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自宅飲み - Ron Zacapa
ダークラムの鉄板銘柄、ロンサカパ。今日はこれと生ハムを一緒にいただこうか。
この酒を飲むと思い出す男がいる。その男はかつて親友と言ってもよいくらい親しくした男だったけれど、なんだか原因がよく分からないまま距離を置かれ、またその距離の取り方が絶妙に女々しく不気味だったので僕からも距離を置いたら完全に疎遠になってしまった。このように説明してみるとドラマチックの欠片も無い実にマヌケな話だ。
ロンサカパはその男が僕に何かにつけて何度も勧めてきた酒だった。ダークラムが苦手だった僕はそのたびに「うん、まあそのうちね」とはぐらかして後回しにしていた。そして結局、奴と一緒にこの酒を飲むことがないまま縁が切れて今に至る。
一体あの男は今どこで何をしているのだろう。共通の友人は何人かいるけれど、消息を知る者はいない。もうあれから8年か。オッサンになっちまったんだろうな、お前。もともと老けてたもんな。
どこに隠れてるんだか知らねえけど、全部水に流してやるからいい加減出てこいよ。
ま、元気でやってりゃ別にいいんだけどさ。
これからも僕はあいつのことを思い出しながらロンサカパを飲むのだろう。