彼女が彼女の双子の姉のふりをしてきたので、気づかないふりをしようと思う
〇〇:ふわぁ、、もう6時か。
寒い冬の中、布団からでるのを躊躇っているとリビングの方からいい匂いがしてくる。しばらくするとリビングから近づいてくる足音が聞こえる。
??:あれ〇〇起きてるじゃん。
〇〇:おはよう、和。
和:おはよう〇〇。朝ご飯できてるよ。
〇〇:ちょっと待って。今行くから。
和::わかった〜。
僕を起こしてくれたのが彼女の井上和。高校時代に付き合い始め、大学卒業後同棲を始めた。
〇〇:いただきます
和:どう?今日ベーコンエッグ結構よくできたと思うんだ。
〇〇:おいしいよ。
和:よかった。ねぇ今日仕事終わったらご飯食べに行かない?
〇〇:わかった。じゃあ早く終わらせて帰れるように頑張る。
和:がんばって!あれ、もう出る時間じゃない?
〇〇:やべ!もう出ないと遅刻する。いってきます!
和:いってらっしゃい。
〇〇:あ、忘れ物した。
和:ん?なになに?
少し期待したような声で返事する和。
〇〇:弁当持ってくの忘れてた。和の弁当ないと仕事頑張れないよ。
和:あっ、お弁当ね。はい、これお弁当。
〇〇:なんでそんなソワソワしてるの?、じゃあ行って来ます。
和:ちょっと待って〇〇。他に何か忘れてない?
〇〇:?なんかあったっけ。
和:それは、そのー、。一緒に住んでるカップルの朝といえばあれ、という物が、、、
〇〇:あれ?
和:スキンシップ的な?愛が冷めないようにすること的な?
〇〇:もしかしてキス?
和:そうやってきちんと言われると恥ずかしい!
〇〇:じゃあキスする?
和:もういいですー
〇〇:えぇー、じゃあ行って来ます。
和:ちょっとぉ、、。やっぱりしたい、ダメ?
〇〇:じゃあ和からして?
和:仕方ないなぁ。 ちゅ♡
〇〇:じゃあ行ってきます!
和:いってらっしゃい!
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会社の昼休みになって、
〇〇:朝の和かわいかったなぁ。
同僚:惚気か?彼女がいない俺への惚気か?
〇〇:これ和に作ってもらった弁当。
そう言って中身を見せると、色とりどりのおかずと桜でんぶでご飯の上にハートが書いてある。
同僚:愛されてるねぇ。羨ましいぞ!
〇〇:本当、めちゃくちゃいい彼女だよ。
同僚:俺も彼女欲しいなー。でも今いい感じの女の子がいるんだよ。今日仕事の後暇?暇だよな?相談乗ってくれ!
〇〇:いや今日は予定が、
同僚:同期の俺の人生1大事な時なんだ!たのむ!
〇〇:いや人生1って。まあ、わかったよ。仕方ない。
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和:ふーふふーん、ふーんふーんふーん♪
私の名前は井上和。〇〇の彼女で絶賛今幸せの真っ只中です!
最近〇〇の仕事が忙しくてなかなか一緒に過ごせなかったけど、今日は一緒に外食ができる!
そう思ってウキウキで掃除をしていると、
和:あ!〇〇からメールだ!
何かなと思ってメールを見てみると、
〇〇メ:ごめん今日ご飯行けない。同僚と飲みになった。
和:がーん。
せっかく今日は一緒に過ごせると思ったのに、、
和:私を寂しくされる〇〇には罰だ!家出してやる!
とは言っても家出したとて行くところがない。実家じゃ私の両親とすでに仲がいい〇〇じゃすぐわかってしまう。何かいい考えはないかなぁ。
和:そうだ!
そうして私はある作戦を思いついた。
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〇〇:帰るの遅くなっちゃったな、和怒ってるかな。
同期との飲みで和との約束をすっぽかしてしまった。帰ったら謝ろうと思ってケーキを買ってきた。
〇〇:ただいまー
和:おかえりー、なさい。
〇〇:どうしたの和、眼鏡なんかかけて。
和:私は和じゃなくて、和の双子の姉の渚です!
〇〇:いや和でしょ。
和:和は家出しました。最近〇〇さんがかまってくれなくて寂しいから家出すると言ってました。
〇〇:(どうみても和だけどな、でも面白そう)なんだって、、、和にすぐ連絡しなきゃ!今すぐ謝って戻ってきてもらおう。
和に電話すると渚さん?のスマホが鳴る。
和:はっ!これはあれです!私が家出してる間、〇〇、さんの世話してと頼まれたので!携帯ごと渡されただけなので!
〇〇:なるほどねぇ。じゃあ和のことどうやって探せばいいんだ。
和:多分〇〇さんが反省したら帰ってくるんじゃないかなぁ。多分!
〇〇:でも和がいないと元気に暮らせる自信がないよ
和:わた、和が帰ってくるまでは〇〇さんのことを私がお世話します!
〇〇:じゃあこれからよろしく。渚さん。(和だけど)
和:よろしくおねがいします!(ふっふっふっ、作戦成功!)
〇〇:ところで渚さん。ベットは一つしかないから今日は僕がソファで寝ますね。
和:それはダメ、です!仕事で疲れてるだろうし、いつものように一緒に寝ましょう!
〇〇:なんで一緒に寝てるって知ってるの?
和:和から聞いてたんです!とにかく、一緒に寝ましょう!
〇〇:いやさすがにダメでしょ。浮気になっちゃう。
和:まぁギリギリセーフだって!
〇〇:いや、僕は浮気をしないから。
和:それは嬉しいけど、、ダメ!そう、許可ももらったから!和から許可もらったから!
〇〇:それはそれで愛されてない感じがして悲しい。
和:じゃあー、えっとー、うーんとー、とにかく!一緒に寝るの!
〇〇:はい、はい。(これめちゃくちゃ面白いわ)
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次の日、
和:〇〇。出かけよ!
〇〇:呼び捨て?
和:いや、気のせいじゃないですかねぇ。とにかく買い物行きましょ!
〇〇:わかった、ちょっと待ってて。
和:(〇〇との久しぶりのデート楽しみだなぁ)
ショッピングモールにつくと、
和:あ、これ〇〇が好きそうな服だ!ねぇ、どう似合う?
〇〇:めちゃくちゃ似合ってますよ。(もはや素だな) 渚さんに合うってことは和にも似合うよな。これ和にプレゼントしようかな。謝罪の気持ち込めて。
和:いいと思う!すごく!
〇〇:じゃあ渚さんの分も僕が払いますよ。
和:いやー、なんか急にさっきまで買おうと思ってたけどやっぱりいいかなって思い始めてきた。(楽しすぎて設定忘れかけてた、、)
〇〇:遠慮しなくていいですよ。
和:なんかわからないけど後から手に入る気がする。すごく。だから大丈夫です。
〇〇:わかりました。じゃあ和の分だけ買っておきますね。そういえば和について聞きたいんですけど、どういうタイミングで渡したら喜ばれると思います?
和:和はサプライズで渡された方が嬉しいと思う。
〇〇なるほど、、(もうサプライズじゃないじゃん!)
和:私も聞きたいことがあります!わた、和のどこが好きなんですか?
〇〇:まず可愛くて、優しくて、僕への愛を伝えてくれて、可愛くて、一緒にいて居心地がよくて、可愛い。
好きな理由をあげていくたび和の顔がどんどん赤くなっていく。
和:ちょっと、恥ずかしい!
〇〇:(一応双子の姉の設定なんだよ)
和:〇〇ご飯食べに行こ!(嬉しすぎる!)
和は俺の手をとって歩いた。
和:はっ!しまった設定が、、
〇〇:いや、ずっと気づいてたよ。
和:えっ!でもずっと敬語だったじゃん。
〇〇:いや双子の姉のふりしてる和が面白くて、可愛くてつい。
和:もう!罰として今日私を楽しませること!ほら、行こ!
〇〇と和は手を繋いで歩き出した。
〇〇:ねぇ、双子の姉面白かったから今度は妹とかやってみない?
和:やらない!
〇〇:いや、やっぱりそのままがいいや。その反応が一番可愛い。
和:もう、なんで急にそんなキュンとするセリフが言えるの?
僕の彼女が可愛すぎるからだ。
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