Pony Blues
※2016年2月の旧ブログ記事
写真撮影の旅の最後に僕を待ち受けていたのはブルースだった。
ホテルをチェックアウトしてからMOA美術館に行き、その後熱海駅に戻って昼食。せっかくなので熱海らしいものを食べたかったけど、めぼしい店はどこも行列。仕方なしに「笑笑」へ。いや笑えない。
それでもまだ帰りの新幹線までかなりの時間があるため、勢いで電車に乗り込み三島駅で下車。何があるかも分からない場所、知っていることと言えば「一応、新幹線が止まる駅」という程度。中途半端に盛えているため写真映えする風景も見当たらず、これはトンボ帰りかなあとウロウロしていて見つけた「楽寿園」という場所。
その名称から、てっきり爺さん婆さんの憩いの場所かと思ったら、むしろ子供向けのアミューズメントパーク?だった。メリーゴーランドがあったり、動物がいたり。動物は僕が見た限りでは猿、アルパカ、ポニーがいたんだけど、そのポニーが・・・
ポニーって、愛らしい風貌とは裏腹に、余り元気の良い動物ではないというイメージだったけど、しかしこんなにも憂いを含んだ佇まいだったかな?と若干の違和感を覚えながら数枚写真を撮ってから、すぐにその場を離れた。結構広い公園?のようなのでその後も色々写真を撮り、帰り際に再度ポニーを見に来てみたら
なんて悲しそうな目をしているんだろう。僕は動物の表情から動物の感情を読み取るのが苦手というか、単純に僕の感受性が発達していないというか、余り目の前の動物の感情に思いをはせるということがない。人間と動物との間にコミュニケーションが成立するかどうかも、僕にとっては重要な命題ではなく、動物同士がコミュニケーション取れていればそれで十分じゃない、という程度の認識だ。
しかし、このポニーは・・・。
なんでこんなにも寂しげなのだろう。ポニーの目って、どの個体もこんなに虚ろなのだろうか。ついつい話しかけてしまった。「お前、なんでそんな目をしているんだ?」と。すると、どこを見ているのか分からないその視線が、時々僕に向けられることがあり、なんとも説明できない不思議な感情が湧き起こった。
僕の横には子供連れの家族がいて、「わー、ポニーだよー、かわいいねー」とはしゃいでいた。それはなんてことない当たり前の光景のはずなのに、その時の僕には耐え難いほどの違和感となり、またほどなくしてその場を立ち去った。
そうして今日になって、僕の iPhone に Charlie Patton は入っていないけれど、Alvin Youngblood Hart が入っていることを思い出し、ああ、あの場で聞くのにもっともふさわしい音楽だったのになあ、と悔やまれるのであった。
※2016年2月28日の日記