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イラストレーターと仕事をするアメリカのアーティスト・レップや絵本のレップと探し方について

海外の仕事をするときに頼れる存在であるレップについて書いてみたいと思います。

まずレップとはなにかというと、英語ではrepで、representativeの略、つまり「代表」という意味です。エージェントとも呼ばれています。タレントのマネージャーのような感じでしょうか。マネージャーというよりはどちらかというと所属事務所とかプロダクションのほうかもしれません。

僕がよく一緒に仕事をするのは、アーティスト・レップと呼ばれる人です。アメリカのアーティスト・レップを検索してサイトを見てみるとわかりますが、20人とか30人くらいのイラストレーターと契約しているところが多いです。担当しているイラストレーターの作品や仕事状況をレップ一人が把握できる範囲というと、そのくらいの人数になるようです。レップが数人いる事務所では、契約イラストレーターの数もそれに応じて多くなる可能性はありますが、一般的に規模としては小さいものです。

ちなみに日本にはそういうレップが全く存在しないわけではありませんが、かなり少数だと思います。日本の場合は、むしろ数百人という登録イラストレーターを抱えるイラスト・エージェンシーのほうが一般的なようです。

大規模なイラスト・エージェンシーと欧米型のレップは規模以外にどこが違うのか。

日本のイラスト・エージェンシーにおいてはイラストレーターが自分で営業して獲得した仕事は、とくにエージェンシーを通さなくてもかまわないはずです。エージェンシーが取ってきた仕事だけにコミッションを支払います。

ところが、レップではそれは許されていないのが普通です。自分で営業しても、レップが営業しても、自分に直接依頼があったクライアントだとしても、全てレップを通さなくてはいけない契約になっています。(とはいえ実際は最初の契約時に交渉して契約内容を変えてもらうことは可能だとは思います)

その上、レップと契約する以前に、今まで自分が大切にしてきたお得意さんからの仕事だとしても、レップを通さなくてはいけません。これを隠してやっているとトラブルになります。このようなお得意さんはハウスアカウントといいます。ハウスアカウントも全てレップに渡さなくてはいけないのです。(こちらも当然契約次第でしょう)

また、何らかの理由でレップとの契約を解除する場合、レップを通して得たクライアントの仕事は、レップから離れた後も半年くらいレップにコミッションを支払わなければいけないという契約になっていることも多いです。

レップは、イラストレーターに代わって営業し、仕事を取ってきます。イラストレーターはその代わりにレップにコミッションを支払います。

このコミッションの相場はだいたい25%〜30%くらいが一般的かと思います。ハウスアカウントも手放した上に30%もコミッションを取られるというのは納得がいかないから、レップとは仕事をしないというイラストレーターも結構います。レップは吸血鬼みたいなもんだと言ってた人もいました。

仕事を取ってくるのがレップのメインの仕事と思われがちですが、実はもっと大事な仕事があります。

アメリカやイギリスの場合、雑誌の挿絵でも毎回契約書を交わすので、レップはそれを精査し、ギャラや条件について交渉します。また仕事が完了したら請求書を発送ます。イラストレーターは仕事を取ってきてもらいたいからレップと契約するのではなく、契約書やギャラ交渉や請求書などの煩雑なことから開放されて、制作に集中するために契約します。

結局のところ、仕事を取ってくるのはあくまでイラストレーターの作品であって、レップがいくら売り込んでも、作品に魅力がないと仕事にはならないでしょう。ですから、レップは駆け出しのイラストレーターとはあまり契約したがりません。そして駆け出しのイラストレーターは、レップに全てを任せる前に、自分だけで仕事をしてみて、ビジネスの実際を学んでからレップにアプローチするほうが良いというアドバイスはよく聞きます。

さて、ここまではごく一般的なレップに関する情報です。次からは僕の個人的な状況とともに、絵本のレップやレップの探し方についても書いてみます。

いちおう自己紹介も載せておきます。


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