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カミ族の子ども

うちのクラスにはカミ族の子が三人いる。カミ族は体が薄い。前から見ると普通の人間なのに、横から見るとまるで紙みたいにペラペラだ。だからカミ族の子は隠れるのが上手い。かくれんぼをする時はみんなでその子たちの洋服の色を覚える。三人とも白い洋服だったらお手上げだ。カミ族の子はなんとなく人気がある。薄くて軽やかでいつも笑っていて、気がつくと凧にのって空にいたりする。

カミ族はカミ族の家から生まれる。お父さんとお母さんがカミ族だったら子どももカミ族。片方が「カミ」で片方が「普通」なら、どちらが生まれるかわからない。おじいちゃんやおばあちゃん、ご先祖さんに「カミ」がいたら、ひょっこり「紙」の子が生まれたりする。兄弟姉妹にも「紙」と「普通」が混ざっている。

「紙」の子が生まれるとわかるとそこの家の人はとても喜んで、神社に「凧のお飾り」を注文する。門に掲げられた色とりどりの「お飾り」の前で近所のお婆さんたちが立ち話を始めると、そこの家のお婆さんも出てきて話に加わったりする。

カミ族の村、というのもやっぱりある。転校生が「紙」でその村出身だと「やっぱりな」って思う。カミ族は色が白い。髪の毛の色も薄い茶色だ。先生たちは「紙」の子に話しかけるときはちょっと違う。自分の中の尊いものを思い出そうとしているみたいだ。朝日を見つめるような目で。ひいきだとかは思わない。やっぱりそういうものだと思う。

「紙」の子が特別勉強ができるとか、走るのが速いとか、そういうのは全然ない。学校帰りにイタズラを仕掛けたりして一緒に遊ぶ。「紙」のやつはまぎれたり逃げたりするのが異様に上手いから、私たち「普通」は必死になってついていく。自分の遊び仲間に「紙」がいると、ちょっとうれしい。



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