奥にあるもの

「ケ~ロヨ~ン!」や「バハハ~イ!」は、幼いころの記憶にうっすらと残るフレーズです。あなたはご存知でしょうか。


1960年代後半にテレビで流行ったカエルのキャラクター、ケロヨンです。日本随一の影絵作家、藤城清治が生んだキャラクターであり、現在は栃木未来大使をしています

幼いころ、家にあった雑誌「暮しの手帖」の中で見た藤城さんの作品は、幼かった自分にとって、見知らぬ世界への入り口であり、どこか寂しさと、どこか懐かしさを感じさせる作風でした。以来、作品に触れては、幼いころを思い出し、かつ新しさを感じてきました。




藤城さん、現在の御歳は100歳。今も現役のクリエーターとして数々の作品を発表しています。常に新しい画題に取り組み、とどまることを知りません。私が仰ぎ見る先達の一人です。


藤城さんの言葉に、こんな一節があります。


「ほんものの美しさは、奥にかくれていて、簡単には見えない。時間をかけなければ物の本質は見えてこない場合が多い。

また、世の中には、失敗や挫折や様々の経験を味わわなければ、わからないものも多い。その苦い経験の中に人間としてもっとも大切な宝がかくされているように思う。

失敗も挫折も味わった。最近はスポーツカーでなく、もっぱらウォーキングをしている。一歩一歩ふみしめて毎日一万歩歩くようにしている。

美しい作品をつくるには、まず美しい心をもった自分自身をつくることだろう。光と影、それはつくづく人生そのものだと思うようになった。」




どんな仕事も、時間をかけなければ本質は見えてこないのかもしれません。美しい作品をつくるには、まず美しい心をもった自分をつくること――。


「良い商人とはすなわち良い人間のことである」といった商業経営指導者、倉本長治の思想に共通するものを感じます。

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