結局、欲まみれだったという話
2019年の夏、ぼくはテルナテ島という小さな島で休暇を過ごしていた。
スラウェシ島とパプア島の間に浮かぶ小島で、かつてはクローブの産地として世界的に有名だったが、今では酔狂な旅人しか訪れないのどかな島だ。
ぼくは旅というと、長距離列車に乗ったり、1日中街を歩き回ったりと、とにかく落ち着きなく動き回るのが常だったが、テルナテ島に関しては欧米流のバカンスを意識して「何もしない旅」にしようと心がけていた。
今でこそ静かな港町であるテルナテ島だが、かつては周辺の島々とともに「スパイス諸島」として名を馳せ、大航海時代における「台風の目」となって苛烈な歴史を歩んできた。
↑天日干しされたクローブ。
ぼくは長期休暇のたびにシンガポールやクアラルンプールのカジノに訪れていたが、たまには欲を捨ててみるのも悪くないと思って、今回のテルナテ島バカンスに関しては魂の洗濯をしようという意図もあった。
自然豊かな島で10日間過ごすことで、清廉な心を取り戻そうと思っていたのだ。
「何もしない旅」を満喫するために、ぼくは本を携帯していくことにした。
インドネシアでは日本語の本が高価なうえ、じっくりと時間をかけて読書を堪能したいと思っていたので、洋書を持っていった。
ちょうど1年前に映画化されて話題になった作品の原作で、ビーチ沿いのベンチに寝転びながらまったりと読書を楽しんだのだが、本のセレクトが最悪だった。
ぼくが持って行った本のタイトル、それは、
「CRAZY RICH ASIAN」
そりゃあ、シンガポール行きたくなるよ。
ということでジャカルタに帰ったら、速攻で航空券を買ってシンガポールに飛んだ。
結局、「魂の洗濯」は失敗に終わってしまった。
昨日、Amazonプライムで「クレイジー・リッチ!」を見た。
ストーリーは置いておいて、やっぱりシンガポールには夢がある。
個人的には、コリンとアラミンタの結婚式のシーンが好きだ。
ガーデンズ・バイ・ザ・ベイでのパーティーのシーンも含めて、度肝を抜かれる。
シンガポールの超絶リッチなチャイニーズが登場人物という特殊な設定ではあるものの、日本人が抱く「東南アジアらしさ」というものを優雅にぶっ壊していく作品なので、ぜひ見てみてください。
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