」を観て完璧に理解しました。とても興味深かったですよ」
と言うのです。そのコメントに興味を持ちこの話題のドラマを観ようと思ったのです。
そして、実際、観てみると、ドラマの舞台となる、大手不動産会社の中間管理職が、地面師によって仕組まれた架空の土地所有権を、自社の稟議制度に従って社長の承認を得ようとするのですが、社内から様々な邪魔が入るので、社長と裏で結託し、あるトリックを使うのですが、そういった社内の人間力学の中で、決定していくので、いつの間にか、稟議制度の網をかいくぐって、詐欺師の謀略にまんまと嵌っていく様子が描かれていました。
僕も、海外のスタートアップと日本企業の協業プロジェクトを推進する際に、あまりに遅い日本企業の最終判断に苛立つ起業家に「日本企業はトップダウンタイプの決断ではなくコンセンサス重視なんだ」と説明する機会が頻繁にあります。でも、このドラマを見ると、実はそのシステムは必ずしもネガティブな側面ばかりでなく、リスクヘッジとして機能していてポジティブな側面があるのだと思いました。けれども、このドラマのケースでは、それが裏目に出てしまったわけですが。
いずれにせよ、海外のビジネスマンでNetflix会員の方がこのドラマを日本企業の内情を興味深く観察しているんでしょうね。