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番外編 『踊りと私の話:小休止 〜トゥシューズとバレエシューズ〜』
こんにちは!
私の名前は、きこ。
この作者さんじゃなくって、私の名前ね。
毎週一回踊りと私の話をしています。
私ね、これまでいろんなことしてきているんだけど、振り返ってみると、そのどの時にも私のそばに踊りがあって、踊りが導いてくれたことがたくさんあったの。
で、私が出会った一番最初の踊りはバレエだったから、そこから順番に毎週少しずつお話をしてきてるんだけど、そろそろ次の踊りに出会うかなっていうタイミングなんだ。
だから、今日はね、番外編にしようと思って!
いつものお話はちょっとお休みにするね。
*
えっとね、前にも番外編ってやっているの。
あの時は白鳥の湖とかプリエの話をしていて、今日は何がいいかなぁって考えていたんだけど、、
前回トゥシューズのお話を少ししたでしょう?
✴︎前回のお話
このお話の中ではあまり入れられなかったから今日はトゥシューズのことと、あと、バレエシューズのことも少しだけお話しようかな!
***
◉トゥシューズ
前回の番外編での「レッスンでは白鳥の湖とかを踊っているんですか?」に引き続き質問シリーズ第二弾。
バレエをやっていますやっていました、というとよく聞かれること。
「あの靴には特殊な仕掛けがあるんですか?」
あの靴とはもちろんトゥシューズのこと。
そうよね。そう思うよね。
私も小さい頃ずっと思ってた。
学校の上履きとかではあんなふうに立てないしさ。
形も普通の靴とは違うし何かあるんだって。
答えは?
うん。まぁ、 「イエス」
ふふふ。魔法の靴みたいよね。
でも、
靴の中で宙に浮いているとかそういうのはないの。
そうだったらいいんだけど!
トゥシューズで立つ時に指の先は床についているのね。
靴の中で背伸びをしているとかでもなくて。本当につま先、爪の先のところで立っている状態。
それを可能にしているのがトゥシューズの『特殊』な部分なのかな。
トゥシューズ=ポワントとも言うのだけれど、この靴はとっても硬いの。
靴を持ってつま先部分を床に当てるとコンコン!っていう音がして、持って振っても形を保持しているのね。
この「硬さ」がポイント。
まず靴の前半分くらいが「ボックス」と呼ばれていて、布や紙などを糊で固めた素材で筒状にできているの。
そこが足を包んでくれて、足の指の付け根の骨のところ、ほら、足を上から見ると一番幅の広いところがあるでしょう?そこを筒に支えられているという感じ。
さらに靴の中底の布の下には「シャンク」という細長い板状のものが入っていて、外底には厚い革が貼ってあって、それが足の裏側から助けてくれている。
よく「鉄板とか木がはいっているんですか?」っていうのも聞かれるのだけど、これは、NO。
だから、とても硬いけれど踊ることができる硬さに馴染む(馴染ませることができる)靴!というわけ。
その適度な硬さと筒状の形によって支えられて立っている、という感じかな。
それでね。
これを新品そのまま履くのではなく、自分の足にあった状態にいろいろ加工する。
ボックス部分を押して(硬い靴の場合は踏んだりね)
柔らかくしたり、ソールも適度に曲げていったり。
新品をいきなり潰してしまうので「なんて悲しい」と思う人もきっといると思うけれど、自分の足を守るためにはとっても大切なこと。
ただし、この「馴染ませる」加減というのはいきなりはわからないので、最初は先生にお願いしてやっていただくのがおすすめ。
あの足首に巻かれているリボンも自分で縫い付けるし、履く時にはトゥパッドというつま先を守るパッドをはめて、人によってはテーピングを巻いたり、、、。
爪先部分を糸でぐるりとかがったり、ソールをカットすることもあったり。
加工の仕方はたくさんあるので詳しいことは省くけれど買いました!即履きます!
というわけにはいかないのがトゥシューズ。
なんだけど、自分のためにきちんと育てて、手入れをして、足の状態と相談をして何が必要か必要でないかを
見極めながら付き合っていく。
これは、とても楽しい作業なのです。
さて。靴が特殊なことはわかったけれど。
じゃぁ、この靴があれば誰でも立って踊れる!
というわけでなくて。
あの靴を履いて立つことのできる足、甲、身体と身体の使い方、、つまり正しく身体を支える脚の強さや体の引き上げや筋肉の使い方、それらがあって初めてあの靴を履いて踊ることができるのね。
それらはどれもシューズを履いて踊るためだけではなくて、踊りを踊るためにとても大切なこと。
だから毎日のように訓練して、あの妖精みたいな、背中に羽が生えていそうな、軽くて、しなやかで、力強い動きを目指していく。
そうやって「トゥシューズ」と「バレリーナ」がタッグを組むことで『立って踊る』ということができるというわけ。
なので、仕掛けがあるとしたら「その二つが組み合わさること」なのかもしれないね。
さて。
連載を読んでくれた人は気がついた?
そう。初めて私がトゥシューズを履いた時は、靴を馴染ませることを知らなくって新品のそのまんま履いちゃって、すっごい靴擦れになっちゃったの。
次からは馴染ませることを覚えていったけれど。
それでもマメになったり靴擦れしたりは日常茶飯事。
爪をこまめに切ることも大事なのよね。
爪が隣の指を傷つけてしまうことって案外多いから。
足の形も人それぞれ違うしその足の強さや時々の自分のレベルも違うし好みも違う。だから自分の特性を知って自分なりの快適な状態を見つけていくこと。
靴の加工の仕方とか、心地よいパッドとか。
もちろん足にあったシューズを探すこととか。
こういうのって、きっとどんなことにも共通する部分なんだろうね。
***
◉バレエシューズとトゥシューズ
バレエにはトゥシューズともうひとつ、バレエシューズという靴があるの。
布や皮でできた、柔らかな、薄いシューズで、これがバレエの基本のシューズ。
どんなに小さな子たちもこのシューズでレッスンを始めるので、バレエ洋品店でこどもサイズのシューズを見ると本当に小さくて可愛いの。
外を歩くような靴とは大きく違って、とっても薄いのが特徴。布で足を浅めにくるんで裏側に薄くて細めの革をぺたん!と貼り付けた、というのを想像してもらうといいかもしれない。
私もこれまで何足履いてきたかわからない。
布製・革製・ソールが一枚になっているフルソールのもの・つま先部分と踵と二つに分かれているスプリットソール、などいくつも履いてきたけど、それぞれ特徴があるので、その時ごとのレベルや好みなどで選んでいくのが一番かなぁ。
バレエでは必ず履く靴がバレエシューズなのです。
そして、トゥシューズというのはポワントとも呼ぶことが多い、つま先で立って踊るための特殊な靴。
表地はサテンで、靴の先は布や皮などを糊で固めてあるのでとっても硬くて、だからつま先で立つことができるのだけど、いきなり履くことはできないので、適切な練習〜準備と訓練が必要。
バレエの基礎ができていないと怪我につながってしまうし、骨や骨格がしっかりしていないうちはやはり危ないので、レッスンを重ねて、年齢も含めて先生に見極めていただいてようやくトゥシューズを履いてさらにレッスン、、となる靴なのです。
***
面白いのは、どちらの靴も左右がないこと。
(メーカーにもよるけど、基本的には左右がない)
知らないで初めて手にすると迷っちゃうよね。
どれも私の見てきた範囲での話だし、もっと詳しいことはたくさんあるから、ちゃんと知りたい人はきちんと調べてね。
私はバレリーナを目指していなかったけれど、それでも数年間でもトゥシューズを履くことを経験させてもらったのはとってもよかったなぁって思ってる。
経験したことって、身体の中の感覚のどこかにずっと残ってる。
それって豊かなことだなぁって思うの。
これからもいろんな経験をしていきたいし、好きなことでたくさんの毎日を送っていたい。そして、出来るだけいつでも楽しく笑って生きていたい。
みんなそうできたらいいねって、私は思ってるんだ。
さぁ。今週はここまで!
次回は来週6/10(土)更新予定です。
これからもたまに番外編とか挟みながら少しずつお話をしていくので、よければお付き合いください。
読んでくれてありがとう!!また来週ね!
元気で楽しい一週間を過ごしてね。
私もそうするから!
じゃね。きこでした!!
次回のお話
✴︎1話目からはここにまとめています。