【インド雪山紀行14】川を歩く with 犬
2023/12/30
チャダートレック2日目の朝。
朝食のチャパティをいただいてから出発。
最初は恐る恐る歩いていた氷の上だが、慣れれば何てことはない。
しかし、このチャダートレックで難関なのは、集落と川を上り下りするときなのだ。
集落と川を結ぶ斜面は舗装されておらず、かろうじて「道」と呼べる程度の道を降りて行かなければならない。
まるで普通の道路であるかのように平然と歩くTundup(と犬)の後を、へっぴり腰でついていく。
足元の砂や小石がパラパラと谷底へなだれ落ちていく。
一口に「凍った川を歩く」といっても、川面の凍結状況は場所によって異なる。
スケートリンクみたいにツルツルのところもあれば、霜柱を踏むときのようにザクザクしているところもある。
最初のうちは、ツルツルのところは何度も滑って転倒しそうになったが、コツを掴めば、むしろツルツルしている方がスケートのようにスイスイ進むことができる。
当然のように犬もついてくる。
3時間ほど歩いて昼休憩。
1時間ほど休憩してから再出発。
今日も川沿いの集落でホームステイ。
崖を登って集落まで行く。
Tundupの叔母さん夫婦の家に泊めさせてもらう。
結局最後までついてきた犬は、叔母さんの家で飼われていた黒犬とすぐに仲良くなった。
ラダック式どぶろくのチャーンをいただく。
チャーンをたっぷり飲んだ後は、アルコール度数の高いアラックが出てくる。
チャーンとアラックをちゃんぽんで飲んだからか、あっという間に気持ちよく酔っぱらう。
酔った頭でぼんやりと居間のテレビを眺める。
東アジア顔のラダック人キャスターがニュース原稿を読み上げる。
モディ首相が何かを視察している映像に切り替わる。
日本人と容姿や雰囲気が似ているラダックの人たちが、インド国籍を有しているという奇妙な事実を再認識する。
ニュースが終わると、カシミールを舞台にしたドラマが始まる。
ほんの数年前まで、ラダックとカシミールは一つの州だった。
国境における政情不安定を受けて、2019年10月にジャンムー・カシミール州は、ジャンムー・カシミール連邦直轄領とラダック連邦直轄領に分割された。
ジャンムーはヒンドゥー教徒が多く、カシミールはイスラム教徒が多く、ラダックは仏教徒が多い。
三者三様の信仰をもち、人種のルーツも全く異なる地域が一つの州として運営されていたなんて奇妙な話だ。
ラダックの人たちは、自分たちがインド人であることをどのように考えているのかとても気になるが、センシティブな話題な気がして直接尋ねるのをためらってしまう。
現状に満足しているのか、他の国への編入を望んでいるのか、あるいは同じ信仰を有する諸地域と連携して独立したいのか。
そんな感じで深い酔いの中、チャダートレック2日目が終了。
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