【インド雪山紀行⑤】極寒の地へ
2023/12/21
スリナガル空港
午前10時のフライトでラダックへ。
空港まで歩いていると、近くを通りかかった車の運転手に「乗って行くか」と声を掛けられる。
インドを旅行しているとこういうことがたまにあるが、非常に悩ましい。
というのも、流しのタクシー等を利用する場合は事前に料金交渉をしておかないと後々トラブルになることがあるからだ。
しかし今回の場合、空港に続く道で声をかけられたため、運転手は空港で誰かをピックアップする予定なのだろう。
つまり、私に声を掛けたのは7割くらいは親切心から来ているはずだ。
こういう親切心が見られるときに、お金の話をするのは無粋だと思ってしまうのだ。
結局、ありがたく車に乗せてもらうことにした。
やや不安に思ったが、お金の話はしなかった。
スリナガル空港特有の厳重なセキュリティを通り過ぎて、空港のエントランスに到着。
「いくら払えばいいですか?」と運転手に尋ねると、「いくらでも。君に任せる」という返事。
妥当だと思われる額を渡すと、やや不満そうな顔をしているように見えたが、彼は特に何も言わなかった。
スリナガル空港は小さな空港だが、待合室にはいろいろな人がいる。
まず、軍関係者が多い。
地元民と思われる中東風の顔立ちの人、ラダック民らしき東アジア風の顔立ちの人、ターバンを巻いたシク教徒、インド人と聞いて日本人が想像するような北インドの人、肌の色が濃い南インドの人。
この中からランダムに10人のインド人をピックアップして小部屋に閉じ込めたら、全く言葉が通じないだろうなと思うほどいろいろなインド人がいる。
レー行きの飛行機は定刻通りに離陸した。
スリナガルからレーへは真東に移動するだけだが、その間には4,000mをゆうに越える山脈が横たわっている。
雲の上に突き出した峰々が地平線の彼方まで続いており、とても美しい。
生命の痕跡が全くない険しい岩山を見ていると、どういうわけか本当に神様はいるのではないかと思えてくる。
それほど神々しい光景だ。
絶景を堪能している間に、飛行機はあっという間にレー空港に降り立った。
こう言ってしまうとグルマルクに申し訳ないが、いよいよ【インド雪山紀行】の本編が始まる。
レー到着
Tundupが手配してくれたタクシーに乗って、これまたTundupが手配してくれた市内のゲストハウスにチェックインする。
部屋は案の定、暖房設備がない。
気温は日中でも氷点下。
部屋にいても寒いだけなので、昼食を取るついでに散歩する。
レー自体は2度目の訪問なので特に目新しさはないが、観光客が少なくてよりローカル味を増している。
レーの犬はもふもふしていて大きい。
チェンナイの犬よりも3割くらいは大きいような気がする。
体だけでなく気も大きいのか、近づいても全く動じない。
1時間ほど散歩して、ゲストハウスに戻る。
レーの標高は約3,500m。
念のため朝に高山病の薬を服用していた。
散歩中は平気だったが、急に頭が痛くなってきた。
ゲストハウスでダラダラと過ごす。
この時期のレーは日が暮れるのが早い。
18時には真っ暗になってしまう。
微かに痛む頭を押さえながら、日が完全に暮れる前に夕食を食べに行く。
どのレストランもすでに店じまいを始めていて、閉店間際の食堂に駆け込む。
東アジア風味のラダック料理は何を食べても日本人の舌に合う。
極寒の夜に震えながら、毛布にくるまってラダック初日の夜を迎えた。
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