#7 『君の名は。』〜武士の進化〜
うなるような筋肉。
巨大な獣にも
ひるむことなく挑んだ。
その豪快な姿に反して
繊細な感性ももっていた。
私たちと
よく似ているけれど
どこか違う、
そんな彼らと
ある日出会った。
『君の名は。』
7万年ほど前に起きた
火山の大噴火による
気候の急激な変動によって、
人口わずか数千人にまで減少し、
南アフリカで
絶滅の危機に瀕していた
ホモ・サピエンスも、
気候が落ち着くにつれて
その数を増やし、
さらなる新天地へと
生息範囲を広げ始めた。
そして、
彼らと出会う。。
私たちサピエンスと彼らは、
もともと同じ種であった。
だが、
アフリカ大陸を飛び出した
一部のグループが
40万年ほど前に独自の進化をし、
私たちとは異なる種となったのだ。
彼らは
寒冷地に適応した為、
筋骨隆々で
太く短かい手足であった。
そして、
曇りがちなヨーロッパの気候でも
太陽からの紫外線を吸収し、
生命活動に不可欠なビタミンDを
生成できるように、
肌や髪の色が薄かった。
熱帯での進化を経た
サピエンスとは対極の身体である。
彼らの名称は
彼らの人骨が初めて発見された場所、
ドイツのネアンデルタール谷にちなんで
『ホモ・ネアンデルターレンシス』と
名付けられた。
(通称、ネアンデルタール人)
骨を発見した者は、
あまりに野太く
がっしりとしたそれを見て
熊の骨かと思ったと言う。
頭蓋骨の発見から
人類らしいことはわかったが、
考古学者達は彼らのことを
知能が低い野蛮な生き物だと考えた。
しかし、
その後各地で発見される
ネアンデルタール人の遺跡から、
彼らが火を使用し、
高度な技術による狩猟道具を作り、
衣類の作成を
おこなっていたことが判明した。
さらには、
アクセサリーを身につけ、
壁画を描き、
死者に花束を
たむけるような、
抽象的概念を要する
行動をしていたこともわかった。
彼らが扱っていた文化は、
当時(6〜4万年ほど前)の
サピエンスと比べても
引けを取らないばかりか
上回ってさえいる。
これらの発見を前に
頭の固い学者達も納得せざるをえず、
ネアンデルタール人のイメージは
くつがえされることとなった。
しかし、
新たな疑問が生まれる、、
高知能で
筋力にも優れていた彼らが
なぜ、今、、
いない、、?
次回
#8『消えた天才』