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フィルムカメラで歩いた福井

 新幹線の延伸に沸く福井であるが、その開業直前のあまり関係のない時期に切符が安くなったので、福井をうろついてきた。福井と言えば、昔なら東尋坊か永平寺。今なら恐竜博物館か紫式部という事になるが、その方面の情報を期待した方には大変申し上げにくいのだけど、どれもかすってないな。まぁネタバレなしという点においては、これから福井へご旅行という方にも安心してお勧めできるコンテンツとなっております。

 いつもならフィルムカメラをメインにとか言いつつ、ついついデジタルも連れて行ってしまう。エメラルドグリーンな海が広がっているかもしれないし、食べたものを記録したいかもしれない。まぁでもその類のものは画像検索でも出てくるものだし、安心安全のデジタルがあると思うと、フィルムの写真もどうも視点がぼやけ気味になるのだ。ここはひとつ男らしくコニカC35EF一本で勝負してやれ!と意気込んだのも束の間、「でもボケが欲しい時もあるかも・・・」などど少し弱気になり、結局かばんにOM-1も放り込んで家を出た。

 福井県内を鉄道で移動するなら、やたら充実している一日券が便利だ。会社をまたがって乗れるやつもある。今回はえちぜん鉄道の一日券を使った。例えば福井から三国港まで往復すると1640円だが、一日券なら1,200円とえらく安い。もちろんその気になれば更に勝山まで行ったっていいのである。まぁその気になるまでもなく、勝山も行くんだけど。

 そして、えちぜん鉄道が素晴らしいのは、乗る時にアテンダントさんがにこやかに出迎えてくれることである。新幹線だったらグランクラスだけだが、えちぜん鉄道なら1,200円のきっぷでもOKだ。大きな駅だとドアが全部開いてしまうので、一番前しか開かない無人駅から乗ることをぜひお勧めする。

OLYMPUS OM-1 ZUIKO55mmF1.2

 温泉に行く人におすすめの場所を案内したり、脚の不自由なお年寄りのために出入り口に近い席を確保したりという仕事ぶりが素敵・・・というより、笑顔が眩しすぎます。


 さて昼飯である。福井で昼飯と言えばやっぱりソースカツ丼である。と来ればやっぱりヨーロッパ軒だろう。初めての福井ならそれで間違いない。でももう何度か食べているし、この時間なら行列は覚悟しなければならない。そこでおいらはオレボである。オレボというのは福井ローカルのコンビニで、イートインがやたら充実している。イートインと言うかほぼ食堂である。コンビニ弁当の値段で、揚げたてが頂けてしまうのである。会社の近くにあったら、絶対通ってしまうな。


KONICA C35EF HEXANON38mmF2.8

 大盛況な恐竜博物館の一方で、勝山の街中は昭和から時間が止まっているようだ。当然もうこの時計店は営業していないのだと思うが、その軒下に掛かる時計は、僕のスマートフォンと寸分違わぬ時刻を刻んでいるのだ。誇り高きこの店の元主人のこだわりに違いない。


KONICA C35EF HEXANON38mmF2.8


KONICA C35EF HEXANON38mmF2.8

 恐竜博物館には行けなかったが、勝山の街にはあちこちに恐竜が潜んでいる。だからそこが工事現場であろうと、老舗和菓子店であろうと油断できないのである。ショッピングセンターの100円ショップだってダイナソーに見えてくる(こないか)。

 恐竜のような派手さはないが、個人的には眼鏡の街鯖江を推しておきたい。街を歩くとベンチやガードレールなどがメガネしていたりするので、それを探すのが面白い。ただそれは前に来た時にある程度見つけてしまった。それにこの手のものは作った方も狙っているので、今回は図らずもメガネしてしまったというものを探してみようじゃないか。と、意気込んでみたものの、ちょっとハードルを上げ過ぎたようで、案外と見つからないものだ。

OLYMPUS OM-1 ZUIKO55mmF1.2

 撤去されたガスメーターを下から撮ってみた。眼鏡というより、ロボットっぽいか。

 え?あのお奉行様がカレー屋を!?まぁ、カップスープで有名なクノールの社長を大岡家の子孫の方が務めていたのだから、別にカレー屋をやっていたっておかしくはないかな。

KONICA C35EF HEXANON38mmF2.8

 帰ってフィルムを現像してみれば、福井らしいものはほとんど写っていないんだな。福井は名所同士が割と離れていて、観光するには少し工夫が必要なのだが、僕のように全く目的が無いスナップを撮るような人間には、時間がゆったりと流れていてなかなか心地のいいところである。

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