源流
「このたび当社は、全社員、役員が遵守すべき企業原理と経営理念を定め、明文化した。長い時間をかけ、幾度もの議論と推敲を重ね熟成させた各条文は、当社の企業経営と行動のあるべき本質を射抜く、珠玉の教えと戒めであると確信している。同時にこれらは私の腹の底から絞り出された「肉声」でもある。願わくば、その行間から、熱き想いと生々しい本音、そして血と汗と涙が凝縮されていることを嗅ぎとり、心して熟読玩味していただきたい
この一連の文章から始まる冊子があります。
「ここに定める企業原理と経営理念は、普遍、不易かつ絶対的なものである。いかなる時、場合も一切の例外なく、これを遵守しなければならない。
この文章をまとめた創業者も、「遵守」の例外ではない。「当社」とは、ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)。「私」とは、創業者の安田隆夫さんです。
同社の企業原理と経営理念がまとめられた冊子「源流」は2011年につくられ、2013年に改訂されたPPIHで働くすべての人の憲法です。本書によると「源流」とは、「文字通り『流通の源』である。われわれは、世界のどこにもない新たな流通を創造し、顧客に喜ばれ、成長し、社会に貢献してきた。本書はその根源となるものを、あますところなく著したものである」と巻末で締めくくられています。
同社の「企業原理」とは、顧客最優先主義。
■「顧客最優先主義」をドン・キホーテグループにおける不変の企業原理とする
■「顧客最優先主義」が全ての企業行動を規定し駆動させる
■「顧客最優先主義」を実現するために「経営理念」を遵守しなければならない。
本書ではこの後、「企業原理にこめた思い」として、顧客最優先主義を「至極当たり前のことであり、本来ことさら強調する必要のない所与の概念」としつつも、を次のように戒めています。
「逆に、だからこそそこに落とし穴がある。つまり、あまりに当たり前すぎるがゆえについ感覚がマヒし、結果として店の都合が優先される『顧客後回し主義』がはびこる要因になる。そして少しでもそれが店で露呈すれば、顧客は二度と来店してくれない」
この企業原理を「どこまでも愚直に突き詰めてい」くために、同社では次の「経営理念」を掲げ、実践に努めています。
第一条 高い志とモラルに裏づけられた、無私で真正直な商売に徹する
第二条 いつの時代も、ワクワク・ドキドキする、驚安商品がある買い場を構築する
第三条 現場に大胆な権限移譲をはかり、常に適材適所を見直す
第四条 変化対応と創造的破壊を是とし、安定志向と予定調和を排する
第五条 果敢な挑戦の手を緩めず、かつ現実を直視した速やかな撤退を恐れない
第六条 浮利を追わず、中核となる得意事業をとことん突き詰める
36期連続の増収増益は、その記録といえるでしょう。
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