日本人学校の先生になる方法(現地採用編)
昨日、日本人学校の先生という仕事について書きました。
今日は、「日本人学校の先生になる方法(現地採用編)」ということで、自分の経験を踏まえて書いていこうと思います。
上記記事でも書きましたが、日本人学校の先生になる方法は主に2種類あって、そのうち現地採用職員として赴任するにはどうしたらいいかを書いていきます。
学校によっては「現地採用」「学校採用」「維持会採用」等、名称が異なりますが全て同じ意味です。
日本人学校の先生になる方法
何度も書いていますが、これから説明するのは現地採用として派遣される方法です。
現地採用の応募条件は、教員免許を所持していることは必須ですが、経験や年齢は不問であることが多いです(国によってはビザの関係で年齢に制限がかかることもある)。
つまり、大学新卒者や転職して教員になりたいといった、教員の経験はないけれど日本人学校の先生になりたいという人が、これから説明する方法で応募することになります。
現地採用教員は、学校がそれぞれ個別に個人と雇用契約を結ぶという形態ですが、実際には海外子女教育振興財団(JOES)という公益財団法人が募集や試験を行なっています。
募集や試験の流れといったものは、上記サイトをみてもらえれば一目瞭然です。
そのため、これ以降の記事ではぼくの経験も踏まえて、サイトを見ただけではわかりにくいことを書いていきたいと思います。
募集は2回
現地採用教員は、2回に分けて募集がなされます。
第1期
募集期間:2021年6月28日(月)~7月12日(月)正午
書類選考通過者発表:2021年7月27日(火)
適性検査:2021年7月28日(水)~8月4日(水)正午
面接選考会:2021年8月21日(土)・22日(日)
合否連絡:2021年9月2日(木)~9月中旬頃まで
第2期
募集期間:2021年11月上旬~下旬頃
書類選考通過者発表:2021年12月下旬
適性検査:2021年11月下旬~12月上旬
面接選考会:2022年1月中旬
合否連絡:2022年1月下旬~2月上旬頃まで
それぞれの選考内容はほぼ同じですが、決定的な違いが1つあります。
それは、勤務校を選べるかどうか、です。
第1期では日本人学校ごとに募集がかけられ、志願者は希望する学校宛に応募書類を提出します。
一方、第2期では「日本人学校」という大きな括りで募集がかけられ、採用決定後に勤務地が発表されるという形式です。
どの地域に派遣されることになるかは、合否連絡があるまでわかりません。
つまり、希望勤務地が明確に決まっている人は第1期で応募するべきで、日本人学校ならどこでもいいという人は第2期でも応募のチャンスがあるということです。
ビザの関係で1度採用されると辞退することは難しいため、勤務地にこだわりがある人は第2期での応募は避けた方が無難です。
また、学校によっては年度途中に臨時の募集がかけられることもあります。
JOESの応募者支援システムに登録(無料)しておくと、案内が受け取れるのでお勧めです。
試験内容
ぼくは第1期で採用されたため、これから書く内容は第1期での選考方法になります。
また、ぼくが受験したのは5年前なので、細かい様式は変更している可能性があります。悪しからず。
選考は、書類選考→適性検査→面接の3段階で行われます。
①書類選考
応募書類は、JOESのホームページからダウンロードします。
書類は、履歴書と志望理由書(800字)だけでした。
あとで詳しく述べますが、個人的にはこの書類が合否を決定する際に大きな比率を占めていると思います。
ぼくは新卒で応募したため大した志望理由書は書けていませんし、履歴書の内容もスカスカでした。
誤字脱字や内容の論理展開など、最低限常識的なことを心がけていれば良いと思います。800字って短いし。
②適性検査
適性検査はwebで行われます。
内容は、教科問題を中心とした一般教養テストです。
就活をしたことがないのでわかりませんが、SPIに近いのかなと思います。
難易度は高校入試レベルくらい。
学校の勉強が得意だった人は、特に対策をしなくてもイケると思います。
不安な人は就活用の適性検査対策をしておけばいいでしょう。
また、一般的な教員採用試験で出題されるような教職教養や専門教養は出題されません。
他に、「あなたは我慢強い方ですか?」といった性格診断のような検査もありましたが、常識の範囲内で答えればOKです。
以上のように、web適性検査の難易度はそこまで高くありません。
この検査で、受験者が大きくふるいにかけられるということは考えづらいです。
③面接
面接時間は20分前後だったように記憶しています。
面接官は2名、1:2での面接でした。
最初の5分ほどは、志望動機など応募書類で書いたこととのすり合わせで、残りは和やかな雰囲気での雑談でした。
「1年中暑い地域だが、体調面での不安はないか」、「現地は辛い食べ物が多いが大丈夫か」などの採用を前提にしたような確認事項がほとんどで、面接の時点ですでにある程度は採用の可否が決定しているような印象を受けました。
適性検査も面接も、厳格にふるいをかけるという印象が薄かったため、最初の応募書類がかなり重要なのではないかと思います。
採用の確率が上がるコツ(?)
ここから先は、新卒で応募したぼくが受験するにあたって留意していた内容なので、採用担当者がどう考えていたかは不明です。
あくまでも、採用の確率が上がるであろう可能性の1つとして読んでください。
まず、経験や知識の少ない新卒者は大規模校を狙うのがおすすめです。
全体の教員数が多い大規模校は即戦力を必要としていないからです。
ぼくの勤務していた日本人学校では、学校採用教員のほとんどが新卒でした。
次におすすめなのが、倍率の低そうな地域の学校を狙うことです。
治安が良く、日本人にも人気の高い地域の日本人学校は倍率が高い傾向にあります。
つまり治安面や衛生面でちょっと心配な地域は、倍率が低くなりやすいです。
ただ、これらの指標は現地での生活の快適さとダイレクトに関わってくるところなので、細かいことは気にしないストレス耐性の高い人のみ参考にしてください。
海外で生活するにあたって重要なこと(つまり採用担当者が重視していそうなこと)は、①適応能力が高いか、②心身ともに健康か、③海外で暮らす日本人として良識ある行動が取れるか、だと思います。
どんなに能力の高い人でも、現地の生活に適応できずに体調を崩してしまっては意味がありません。
経験や実績はもちろんのこと、面接では体が丈夫であること、適応能力が高いことをアピールすることが大事だと思います。
ぼくの勤務校では、体育大学や体育学部の出身者、スポーツ経験者(大学で体育会系の部活に属していたなど、本気でスポーツに取り組んでいた人)が結構いました。
そういった、心身のタフさは重視されているような気がします。
おわりに
現地採用教員の倍率は3倍前後とそこまで高くありません。
どちらかというと人手不足だと言えると思います。
若いうちに海外で生活するというのはかなり貴重な経験になります。
教員免許を持っているという条件付きですが、海外に住んでみたい人、他の人とは違うことをやってみたい人はぜひ挑戦してほしいと思います。