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Cinematic Portrait - Nao Arita

今回の撮影は、始める前に少し念入りに僕のイメージをモデルさんに説明した。具体的に写真を撮って見せ、目線や画角を少し変えるだけで印象が大きく変わることも理解してもらった。僕のイメージは概ね共有できていたように思う。

後はそのイメージの中でどれだけモデルさんに遊んでもらえるか。これまでAiさん、Yunaさん、有田奈央さんの三人のモデルさんに「映画的ポートレート」をお願いしたけれど、いずれも僕の遊び心が足りなかったような気がしている。

「ストーリーを表現する」とか「感情を表情に出す」なんていうと、僕自身が思っている以上に大袈裟に伝わってしまって、モデルさんの表現が萎縮しているように見える瞬間があった。

でも僕は演出家ではないし、映画「ラジュテ」のように「静止画だけで映画を作る」ことが目的ではない。(いずれはそういうことにもチャレンジしてみたいなとは思うけど。)

共通のお題を設定し、僕はカメラマンとして、モデルは被写体として、協力しながら実現するような形が望ましいのかもしれない。

たとえば「待つ女」とか「追われる女」とかざっくりしたテーマだけ決めるとかね。

それで実際撮られた写真がテーマとズレたものになったとしても、それはそれ。僕がやってることはまだ試行錯誤の段階で、参考になる教科書も無いのだから。

そうやって撮影を楽しみながら、目指すかたちへと近づいていければいいなと思う。


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