あまりの神々しさに鳥肌が立った【Sonprayag→Kedarnath】
2024/06/24
外が騒がしくて目が覚めた。
午前4時半。
窓の外を見ると、すでに大勢の巡礼者がケダルナート(Kedarnath)寺院に向けて出発していた。
私は再び毛布にくるまり、午前6時に二度寝から目覚めた。
6時半にチェックアウトし、朝食を食べてからトレイルに踏み出した。
10分ほど歩くと、たくさんのジープが停まっている駐車場があった。
ここから、ゴウリクンド(Gaurikund)までピストン輸送しているらしい。
私は50ルピーを支払って楽をすることにした。
しかし渋滞がひどく、ゴウリクンドまで40分近くかかった。
正直、歩くのと変わらなかったような気がする。
ゲストハウスが立ち並ぶゴウリクンドの細い路地を抜け、いよいよ本格的なトレッキングの開始。
目的地のケダルナート寺院まではおよそ15km。
この前のヤムノトリのおよそ3倍の道のりである。
ヤムノトリ同様、馬や駕籠といった選択肢もある。
道はしっかり舗装されているが、昨日の雨で泥(というか馬糞)だらけである。
ぐちゃぐちゃの舗装路は滑りやすくて要注意だ。
ゴウリクンドから休憩も挟まず3時間半ほど歩いたところで、急に足が動かなくなった。
近くの茶店で食事をとることにする。
ちょうど雨が降ってきた。
小降りになったタイミングを見計らい、リュックカバーとレインコートを装着して再出発。
霧が降りてきて、見通しが悪い。
とにかく上へ上へと進んでいく。
午後1時、ついにベースキャンプに到着。
大小さまざまなテントが並んでいる。
ここからケダルナート寺院まではあと少し。
20分ほどで寺院の目前まで来たところで、行列ができているのが目に入った。
並んでいる人に話を聞くと、本堂の中に入るための列だという。
今日はケダルナートに宿泊する予定で、まだ時間に余裕があったので、私も並んでみることにした。
しかし、ここからが地獄の始まりだった。
列は遅々として進まない。
じっとしていると寒くなってきたので、レインコートの上からダウンジャケットを羽織る。
順番があべこべだが、いちいちレインコートを脱ぐのが面倒くさかった。
1時間くらい並べば中に入れるだろうと思っていたが、1時間経っても列は先頭すら見えない。
本堂に入ることにこだわりがあるわけではないので、途中で離脱しても良かったのだが、ここまで来たら意地になって何が何でも本堂に入る気になっていた。
1時間半ほどして雨が降ってきた。
ダウンジャケットが濡れて、体が冷える。
横着せずに、ちゃんとダウンの上にレインコートを着れば良かった。
寒さと格闘すること1時間。
並び始めてから2時間半後、ようやく寺院の敷地内に入る。
するとタイミング良く、霧のように低く立ち込めていた雨雲から晴れ間がのぞき、素晴らしい絶景が現れた。
寺院の一角と、その背後に広がる雪山である。
あまりの神々しさに鳥肌が立った。
ここからは比較的スムーズに列は進んで、まもなく本堂に入ることができた。
ヒンドゥー教徒ではない私にとっては、本堂の中は特に面白いものではなかった。
もみくちゃになりながら本堂を出て、寺院の周辺を歩く。
不思議な格好をしたサドゥーがたくさんいる。
午後5時。
寺院の近くのテントを今日の宿泊地にする。
宿代は安かったものの、雨であらゆるものがうっすら濡れているし、何より寒い。
そして、これは前にも書いたが、基本的にインド人はTPOに合わせて声のボリュームを調整することがない。
つまり、夜中でもお構いなしで、テントの周りで普通の声で会話している。
何なら、日本人の「普通」よりも2割くらい声がデカい。
こんなことなら本堂に入らず、多少無理をしてでも今日中に下山すれば良かったと思いながら眠りについた。