彼女と一緒に親友のプロポーズにこっそりついていったら、自分もプロポーズすることになった
テレビ:今日の一位は〜、おめでとうございます!かに座のあなた!
思い立ったことが全てうまく行きます!自信を持って次のステップに進めるでしょう!
休日、一人で朝のテレビの占いを見ている〇〇。
〇〇:もう10時かぁ〜。そろそろ起こそうかな?
重い腰を上げて寝室に行く。
〇〇:起きて〜史緒里。もう10時だよ〜
史緒里:ぅぅ〜...あと10分...
〇〇:せっかくの休日なんだし、なんかしよ?
史緒里:無理ぃ...
〇〇:そっか...じゃあ昨日買ってきた塩パン。2つとも食べちゃうね?
史緒里:それはダメ!起きる、起きますから!
〇〇:じゃあパン温めておくから、きちんと起きてね?
史緒里:はーい。
史緒里:んー!美味しい〜
〇〇:よかった。買ってきて。
史緒里は〇〇と同じ大学のサークルで、そこから付き合って6年になる。そこから二人とも働き出して、今は同棲している。
パンを食べ終わって、
〇〇:今日このあとどうする?
史緒里:んー。家でぼーっとしてようよ?
〇〇:こんな天気いいのに?
史緒里:外はあっついから、家でゆっくりしよ?
〇〇:じゃあ、部屋汚いし掃除でも
史緒里:なんか映画とかみたい気分だな!あーあ!今すっごい見たいなー!
〇〇:はぁ...映画でも見よっか?
史緒里:そうしよう!
映画を一本見終わり、ふと〇〇がポテチを食べながら思い出したように言う。
〇〇:そういや、△△大丈夫かな?
史緒里:△△?△△がどうかふぃたにょ?
△△は〇〇、史緒里と同じ大学のサークルの同期で、サークルの先輩だった絢音さんに猛アタックの末、今付き合っている。
〇〇:食べ終わってから喋りな?
いや、今日絢音さんにプロポーズするって俺に相談してきたからさ。
史緒里:えぇ!なんで言ってくれなかったの?
〇〇:まぁ言う必要ないかなって。
史緒里:なんでよ!私の絢音さんがプロポーズされるんだよ!? 言ってよ!
〇〇:まぁまぁ。うまくいくといいな。
突然、史緒里がバタバタと何かを始めだした。
〇〇:どうした?
史緒里:どうしたって、行くよ〇〇!
〇〇:行くよってどこに?
史緒里:絢音さんのところに決まってるでしょ!?ほら〇〇、△△のデートプラン的に今どこ?
〇〇:今は、確か乃木公園にいるはずだけど。
史緒里:よし、すぐ準備していこう!
〇〇:何しに行くの?
史緒里:わかってないなぁ。こっそり着いて行って絢音さんに相応しいかどうかを見極めるんだよ。
〇〇:十分△△のことは知ってるでしょ。
何より、絢音さんと△△が付き合うときにもそれしてたじゃん。
「私の絢音さんが〜!」って。
史緒里:交際と結婚は違うんだよ〇〇。ほら、早く早くー!
というわけで、公園についた〇〇と史緒里。
史緒里:絢音さん、待っててください。今迎えに行きますから!
〇〇:そんな簡単に見つからないって。まあゆっくり歩いて探せばいいじゃん。
というわけで、探すまで〇〇と史緒里の普通のデート。
史緒里:いやー、こんな天気のいい日に外歩くと気持ちいいね!
〇〇:こんな天気の中、暑いって言って出ようとしてなかったのは誰ですか?
史緒里:ぎくっ。 いやぁ、ホントソトアルクノキモチイイナア。
しばらく歩いていると、
史緒里:くんくん...、こっちから絢音さんの匂いが
〇〇:そんなわけないでしょ?
史緒里:いや、この素晴らしい匂い。間違いなく絢音の匂い。 ・・・ほら、いた!
キッチンカーに並んでいる△△と絢音さんを発見
〇〇:俺の彼女、犬だったんだ。
史緒里:あぁ絢音さん。今日もお美しい。
〇〇:しかも飼い主は絢音さんみたいだし。
少し絢音さん達の様子を見てみよう。
店員:ハッシュドポテトお一つとアメリカンドッグお一つになります。
△△ 絢音:ありがとうございます
ベンチに座ってひと休み。
絢音:ふぅ、随分歩いたね?
△△:少し歩きすぎちゃいましたね。
絢音:でもお花すっごい綺麗だった。来てよかった〜。ありがとう、△△くん。
△△:絢音さんが喜んでくれてよかったです。
絢音:ふふっ。あっ、ほら食べよ?熱いうちに食べた方が美味しいから。
△△:ですね!
二人とも自分の食べ物を一口。
絢音:んんっ!おいしい!
△△:このアメリカンドッグも美味しいです!
その時絢音があることに気づいて笑い出した。
絢音:ふふっ、△△くん口にケチャップついてる。動かないでね?
ハンカチを取り出して△△の口元を拭く。
△△:ありがとうございます\\
この様子もこっそり見ていた二人。
〇〇:いい雰囲気じゃん。これなら、任せられるんじゃ?
史緒里:いやぜんっぜんダメ!絢音さんの隣に立つ人にはもっとしっかりしてもらわなきゃ。△△選手、−1ポイントです。
〇〇:ポイント制なんだ?これって。
だけど、なんかいいね?しっかり者の先輩彼女って。
史緒里:ふん!どうせ私はズボラな同級生彼女ですよ!
〇〇:史緒里は史緒里でいい彼女だって。
史緒里:ふーんだ!
その後もストーカーまがいな行為を続け、気づけば△△がプロポーズする時に。
場所は海が見える綺麗な高台。△△が絢音に告白した場所である。
絢音:懐かしい〜。ここで△△くんに告白されたんだよね。
△△:あの時はめちゃくちゃ緊張しました。
絢音:凄い噛んでたもんね。でも嬉しかったな。
告白の時の思い出話に花を咲かせる二人。
そしてそれをまた影から覗く二人。
〇〇:これは、うまくいくんじゃないか?エピソードトークしてからの、みたいな。
史緒里:久保ポイントではもう−6ポイントも貯まってるけどね?
〇〇:...。△△もここで告白したんだね?
史緒里:ね!知らなかった。私たちもここで〇〇に告白されて付き合い始めたし。
〇〇:綺麗な海と史緒里見てたら好きって気持ちが溢れて伝えたくなったんだよなぁ。
告白する予定じゃなかったのに。
史緒里:好きだ!って言葉、ストレートだけどめちゃくちゃ刺さった。まぁ、元から好きだったんだけど\\
〇〇:なんか告白の話されると、照れるな。
史緒里:かわいい子だねぇ?このこの!
でも〇〇のそういう所好きー!
〇〇:俺も史緒里のこと好き!
陰でイチャイチャしていたら、あちらの二人は重要な局面に差し掛かっていた。
絢音:本当、△△くんに出会えてよかった。
夕日が沈む海を見ながら言う絢音。
絢音:ねぇ△△くん?
振り向くとそこに立っているのは真剣な表情をする△△。
△△:絢音さん。
絢音:はい
真剣な眼差しに見つめられて、絢音もつい背筋が伸びる。
△△:大学の時絢音さんに初めて会って、その優しさに包まれて、気づいたら好きになってました。
付き合ってからも、しっかり者で、だけどちょっぴり抜けてて、一緒にいてよく笑ってくれる絢音さんを、僕は毎日好きになりました。
こんないい人の隣にいても大丈夫かなと思うこともあったけど、もう迷いません。
絢音さん。僕と結婚してください!
そういって指輪を差し出す△△。
絢音:...私でいいの?
△△:絢音さんじゃなきゃ、嫌です。
絢音:...はい!末永くよろしくお願いします。
〇〇:じゃあ、邪魔しちゃ悪いし帰ろう史緒里。
.....史緒里?
ついさっきまで隣にいたはずの史緒里がいない。
史緒里:ちょっと待った〜!
絢音:史緒里ちゃん!?どうしたの?
史緒里:△△!そんなんで絢音さんと結婚できると思ってんの?やり直し!
〇〇:ちょ....ちょっと史緒里!何してんの!?
史緒里:今△△にきちんとしたプロポーズの指導を...
〇〇:絶対邪魔だから!ごめん△△、絢音さん!すぐ帰るから!
△△:そんな言うならプロポーズの手本見せてよ。
なんでだ△△。帰らせるとこだろ!
史緒里:仕方ないなぁ。ほら〇〇!プロポーズ トゥー ミー!
〇〇:...えっ?
史緒里:カモン!
〇〇:え、俺がやるの?
頷きながら手を自分の方にクイクイとする史緒里
なぜ今史緒里にプロポーズしなきゃいけないのか?
〇〇:...久保史緒里さん。僕と結婚してください。
史緒里:っていうのがダメな例ね?
コイツマジか...。絢音さんはもはや笑ってしまっている。
本当はもっと真面目に考えて言いたいんだけど、仕方ない。
史緒里:...ふぇ?
〇〇は史緒里を抱き寄せた。
〇〇:史緒里の努力家なとこも、周りを大切にするとこも、運が悪いとこも、ポンコツなとこも、史緒里の全てが好きだ。
俺と結婚してください。
史緒里:...はいっ、よろしくお願いします...。
本気でしたからか、どちらの顔もりんごの様に真っ赤になってしまっている。
史緒里:こ、こんな感じ...。
〇〇:それじゃあ、二人ともお幸せに。
まったく抵抗してこない史緒里の手を取ってその場から逃げ出した。
絢音:二人も幸せになるといいね。
△△:ですね。 じゃあ絢音さん。僕らも行きましょうか?
絢音:うん!
〇〇:ふぅ...。緊張した。
さっきから史緒里は全く言葉を発さない。
〇〇:プロポーズは一世一代の大勝負なんだから、邪魔しちゃダメだよ史緒里。
史緒里:うん...ごめん。
〇〇:わかったならよろしい。
史緒里:....ねぇ。あれ本気?
〇〇:ん?
史緒里:プロポーズのこと。
〇〇:...気持ちは本気だよ。だけど、本当のはもっとちゃんとした状態でしたい。だから待っててくれる?
史緒里:...うん!
〇〇:じゃあ帰るか!
二人は手を繋いで歩き出した。
〇〇:あとできちんと△△に謝っておけよ?
史緒里:ふぇーい。
反省してねぇな。
みんなはプロポーズの邪魔するのはやめようね?