銘柄分析 カラダノート
このノートは何
主に自分の備忘録として、主力として大きく売買した銘柄について考えたことなど記録しておくものです。特定銘柄への投資を推奨するものではございません。
3行まとめ
・すべてのパパに使ってほしい神アプリ
・業務提携で広がる世界観がワクワク
・社長が素朴で素敵
企業概要
カラダノート(4014)。ビジョンとして「家族の健康を支え笑顔をふやす」を掲げ、多様な事業を展開。ユーザーデータの蓄積と利活用により、ユーザーと商材を精度高くマッチングさせられる点が独自性かつ優位性。
多様な事業展開
カラダノートの事業は多岐に渡る。スマートフォンアプリとWebメディアを運営して広告収入を得るビジネスモデルから、新規事業を派生させて付加価値の向上に取り組んでいる。
▼スマートフォンアプリ
妊娠・出産・育児関連のスマートフォンアプリを開発、提供している。代表的なアプリとして「ママびより」「陣痛きたかも」「授乳ノート」など。年間出産数をベースに集計すると、妊婦さんのおよそ9割が何らかの当社提供アプリを利用している試算になるほど普及している。
2021年8月6日、「ママびより」が第三者調査で「子育てアプリ利用満足度 No.1」を獲得した旨のリリース。同世代ママ間の情報ネットワークは強力であり、口コミによる利用者増加とロイヤルティ向上を期待できる。
https://corp.karadanote.jp/archives/3980
また、利用者規模は劣るが健康管理アプリの開発、提供も行っている。「血圧ノート」「お薬ノート」など。
▼Webメディア
「ママびよりWeb」(https://mamab.jp/)を運営し、妊娠中や育児中のママ・パパ向け情報を発信している。また、プレゼント企画を常設し、潜在顧客となるユーザーリストを獲得している。
▼広告配信
先述のアプリやWebメディア上で広告を配信し、広告収入を得ている。特に生命保険と不動産関連が好調。媒体上でユーザーのパーソナルデータを収集し、商品とのマッチング精度を高めることで成約率を向上させている点が特徴。
▼かぞくのキャリア事業
2021年2月1日、人材紹介事業への参入を公表した。妊娠・出産・育児世代に特化して、キャリアカウンセラーによる就業・転職支援を行う。
https://corp.karadanote.jp/archives/3626
▼かぞくのおうち事業
2021年3月1日、住宅メーカー等を紹介するマッチングサービス「かぞくのおうち」リリースを公表した。居住地域とメールアドレスを入力するだけで、地域の住宅メーカーの情報を受け取れる手軽さがウリ。また、カラダノート社が間に入ることで、断りにくさを払拭している。
https://corp.karadanote.jp/archives/3711
2021年7月16日には、沖縄県を除く46都道府県へ展開したことを公表。サービス開始後に好感触を得て展開を加速している様子が窺い知れる。
https://corp.karadanote.jp/archives/3911
▼かぞくの保険事業
2021年3月4日、保険代理店業への参入を公表した。従来のアプリ・Web記事上の広告から顧客サイトへ送客する形から一歩踏み込み、アポイント獲得までをカラダノートにて行うビジネスモデル。その先の保険商品の設計・提案は顧客側で行う。
https://corp.karadanote.jp/archives/3727
▼かぞくアシスタントOEM事業
2021年5月20日、自社開発システムのOEM提供の開始を公表した。パーソナルデータの収集と、属性に応じた商品マッチング技術を、システムパッケージとして提供する。保険会社や銀行など金融機関が主な対象。
https://corp.karadanote.jp/archives/3775
2021年6月11日、同事業に関連して株式会社チェンジとの業務提携を公表。チェンジ社が自治体や企業にDX支援の一環で「かぞくアシスタントOEM」を提案する、つまり販促目的の提携である。
https://corp.karadanote.jp/archives/3827
▼宅食事業
2021年5月26日、株式会社シルバーライフとの業務提携を公表した。「食」から家族の健康を支援する、という目的で、シルバーライフ社の宅食商品をカラダノートの利用ユーザーに提案する方針。具体的なサービス内容は両社間で検討中。
https://corp.karadanote.jp/archives/3794
▼保険商品の自社開発
2021年6月7日、ジャパンベストレスキューシステム株式会社(JBR)との業務提携を公表した。カラダノートの利用ユーザー世代特有のリスクである「産後うつ」と「二人目不妊」のリスクを同時にカバーする後払い型保険商品の開発に取り組むとのこと。JBR社は既に自社で保険商品を開発した実績があり、そのノウハウを借りることで商品開発を加速する狙い。
https://corp.karadanote.jp/archives/3810
▼心疾患早期発見プロジェクト
2021年6月25日、東京女子医科大学との共同プロジェクトを公表。「血圧ノート」アプリ利用者を対象に、スマートフォンを用いた心音聴取および心雑音解析により心疾患を検知する共同研究となる。こちらは収益目的の事業というより社会貢献的なプロジェクトだが、カラダノートのビジョン「家族の健康を支え笑顔をふやす」に合致する重要な取り組みである。
https://corp.karadanote.jp/archives/3841
▼カラダノートのがん保険事業
2021年7月5日、「カラダノートのがん保険」事業の開始を公表した。カラダノートのサービス利用者を対象に、SBI損保が提供するがん保険商品を団体契約として割安な保険料で提供する。カラダノートのサービス利用者は健康への関心が高く、疾病リスクが低いと考えられることから実現した。
https://corp.karadanote.jp/archives/3897
▼カラダノートウォーター事業
2021年8月11日、プレミアムウォーター株式会社との業務提携を公表。プレミアムウォーター社の商品をカラダノートブランドでOEM販売する。以前からカラダノート利用者にプレミアムウォーター社の広告を掲出していたが、一歩踏み込んでカラダノートがOEM販売することにより収益性向上を期待できる。
https://corp.karadanote.jp/archives/3996
購入に至る経緯
第一子の妊娠中に、「ママびより」の類似アプリを利用していた。素晴らしいユーザー体験だった。アプリ内で子どもが大きくなっていくのを見て、今どんな時期なのかを知り、妻と色々な会話をした。まだ見ぬ我が子を想い、父親になることを実感した。こんなふうに感動したスマートフォンアプリは、これ以外に無い。
そのアプリの運営会社は残念ながら上場していない。しかし類似アプリの運営会社であるカラダノートが上場している。そのユーザーは私と同じような体験をしているはずだ。そんなサービス、企業を応援したい。すべてのパパにこのアプリを使ってもらいたい、そしてパパになる喜びを味わってほしい。
ビジネス観点ではどうか。実体験から、妊娠・出産・育児初期に接するアプリは、EC・生命保険・不動産などの広告と相性が良いことは分かる。さらに当社は、ビジョンの実現に向けて新規事業の立ち上げや他社提携を矢継ぎ早に公表し、今後の成長余地に期待が持てる。
そして決定打となったのが、佐藤竜也社長。ツイッターが素朴。説明会でも、テックベンチャーの社長ぽくない、トツトツとした話し方。地味とも言えるが、そこが良い。ベンチャー界隈特有のビッグマウスは好きじゃない。この会社なら、堅実な成長を期待できるのではないか。社長の人柄は、長期保有するうえで重要な要件である。
「ホームラン用の仕込み」はワクワクしちゃうね
https://twitter.com/tatsu724/status/1408315436513390592?s=19
財務健全性
有利子負債0。現金同等物が8.98億円とIPO直後で資金潤沢。書くことがない。
コスト要因
人件費と採用経費くらい。アプリ開発エンジニアやデータ系人材の採用動向によってはコスト増や採用計画未達が起こりうる。
株主構成
佐藤竜也社長が筆頭。大株主に役員以外がいないのがとても良い点(穐田誉輝氏はほぼexit済)。VCやCVCは将来の売り圧力なので、IPOほやほやの新興銘柄は株主構成を把握しないと怖い。
成長性
売上、利益とも順調に成長中
但しPER80倍と成長を織り込んだ株価なので、更なる成長加速があるかどうか。逆に成長鈍化したら、即死。
成長戦略の軸は、広告モデルからの脱却。「多様な事業展開」の項と重複するが、人材紹介事業や不動産マッチングの自社運営、自社システムのOEM提供、広告主と業務提携して商品をOEM販売させてもらうなど、収益性向上を目指す取り組みを展開している。
2Qの決算説明会資料に、保険の商品開発について「今後検討した上で、適切な提携をした上で発表していきたい」と記載していたところ、後日6/7にJBR(2453)との提携を発表。有言実行で好印象。
今後どのように展開を進め、将来的にどういう世界観を作っていくのか、非常にワクワクする。
割安感
無い。IPO一年以内のマザーズ銘柄に割安感求められない。強いて言えば、時価総額100億円切ってることくらい。
競合
上場企業だとベビーカレンダー(7363)が類似アプリを提供している。ただし両社のビジョンは大きく異なる。カラダノートは「家族の健康」が起点であり、ベビーカレンダーは「赤ちゃんの笑顔」と出産育児領域に特化する姿勢。
非上場企業を含めると色々あるが、そこは上場企業の資金力と知名度で蹴散らしてほしい。カラダノートの「ママびより」は第三者調査で満足度1位を獲得するなど好評を博しており、非上場含めた類似アプリの他社に対して優位にある。
先にも書いたが、私は元々類似アプリのユーザーでありファンである。なのに競合であるカラダノートに投資して良いのか?というと、良い。理由は市場が拡大期だから。もし成熟した市場で限られたパイの奪い合いだったら、好きなサービスの競合には投資しない。できない。
しかし、ここは成長期の市場。20年11月〜21年1月でMAU数がYoY44%成長と、少子化が進む中でもアプリ利用者は拡大中。IPOにより得られる資金、知名度、信頼性を活用し、潜在的ユーザー(この場合は妊娠した夫婦)へのリーチをさらに強化できる。広告をじゃんじゃん打ち、有力チャネルと提携を広げ、ユーザーをガンガン増やしてくれ。もとより、素晴らしいユーザー体験、良質な情報記事、ユーザーの興味に沿った広告まで揃っているのだ。攻めていこう
既存の競合他社より、大手の参入の方が怖いかもね。特にリクルート、マイナビ、エイチームあたりは、アプリ開発もできるし、既存メディアで保険や不動産の広告主と取引があるので、参入しやすそう。市場が有望になった段階になって、資本の暴力で美味しいとこをもってかれる、というのが想定できる限り最悪の展開。
そのほか雑感
テーマとしては「子ども」「健康」「シニア」の三面張で国策に乗れる可能性があって良いんじゃないですかね。
以上です