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HSI(ハムストリング肉離れ)〜病態考察〜

こんにちは、BORDERLESSのKiyoです。

今回は、ハムストリングの肉離れについて考察していきたいと思います。

サッカーやラグビー、陸上競技を見ているアスレティックトレーナーやセラピストのみなさんは、ハムストリングの肉離れに多く遭遇するのではないでしょうか。
感覚的にもスプリントを繰り返す競技のアスリートはハムストリングの問題が多いという実感はあると思います。
また、ハムストリングの肉離れが繰り返されやすく、マネージメントに一苦労している事が多いでしょう。

そんな訳で今月は、ハムストリングの肉離れに着目して見ていきましょう!

*本文は各論文を要約してあります。僕個人の意見・見解は太字にしています。また引用してある論文を各項目に記載しておきますので参考にしてください。

今週は病態考察からしていきます。



1. 概要

(a, c)

ハムストリングの肉離れ(HSI)はスポーツ活動中に頻発するケガとされ、特にサッカーでは、全筋肉系のケガの37%がHSIとなり、再発率も12〜33%と、高頻度のケガになります。

サッカーに限ると、各ハーフの後半の時間帯での発生が多く、疲労との関連性が視野に入れられています。

また、オーストラリアンフットボールでは81%のHSIがスプリント中に発生しています。

プロサッカー選手でHSIの発生から試合復帰までに平均24日かかるとされ、ヨーロッパのチームのレギュラー選手は月50万ユーロ(約600万円)の給料があり、選手の離脱はチームへのマイナス影響も大きく、影響が大きいケガの一つとしてみられています。


Kiyo「選手としてもチームとしても予防や完治をしっかりとしたいですね。」



2. 頻度

(a, c)

最新のシステマティックレビューでは1000時間の運動中に、1.2〜4件の頻度でHSIが発生するとしています。
ゲーリックフットボール(サッカーとラグビーの中間のようなもの)では1シーズンに17〜20%、サッカーでは22%以上の選手がHSIを起こすとされています。

サッカーのユースチーム所属の17〜21歳の選手で1000時間の運動中に7.9%、9〜16歳で3.7%、若年層(9〜21歳)で5.8%と、若年層でも高頻度で発生するケガになります。

HSIは重症度が高くなる事も頻繁に起こり、HSI全体の18%以上は重度になり、復帰に28日以上かかるとされています。



3. メカニズム 

(a, b, c, d)

HSIの原因として、エキセントリック収縮によるものと、過度の筋のストレッチによるものに大別されます。

HSIの発生機序としては、ストレッチタイプとスプリントタイプがあるとしています。

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