不自由な幸福のはなし

私はいつも22時ごろにベッドに入る。
電気を消すと、飼い猫のナツも自分の寝床に入って丸くなる。
ナツの寝床は私の足元だ。

ここ数日はほぼ毎日雪が降り、いよいよ冬到来といったふうである。
朝晩は氷点下まで冷え込む日もある。
家の中ではもちろん暖房をつけており、私の部屋には大きめのパネルヒーターがある。
そのヒーターの真横に私のベッドがあるのだが、いま、ナツは私とヒーターの間に寝ている。
たまに、こうして添い寝してくれることがあるのだ。
"添い寝してくれる"と書いたが、それは私の捉え方であって、ナツがどういうつもりかは知らないし分からないままでいい。
ただ、暖かいヒーターと飼い主の間で寝ようかな、そう思ってくれただけで嬉しいのだ。
私には子どもはいないが、親バカってこういう感じなのかもしれない。
腰から太ももにかけての感触で、そこにナツがいることがわかる。
もしかしたら私が脚を動かしたり寝返りを打てば、ナツは寝床に帰ってしまうかもしれない。
できるだけ体を動かさないように気をつけて眠りにつくことにする。
雪国のとある街。
何の変哲もない家での、不自由な幸福である。

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