コミュニケーション能力の本質
昨日の投稿で紹介した六花亭のアメリカ出店の話題の続きです。それを報じるニュースに「語学力だけでなく、コミュニケーション能力を備えた社員を育て、サービスの向上を目指したい」という一文がありました。さて、コミュニケーション能力とは具体的に何を指すのでしょうか。気になったので調べてみました。
「日本人のコミュニケーションに対する意識と能力の向上」を目的として活動する日本コミュニケーション能力認定協会によると、コミュニケーション能力とは「人と意思疎通するための力」であり、さらに突き詰めると「人と理解しあうための力」と定義しています。また、辞書には「感情を互いに理解しあい、意味を互いに理解しあう能力」「感情面に気を配って、意味をわかちあい、信頼関係を築いてゆく能力」とあります。
ところで、あなたはどの程度のコミュニケーション能力をお持ちでしょうか。同協会によると、コミュニケーション能力の低い人には共通する7つの特徴があるとのこと。冷静になりセルフチェックしてみましょう。
1.人の話を聴かない
2.話の目的・結論がはっきりしない
3.自分本位・自分の都合を優先する
4.相手の話を奪ってしまう
5.ネガティブな発言や反応をする
6.相手の気持ちが読めない
7.会話を広げない
いかがでしょうか。あまりにも図星で、胸が痛くなった人がいるかもしれません。私にも思い当たるところがあります。しかし、それは自己を客観視できていることの証でもあります。自己改善は自己客観視から始まります。
では逆に、コミュニケーション能力の高い人の特徴は何でしょうか。同じく同協会は次の7つを挙げています。こちらも落ち着いてセルフチェックしてみましょう。
1.相手に興味・関心を強く持っている
2.相手の心理(気持ち)を読み取れている
3.相手との一体感を作っている
4.傾聴のポイントを押さえている
5.わかりやすく話す
6.うまい喩え話を上手に使う
7.鉄板ネタ・話題を準備している
両方を比べてみると、あるものの有無がコミュニケーション能力の巧拙に関わっているように思います。それは、おもいやりの心。辞書によると「他人の身の上や心情に心を配ること」をいいます。漢字一字で表わすなら「恕」となります。
恕については、古代中国の思想家、孔子の言行を弟子が記録した書物『論語』に有名なくだりがあります(衛霊公第十五)。子貢という弟子が師匠の孔子に「生涯行うことを一文字で言い表せましょうか?」と問いかけたところ、「其恕乎、己所不欲、勿施於人也(それは恕だろう。自分がされたくないことは、人にもしてはならない)」と答えたというものです。
六花亭がめざすコミュニケーション能力を備えた社員育成の中核には、この「おもいやり」があります。あたたかい販売も、うつくしい利益も、すべておもいやりを基礎として成り立ちます。六花亭二代目が語る「売上に代わる価値観」とは、おもいやりの心を指すのではないでしょうか。