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6/28 天空の楽園ザンスカール②

午前9時、ピビティン(Pibiting)という村にあるゴンパ(僧院)に行く。
パドゥム(Padum)から歩いて20分ほどの隣村である。

小さなゴンパで、管理者が不在だったようで中に入ることはできなかった。

昼前にゲストハウスに戻って少し休憩してから、今度は村の外れにあるゴンパに行くことにする。

仏教徒が大多数のザンスカール地方だが、パドゥムには一定数のムスリムがいるようだ。
パキスタンとほど近いカルギル方面からの移住者なのかもしれない。
「アッサラーム アライクム」と挨拶を交わす村人の姿を何度か見かけた。

道中、ゲストハウスのオーナーに出会って、「ちょっと丘を登ったところにもゴンパがあって、そこからの眺めが素晴らしい。ゆっくり歩いても1時間くらいだよ」と教えてくれる。
どうせ暇だったので、そちらにも行ってみることにした。

ザンスカール犬。

まずは、Padum Gompa。

全面改装中だった。

それから、先ほど教えてもらった丘の上のゴンパに向かう。
麓からも白いストゥーパ(仏塔)が見えていて、その方角に向かって歩いて行く。

1時間ちょいでゴンパに到着。

実はゴンパへの入り口がよく分からなくて中には入れなかったのだが、とにかく周りの風景が絶景だった。

民家のような建物はあるものの、人の姿は見えない。
低木や草がまばらに生える平原と放し飼いの牛、それを取り囲むようにして連なる山々。
山頂から下ってきた小川が激しい勢いで流れ、蝶がふわりと飛び交う。
小鳥のさえずりと牛の鳴き声、自分が草を踏み行く音しか聞こえない。
まさに楽園と呼ぶにふさわしいような場所だった。

周りをうろうろと歩いていると、さらに上に続く道を見つけたので行ってみる。

途中から獣道のような道になるが、歩けなくもなさそうだったので、道が途切れるまで進んでみることにした。
高台から見える景色は、言葉では表しきれないほどの絶景なのだった。

ひたすら道を進んでいくと、最終的に獣道は途切れ、谷のようなところに行き当たった。
引き返そうか迷ったが、よくよく見下ろすと降りれないこともなさそうだった。

両足のかかとでブレーキをかけ、お尻で滑るようにして谷底まで降りる。

谷底の大きな石は丸みを帯びていて、もともとは氷河か普通の川が流れていたようだった。
季節的なものなのか、あるいは長期的な気候変動で今は枯れ沢になってしまったのかは分からないが、とにかく道に沿って降って行く。

途中で流れの激しい川と合流する。
雪解け水のようで、手を浸してみるととても冷たかった。
川沿いは草が生えていて歩きやすい。
川の流れと一緒に山を下り、1時間くらいかけて村に戻った。

村に戻るとちょうど下校の時間帯だったようで、制服を着た子どもたちがいた。
こんな奥地にも子どもがたくさんいるのだから、インドの勢いはすごい。

イスラム教系の学校もあるようで、ヒジャブを巻いた女学生の姿もあった。

夕方はゲストハウスでのんびり過ごし、暗くなってから外に出てみた。

街灯の少ない通りは暗く、食堂を除いて大半の店のシャッターは降りていたが、通りを行く人の姿はちらほら見えた。
彼らは特に当てもなく、夜道を歩いているようだった。

標高は高いはずなのに、肌を撫でる微風は生暖かく、日本の春の夜を思わせた。


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