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インドの洗礼

プドゥチェリーの小旅行から帰ってきた直後、すなわち日曜日の午後、ついにインドの洗礼を受けた。

腹痛と下痢である。

原因に関しては心当たりがありすぎて特定できないが、2ヶ月前の移住当初からローカル食堂で普通に食事を摂っていたので、「何で今頃?」というのが正直なところだ。
もしかしたら、インド生活が3ヶ月目に突入して緊張感がほぐれ、体が油断し始めたタイミングなのかもしれない。

もともと軟便体質だったこともあって、下痢自体はそこまでしんどくないし、下痢以外の症状はないので病院に行くつもりもない。
ただ、食事と睡眠が満足に取れないのが辛いところである。

「たいていの体調不良は、よく食べてよく寝れば治る」と信じているが、食欲は全然ないし、夜中に突然の腹痛で起きてしまう。
だから、あまり元気が出ない。
むしろ高熱が出ている時の方が、死んだように眠れるので、一晩で体調が回復したりする。
何だか不快な状態が、ダラダラと続いているのである。

体内からはかなりの水分が失われている状態だと思うので、スポーツドリンクを買うことにした。
ポカリスエットは売られていないにしても、コカコーラが販売しているアクエリアスくらいはあるだろうと思ってスーパーに行ったが、どぎつい色のものしか陳列されていなかった。

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かき氷のシロップじゃん。

中央のオレンジ味、右端のレモン味は受け入れられるとしても、左端の青色がさっぱり理解できない。
人間が最も食欲を失う色である。
もしかしたらペットボトル自体が青色で、中の液体は無色かもしれないと思ってコップに移してみたが、ますます染料感が強くなるだけだった。

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飴を水に溶かしたような味で、見た目ほどのインパクトはなかったが、当然おいしくはない。
オレンジ味やレモン味の方はまだマシだが、見た目に引っ張られてしまうからか、かき氷のシロップを薄めたような味がする。

お腹の方は月曜日がピークで、ちょっとずつ改善されている。
下痢は相変わらずだが、激しい腹痛やお腹の中がギュルギュルしている感じは無くなった。
大量に食べたヨーグルトのおかげか、自然治癒の力なのかは分からない。

日曜日の夜以降、野菜スープかヨーグルト、水分しか口にしていないので、空腹状態が続いているはずだが、固形物を食べたいという欲はほとんどない。
ただ、猛烈にうどんが食べたい。
具は何もいらないので、アツアツのかけうどんが食べたい。
麺類でいえば、ぼくは熱烈な蕎麦支持派なのだが、今は全く蕎麦を食べる気にならない。
調べてみると、「うどんは消化に良い食べ物で、胃腸が弱っている時はうどんがおすすめ!」と書かれていたので、動物としての本能が働いているのだな、と興味深く思った。

現在、仕事面でもプライベート面でもモヤモヤイライラすることが立て続けに起こっていて、鋼鉄なことで有名なぼくのメンタルもちょっと弱っている。
食に関してはあまりこだわりがない人間だが、やはり心身ともに弱っていると日本食が恋しくなる。
逆にいうと、日本食が無性に食べたくなる時は、心身ともに弱っている時で、自分の中でのストレス状態をチェックする一つのバロメーターになっている。

今の不安定な状態は、インドに来たばかりの時の興奮状態が少しずつ落ち着いてきている証なのかもしれない。
ランニング中に足を痛めてしまっても、走っている間は全く気づかないで、立ち止まった瞬間に痛みを自覚する状態に似ている。
冷静に振り返ってみると、この2ヶ月間はエンジンをフル回転させていたような気がする。
インド生活はまだまだ長い。
今回のインドの洗礼は、そのことに気づかせてくれた良いきっかけだと思うことにした。

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