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すすきの

すすきののガールズバーでぼったくられた。などと申し上げると果てしなくみっともない事の成り行きがいたずらに想起されてしまいそうなので、どうか詳しく説明させていただきたい。

ラーメン横丁という文字通りラーメン屋が並ぶ寂れた通りがある。その入口で僕らは人を待っていた。そう。僕は一人ではなかった。5~6人くらいだったかな。なかなか待ち人は来ないし喉が渇いてもいたので、待っている間に軽く一杯だけ引っかけたいなあ、という実に無邪気な心情であった。その僕の目に飛び込んで来たのが、ラーメン横丁入口のすぐ脇にあるバーだった。ああ、ここでジントニックでも一杯飲んでるわ、と仲間たちに告げてフラフラと店に入る。店の中にはバニーガールが数人いたのだけど、「まあバドガール的なナニかだろう」という程度の認識であった。

「一杯だけですぐ出るんだけどいい?」と尋ねたら「どうぞどうぞ」と通されたのでカウンターに座り飲み物が来るのを待つ。するとバニーガールがやってきて自分の目の前に居座り始めた。おまけに「私も一杯いただいていいですか」などとほざき始めた。こういう時、男の悲しい性で「お姉ちゃんの前でイイトコ見せたるで」というようなつまらない見栄が咄嗟に脳裏をよぎる。と同時に「こんな安っぽい若さだけが取り柄の見ず知らずのオッパッピーの前で見栄を張ってもメリットは何もない」ということにも薄々気づく。そのような逡巡を見透かしたように「あ、嫌な顔した」とか口走る脳みそ空っぽのウサギ女。なんだこの世界観は。僕は喉が渇いていただけなのに。

とりあえず一杯だけ飲ませて、適当な世間話でお茶を濁して15分程度経っただろうか。待ち人が来たのでお会計をお願いしたら、お値段なんと4300円也。

と、ここまでのストーリーを説明して聞かせても「まあ、妥当な値段じゃないですか」なんていう反応が結構多いことに驚く。明らかに価格に見合っていないサービスだというのに、資本主義の豚どもめ。大体僕は、幸か不幸か「プロフェッショナルな艶めかしいお姉ちゃんとただただ一緒にお酒を飲む」という意味不明な遊びの楽しさを教わる機会を得られないまま40を過ぎた男であるからして、このようなサービスの相場を知らない。こんな15分に4300円を払って「まあ妥当だな」と思えるのが大人の男だというのなら、僕はいつまでも未熟者で構わないのである。

2015年8月15日の記録

僕はこのとき初めて、図らずもガールズバーという形態の店に入ってしまったのだけど、その後ガールズバー(とか女性が男性客の相手をする店全般)は大体どこも時間いくらという料金設定であることを知り、「ああ、一時間いても同じ料金なのに客が勝手に15分で帰っただけのことか」ということを理解した。

気づけば僕も資本主義の豚になっていた・・・(笑)


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