相手の喜びをわが喜びとする
「プロフェッショナル」と言われる人たちを取り上げるドキュメンタリー番組「プロフェッショナル仕事の流儀」は2006年放映開始以来、400人以上のプロに焦点を当てています。その中で、私にとってもご縁の深いプロが語った「プロフェッショナルとは何か?」を振り返ってみます。
200年以上の伝統を持つ老舗うなぎ店「野田岩」の五代目、金本兼次郎さんは90歳を超えた今日も板場に立ち、お客様に最良の一品を届け、若い職人たちに技術を伝えようとうなぎをさばいています。金本さんは、プロフェッショナルをこう定義しています。
「80(歳)になっても、90になっても、100になっても、職人として一流のプロはどこまでも追求心がある。もう一つ言うならば、人柄ね。愛される人間にならなきゃ、かわいそうな人間になると思う」
☑常に同じ仕事をする
☑仕事に“美しさ”があるか
☑仕事を“作業”にしない
これが金本さんのプロとしてのこだわりです。
宮城県仙台市郊外、人口4200人程度のちいさなまちで、おはぎをお彼岸の中日には2万5000個、週末には1万個、平日でも5000個を売る店があります。主婦の店「さいち」はわずか80坪ほどのスーパーマーケットですが、その商いを学ぼうと全国各地から視察が絶えない店です。
経営者、佐藤啓二さんを取材させていただいたのはもう十数年前。その間、変わることなく、いえ、より丁寧で質の高い商いを続けていらっしゃいます。
佐藤さんは、プロフェッショナルをこう定義しています。「自分の目的意識をきちっと決めましたら、それにまっしぐらに磨いて進むことがプロフェッショナルだと思います」。
佐藤さんと二人三脚でさいちを営んできた奥様の故・澄子専務はこう定義しています。「お客さん一人一人に喜んでもらえる人、それしかないよね。それだけなんだよ」。
☑常に「きちっと」
☑客の笑顔を思い浮べる
☑一人のお客を幸せにする それが第一歩
これが佐藤ご夫妻のプロとしてのこだわりです。
東京・羽村市の本店をはじめ、こだわりぬいた食の逸品をセレクトしたテイスティングマーケット「福島屋」創業者の福島徹さんは、伝え手である商業家として作り手である生産者と、食べ手である生活者の最善の出会いを演出します。その店の在り方は従来のスーパーマーケットの常識を疑い、一つひとつを変革してきた歴史です。
福島さんと商業者、生産者、加工業者が同じ価値観で生活者に向き合う学びの場を設けたり、アメリカ視察をご一緒したことは私の財産です。福島さんは、プロフェッショナルをこう定義しています。
「どんな状況でも楽しさを見いだし、純粋な心でこつこつと、ひとつひとつ積み上げていける根気力の持ち主だと思います」
☑売れそう、ではなく 役に立つか、で考える
☑どちらも損しない関係 それが、利益を生む
☑いい品は、いい人柄が作り出す
これが福島さんのプロとしてのこだわりです。
このようにプロフェッショナルとは、お客様に最善を尽くす者。プロフェッショナルとは、そのために自分を磨く者。プロフェッショナルとは、相手の喜びを自分の喜びとできる者。その意味では、私たちは誰もがプロフェショナルであるべきなのです。
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