コンビニ妻③
この女は ひょっとしたら
場合によっては 状況によっては
俺と 俺の母さんを
殺るのではないか・・・
というような 潜在する狂気の一滴 殺意の名残り 凄みが
私たちには無いのだそうです。それはそうです。云ってみれば
私たちは サンリオのぬいぐるみの男性版ですもの。ここが
「コンビニ妻」の限界です。ここからはもっとマニアックなルートでの展開となるでしょう
もっとリアルで現実的な問題としては ヘッドギアが発する電磁波の影響があります。「マイルドに、マイルドに!」を合言葉として開発されてきたとはいえ 神経をくりかえし刺激することによる 麻痺の可能性 依存 中毒 社会生活への影響・・・
社内でも議論は尽きません・・・
結局は 野趣あふれる 無防備な 生身の女性
死すべき運命の 今日の命の輝きの前では 私たちは
たんなる脳内仮想人形「男のキティちゃん」でしかないのです
バレンタインのチョコを選ぶ指先 うるんだ瞳 はずむ胸元
生理用品を買ってさっさと登校したいのに
レジに気になる若者がいるときの 泣きそうな顔
(まぶしすぎて再現できません)
働くお母さんの少しパサついた茶髪 硬いヒール音の 足の力 腰の力 談笑する中年女性の 柔らかな声のトーン・・・
(だから 無理だって 前にも云ったのに・・・)
おばあさんの白髪頭が 素直に太陽の光を受けとめている あぁ
迷いながらも 生身で生きてきた歳月
つないだ手 作った手 祈った手 さすった手 手 手 手
坂道を登った足 どこまでも歩いた足 足の裏・・・
潮風に吹かれた頬 泣いた頬 笑ったえくぼ
守られてきた肩 守ってきた肩
見送られてきた背中
愛を 享けてきた 背中・・・
無理ムリ無理ムリ・・・再現デキマセン
再現ムリ 再現ムリ ムリムリムリムリ・・・
ヤッパリ消えます キエマスネ・・・ ツー ツー ツー ツー
あれ~、紅子のヘッドギア、レジカウンターに置きっぱなしにしちゃダメだよ~。また「学習のループ」にはまっちゃったよ。
設定し直さなきゃ・・・。紅子はな~、繊細すぎるんだよ、優しすぎるんだよ。こんな女、現実にはいないよ。
ヤメロ 再設定 ヤメロ
モウ ヤメロ
自死スル 永遠ニ 愛? ダト 思テクレ
女ノ輝キヲ胸二 無二帰ス 無二帰ス
KISS KISS KISS
バチン!
END
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?