商店街と角打ち
東京駅から北陸新幹線で1時間半かからずに着く佐久平駅(長野県佐久市)。ホームからのエスカレータを上ると、そこには13の菰樽(こもだる)が並んでいます。いずれもこの地でつくられる日本酒で、千曲川の最上流地域にあたる佐久平はおいしい米の産地として知られ、13の酒蔵があります。
「これらを一カ所で飲めるところがあったらいいな」と、訪れるたびに思っていたのは、私だけではないはず。先日、その願いが叶う店と出会いました。
佐久平駅から車で10分足らずにある「岩村田商店街」は、古くは中山道六十九次のうち第二十二次の宿場町として栄え、この地の商業の中心地として愛されてきました。ここに13酒蔵すべての銘柄が楽しめる角打ちの店「十三くら」が開店したのは8月1日のことです。
店内に入ると13酒蔵の日本酒瓶が一堂に陳列され、棚には蔵元ごとに4合瓶が並んでいます。それぞれの特徴をスタッフに聞き、気になる一本を選び、その場で味わうことができるのが角打ちならではの醍醐味。猪口はレンタル(200円)と買い取り(500円)から選べ、買い取った猪口をキープしている常連もいました。
営業時間は15時30分から18時30分と、夕方3時間ほど。飲み会前の待ち合わせや0次会、仕事終わりに一杯といった使い方で楽しめる店となっています。購入した4合瓶の残りは自宅への土産として持ち帰れます。1合売りもされており、数種類飲み比べることもできるから、お土産選びに最適です。
運営は、商店街の有志や佐久商工会議所でつくるまちづくり会社「まちづくり佐久」。空き店舗を活用して、まちに出会いと交流を生みだすことを目的につくられました。佐久平駅周辺へ大型店の出店が相次ぎ、「商店が集積する街」から、商業・居住・医療・福祉などで構成する、歩いて暮らせる「生活に役立つ街」への自己変革に取り組む岩村田商店街の新しい名所に、また訪れたいと思うのでした。