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買うか、買わないか

ボイコット(boycott)とは、組織的、集団的にある商品を買わずに、取引を拒絶すること。たとえば、フランスの核実験再開への抗議として1995年にフランス製品の不買運動が起こりました。このように“買わない”ことで望む未来をつくろうとする非消費行動をいいます。

反対に“買う”ことで自らの意思を表示するのがバイコット(buycott)です。「買う(buy)」と「ボイコット(boycott)を組み合わせた造語で、対象を“応援”する消費行動です。たとえば、東日本大震災を機に広がった「応援消費」もバイコットの一例となります。

また、環境や社会問題などに配慮した商品を優先的に購入する「エシカル消費」が注目されています。エシカル(ethical)とは英語で「倫理的」を意味します。エシカル消費の背景にも、環境や人権、労働環境などに配慮したビジネスを消費者の立場からバックアップすることが、業者や企業に適切な対応を促すことにつながるといった考え方があります。バイコットは、「エシカル消費」の一種といえるでしょう。

消費者庁が実施した「令和6年度第3回消費生活意識調査」では、エシカル消費を中心に調全国の15歳以上の男女5000人を対象に、インターネットによるアンケート調査を実施しています。「エシカル消費」という言葉を知っているか聞いたところ、知っていると回答した人の割合は27.4%。年代別では、10歳代、40歳代の認知度が高いという結果が得られました。


では、どれくらいの人がエシカル消費を実践しているのでしょうか。実践していると回答した人の割合は36.1%であり、昨年度から増加しました。年代別では70歳代以上の実践度が最も高く、若い世代の中では10歳代が20歳代や30歳代に比べ実践度が高くなっています。

「エシカル消費を実践している」と回答した人に、エシカル消費に取り組む理由について聞いたところ、「同じようなものを購入するなら環境や社会に貢献できるものを選びたい(53.3%)」と回答した人の割合が最も高く、次いで「節約につながる(50.4%)」「環境問題や社会問題を解決したい(49.2%)」となっています。逆に「エシカル消費を実践していない」と回答した人に、その理由を聞いたところ、「どれがエシカル消費につながる商品やサービスか分からない(23.0%)」「経済的余裕がない(20.1%)」と回答した人の割合が高くなっています。



たしかに、いくら良いものでも価格が高すぎれば続きません。エシカル消費につながる商品の価格の許容度はどの程度なのでしょうか。エシカル消費につながる商品を今後購入したいと回答した約6割の人に対し、エシカル消費につながる商品がどの程度なら割高であっても購入したいか聞いたところ、最も許容度の高かった商品は「食料品」で77.0%、最も低かったのは「自動車」で 60.5%となっています。


こうした消費行動に応えようとする店や企業も増えています。けれど、それが自社の都合や見せかけに感じられる場合も多いと言わざるを得ません。たとえば、自社の発注ミスで賞味期限・消費期限が迫る商品を、「廃棄ロス削減のため」と理由づけして販売する場合などです。「(発注ミス・製造過多による)廃棄ロス削減のため」と表現する誠実さが商人には大切です。

さて、あなたの店や企業はこうした消費行動によって支持されたいと考えているでしょうか。もし、答えが「YES」ならば、まずはあなた自身があなたはそうした消費行動を実践すべきです。そうした行動を通じて、お客様の心を知ること、そこから始まります。

買物という営みは売り手への信任の証であり、財布の中のお札とは良い店、企業を選ぶ投票券です。お客様にとって買物はいつも真剣勝負です。その真剣さに真摯さで応えられる店や企業でありたいものです。お客様は常に買物という営みを通じて、あなたの人間としての心の美しさを求めています。

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