製品レビュー|電子機器5:ミニパワーリレー MY4 DC24 /2-9709-03
1.概要
購入した製品の使い方および感想用記事です。
今回は「ミニパワーリレー MY4 DC24 /2-9709-03(1,211円/個(税込))」および同等品の「24V 4回路C接点 リレー 952-4C-24DN LEDインジケータ付(350円/個(税込))」をレビューします。
2.原理の理解
2-1.製品原理
リレーの原理を説明します。説明資料は下記を参照しました。
2-1-1.基本構造
リレーとは外部から電気信号を受け取り、電気回路のオン/オフや切り替えを行う部品です。リレーは大きく分けて有接点リレー(メカニカルリレー)と無接点リレー(MOS FETリレー、ソリッドステート・リレー)に分類され、今回は優接点リレーを取り扱います。
基本構造は「電気信号を受けて機械的な動きに変えるコイル部」と「電気を開閉する接点部」で構成されます。コイル部と接点部は完全に絶縁されていて、回路的に独立しています。
電気をコイル部に流すと接点の開閉を操作できるため、スイッチ機能を実装できます。
2-1-2.リレーの特徴/働き
リレーの特徴による用途は下記の通りです。
小さな電流で大きな負荷の開閉を行う
コイル部と接点部で別の電圧を扱うことが出来る。人が作業するコイル部を低電圧にすることで安全に作業することが可能
異なる種類の電気信号を伝達する
DC電源を使用してAC負荷の電気制御(開閉)が可能
PLCなどからのDO(DC出力)からAC負荷の装置を制御できる
一つの信号入力で複数の出力を出す
同時に制御したい場合などに便利
接点は切り替えの種類により3つに分類されます。
a接点(メーク接点):接点側は常時Openであり、コイル部が通電時に接点側がCLOSEする
b接点(ブレーク接点):接点側は常時CLOSEであり、コイル部が通電時に接点側がOPENする
c接点(トランスファー接点):a接点・b接点両方を持っており、コイル部が通電時にa接点・b接点が切り替わる
2-2.製品仕様
2-2ー1.製品仕様:リレー(オムロン:MY4 DC24)
仕様は「有接点、c接点、DC24Vで動作」の物を選定しました。詳細仕様に関してはメーカーのデータシートに記載の通りです。
【定格/性能】
【端子配置/内部接続、特性図】
2-2ー2.製品仕様:リレー(HSIN DA)
秋月電子で安価なリレーがありましたのでこちらも試してみました。
2-2ー3.製品仕様:リレーソケット
リレーには取り付けるためのソケットが必要です。こちらの仕様も記載しておきます。
【図面】
【比較(左:AHJ3848 HJ4-SFD(Panasonic)、右: PYF14A-A(Hsinda)】
3.部材の購入
3-1.購入品
購入品は下記の通りです。
OMRON(オムロン) ミニパワーリレー MY4 DC24 /2-9709-03
24V 4回路C接点 リレー 952-4C-24DN LEDインジケータ付
リレー用ソケット PYF14A-A
3-2.準備必須品
その他必需品は下記の通りです。なお動画は素手ですが24Vでも絶縁手袋などは用意・装着した方が良いと思います。
DC24V電源:リレーのコイル部用電源
準備方法は下記記事参照
スイッチ(押しボタン、トグルなど)
自己保持回路を学習するためには起動と停止用の2個必要
今回は設置場所でa接点・b接点を選べるボタンを購入
4.使用前の準備
4-1.部材準備
事前準備として下記を用意しました。
DC24V電源:パワーサプライを用意
OMRON S8VSタイプ: S8VS-06024A
リレーをリレーソケットに設置
リレー動作時の接点側用にLEDを準備
【パワーサプライの外観】
【リレーをリレーソケットに設置】
4-2.部品の組付け
最終的な部品の組付けは下図の通りです。これでボタンを押すとLEDが光ります。詳細は追って説明します。
5.動作原理の理解
動作検証は簡単にできますが、各部品の原理的なところを深く理解していきました。
5-1.リレーの構造
こちらは2章で説明済みのため外観だけ紹介します。コイルと隣にあるのが接点部であり、これが通電と同時に動きます。
【OMRON(オムロン) ミニパワーリレー MY4 DC24 /2-9709-03】
LEDが光っている時コイル部に通電中
【24V 4回路C接点 リレー 952-4C-24DN LEDインジケータ付】
5-2.リレーの内部接続/端子配置
リレーのどこに配線したらよいかは、リレーおよびリレーソケットの仕様書を確認(本体にも記載あります)します。
仕様書よりリレーの13, 14がコイル部であり、ここに電源を流すことで接点が切り替わります。本製品はコイル極性がないため直流電源でも向きを気にせず接続が可能です。
また本リレーは4c接点であり、下記の通りです。
今回の試験では1-5-9の接点だけ使用します。ここでNCとNOを確認するためにRaspberry Pi Picoから3.3Vの電源をそれぞれの接点(1-9と5-9)に接続した時の挙動を確認しました。
LEDの配線方法は下記記事をご確認ください。
(リレーのコイル部に通電していない状態でも)NCはLEDが点灯し、NOはLEDが反応しませんでした。c接点ではコイル部に通電するとLEDの状態が逆になる(接点が切り替わる)ので、これを動作検証で確認していきます。
5-3.押しボタンスイッチ
今回購入した押しボタンスイッチはNO(常時開)とNC(常時閉)が選択できます。分解+動作確認をし、構造を理解してみました。
結論としては上がNC、下がNO
上(NC)にすると、ボタンを押すと接点が開く(b接点)
下(NO)にすると、ボタンを押すと接点が閉じる(a接点)
縦方向は完全に絶縁されており、中央部にある水平板により接点を作っている。ボタンを押し込むと水平板が下の接点部にあたることで通電する。
6.動作検証
前述の通り下記のように配置しております。これでスイッチを押すとコイルに通電され、LEDが光ります。
コイル部:電源(DC24V)▶押しボタン(a接点)▶リレー13▶リレー14▶電源
接点部:電源(3.3V)▶リレー9▶リレー5(NO)▶LED▶抵抗器▶GND
結果として想定通りの動作が確認できました。リレー特性の「コイル部と接点部は完全に絶縁されていて回路的に独立」されているため、コイル部に接続したスイッチ(DC24V)を操作しても、接点部(3.3V)のLEDは問題なく動作しています。
7.学習:自己保持回路
先ほどの回路はボタンを押している間は接点部が動作しましたが、ボタンを離すと通電が停止しました。原因はコイル部の通電が停止すると、コイルの電磁石機能がなくなり接点が元に戻るためです。
一般的な機器にあるように、ボタンを押したら動作がずっと続くようにしたいです。これを可能にする回路が自己保持回路です。
自己保持回路とはリレーが持っている接点を利用してリレーの動作を保持する回路です。一度入力された信号を復帰用の信号が入るまで保持します。
7-1.自己保持回路の設計思想
自己保持回路の設計思想的には下記の通りです。
そのままの回路だと押しボタンを押した時にコイル部に電圧が印加され、離すとなくなる。よって、ボタンを押したらずっとコイル部に電圧が印加され続ける状態を作る。
この状態を作るために、押しボタンスイッチを押した時に作られるa接点と電源を繋ぐ。押しボタンスイッチを押すとa接点にからもコイル部への導電ルートが形成されるため、スイッチの接点を切っても電源はa接点を通じてコイル部に供給される。
上記の状態だと、一回電圧が印加されると一生そのままとなる。よって、導通を遮断することができるためのb接点(ボタンを押すとOPEN)を回路内に設置する
電源ーa接点の間にb接点をつけ、接点を切ることでa接点をOPENさせコイル部への電源供給を停止させる。
7-2.自己保持回路の配線
自己保持回路を下図参照して作成してみました。
各状態における電気の流れは下図の通りです。なお停止用ボタンを押す(b接点)と電気の流れが遮断され、コイル部への導電がなくなりa接点はOPENになるため、連続的な電気の流れを遮断することが出来ます。
7-3.動作検証
動作検証し、下記を確認できました。
起動用ボタン(NO)を1回押すと連続して電気を供給できた。
起動時にボタンを何回押しても導電状態は変化なし
停止ボタン(NC)を押すことで、自己保持回路を切断できた。
8.所感
簡単な所感は下記の通り。
やっと電気の基礎の基礎を理解できた。
自己保持回路は他の人の記事を何回見ても理解できなかったけど、自分で動かしてやっと理解できた。
メカニカルに動くため、動作速度はトランジスタ方式より遅いのは当たり前なのがわかる
参考資料
あとがき
やっと制御の基礎中の基礎に踏み込めたような気がする。ここからPLCや制御盤の校正を理解すればIoTとかシステム制御設計ができるような気がする・・・・
電気回路図は勉強しなおして、後で追記したい。
あと、「24V 4回路C接点 リレー 952-4C-24DN LEDインジケータ付」も基本的に同じ動作するはずなので、後でチェック
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