見出し画像

商売はノウハウよりも「人情力」

昭和の石田梅岩――商業界創業者、倉本長治はこう評されることがあります。「士農工商」と言われた江戸時代、商いの社会的使命と商人としての道徳を説いた石門心学の祖、梅岩は私にとってもメンターの一人です。

手許には石田梅岩について書かれた本がいくつかありますが、ここでご紹介するのはその一つ、『商売はノウハウよりも「人情力」』という一冊。著者は、東京・江戸川区で書店「読書のすすめ」を営む清水克衛店長です。

「泣かす 笑かす びっくりさせる」という方針の下に品揃えされた本を、来店客の話を聞いて薦める“本のソムリエ”として全国に知られる人物。先日、久しぶりに訪れたところ、その品揃えはさらに尖り、伝播力はさらに高まっていました。

「『売る』という言葉があります。むかしは、『売』という字は『士』をかんむりにして『買』を下につけて『賣』と書いたんですね。これをひもといて考えてみますと、『売る』という行為は、買う側が店主の人となりに惚れたり、なにがしかの志が気に入って『それ、買った!』というセリフが生まれて、はじめて商売というものが成り立っていたというのが本質でしょう」(本書91ページ)

本書は清水店長による石田梅岩の教えの解説書。その本質が、魂の商人、清水店長ならではの説得力で伝わってきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?