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銀鏡イオリってチュウズーボだよな

 だよな、って言われても、そもそもチュウズーボってなんやねんって思う人も多いだろう。

 チュウズーボは、「忍風戦隊ハリケンジャー」の敵組織、「宇宙忍群ジャカンジャ」の幹部だ。この幹部は「暗黒七本槍」と呼ばれ、チュウズーボは「二の槍」を頂いている。
 ハリケンジャーは、地球の忍者と宇宙の忍者が、とある秘宝を巡って争う話であり、チュウズーボは七本槍の先陣を切ってその秘宝の捜索に乗り出した。「幹部の中で一番槍を務める」「短慮なパワータイプ」「失敗続きで追い詰められる」と、お手本のような「悪の組織の一番手」キャラである。というか、ここまで「一番手のイデア」に忠実なキャラとなると、意外と他に見つからないもんである。

 もちろん、イオリのことを、「失敗続きで謹慎を命じられそう」とか、「郷里大輔が声をあててそう」とか思っているわけではない。いや嘘。前者に関しては30%くらい思っている。ヒナが命じなさそうというだけで、トップ次第ではそういうこともありそう。

 銀鏡イオリは、ゲヘナ学園風紀委員会の切り込み隊長である。
 生真面目で常識人だが、一方で融通が効かない。短慮で無鉄砲で搦め手に弱い。先生(プレイヤー)の奇行のあおりをもろに受ける苦労人気質だ。
 イオリは「風紀委員」のスタンダードを意識したキャラであり、言うまでもなく秩序側の生徒である。だが、シナリオでの扱いが、あまりにも「悪の組織一番手のイデア」を再現していたので、「チュウズーボだな」と思ってしまったのだ。

 プレイヤーとアビドス廃校対策委員会の前に立ちふさがる、ゲヘナ風紀委員。アビドスのメンバーは他校への過干渉であり、いかに風紀委員とはいえ正当性がない、横暴だと抗戦の姿勢を見せる(実はこの出動自体が風紀委員のナンバーツーが独断で指示を出したものだったりする)。
 現場に来ていた風紀委員のひとり(チュートリアル配布キャラ)が、面識のあるプレイヤーの存在に気づく。プレイヤー=先生は、ブルアカの世界では政治的に強力な意味を持つらしく、「先生が向こうについているなら、攻撃してはいけない」と言うが、イオリは「相手は武器をこちらに向けている」と、部下を連れて突撃してしまう。

 結果的にドンパチ大混乱となった戦場は、事態を聞きつけてやってきたゲヘナの風紀委員長によって収められ、イオリを含めたゲヘナ学園風紀委員たちは撤退する。

 この、「冷静な味方の忠告を聞かず、後で上司に怒られる」というムーブが、すげぇ「一番手」っぽいなと思った。
 イオリのキャラ造形は、どちらかと言えば、生真面目なポンコツ女騎士のそれに近いと思っている。だが、シナリオの都合上、ゲヘナ学園の風紀委員は最初は敵として登場し、結果としてイオリの「ポンコツ女騎士ムーブ」は、「悪の組織の一番手ムーブ」に見えるようになった。まぁ、もともとゲヘナの風紀委員が魔王軍っぽさを前面に押し出したビジュアルなのもあるかもしれないけど。

 このあともイオリは何かと貧乏くじを引いたり、無鉄砲さゆえのポンコツムーブをかましたりすることが多い。間違いなく強キャラのひとりだし、ストーリーでも相応の描写はされているのだが、扱いとしてはミョーに軽い。この辺も、一番手の宿命だろう。
 僕は、イオリがこの「一番手ポジ」に収まっていることに、なんというか、妙な安心感を覚えている。やはり、悪の組織には絶対に欲しいと思ってしまうのだ。例えばゲヘナの風紀委員が攻めてきた時、先頭にいるのがヒナとアコだと、相応のイベントがありそうな気がするのだが、それがイオリだと「あ、普通に倒しちゃって良いんだな」と思えるというか……。こういうポジションって大事だと思うんですよね! 春日恭二じゃねぇか!

 基本、組織を作る時、「あえて扱いを軽くしよう」と思ってキャラを配置したりしないし、するべきではない。イオリの場合は、「ポンコツ女騎士風のキャラ付け」が個性として上手く作用しているので、一番手キャラでありながら、いつまで舐めても味がするようになっているのだ。結構、見習うべき点があるなと思った。

 ちなみにイオリは、学年的には先輩で、事実上の上司である風紀委員のナンバーツーを「アコちゃん」と呼ぶ。僕はこれを、ブルアカのテキスト訳者がしたもっとも偉大な仕事のひとつだと思っている。イオリは生真面目寄りのキャラなので、この呼び方に個性と関係性が匂いたつ感じがある。
 僕は新任教師だ。現在、イオリを迎えるためHARD任務を回って欠片をせこせこ集めている。スカチケを使ってサクッと呼んでしまうか悩むところだ。

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