彼女にしたいクラスメイトは誰?って聞かれても、実は彼女いるんですが。
〇〇:よっしゃ。
購買で人気の焼きそばパンの獲得に成功し本日の争いに勝利。
うきうきで教室に帰ろうとする。
??:あれ〇〇君、焼きそばパン買えたの?
〇〇:あぁ井上さん。うん、ギリギリ間に合ったんだよね。 井上さんは買えなかったの?
現れたのはクラスメイトの井上和さん。まぁ俗に言うクラスのマドンナ。
和:私は買えたんだけどさ。ちょうどアルノの分だけなくなっちゃったんだ。
和の後ろからこっちを見てくるアルノ。関係は…後で説明しよう。
〇〇:じゃあ、このパン食べなよ?
アルノ:え、いいの? 昼ごはん無くなっちゃうでしょ?
〇〇:まだ他のなら売ってるはずだから。
アルノ:じゃあ貰おうかな。ありがと。
〇〇:じゃもっかい購買行ってくる。
アルノ:いってらっしゃい。
〇〇:うい。
和:アルノー?
アルノ:ん?
和:〇〇君ってアルノに結構優しくない?
アルノ:…さぁ、気のせいじゃない?
和:そう?
背中から聞こえる会話にこっそり返事をする。
〇〇:(気のせいじゃない…)
実はアルノと俺は付き合ってる。1ヶ月前から。
だけどそれは二人だけの秘密。
まぁアルノが恥ずかしいらしいから言ってないだけなんだけど、こっそり付き合うってのも悪くない。
可愛い彼女を独り占めできるし。
購買で余っていた商品を購入し、教室に戻る。
〇〇:お待たせ。
△△:お、ようやく帰って来たな。もう一人の彼女いない仲間が。
残念。最高の彼女がいるんだよなぁ。
でも、何で急に?
〇〇:急にどうした?
□□:今、このクラスで彼女にするなら誰かなって話をしてたのよ。
〇〇:はぁ。
何言ってんだこいつら、アルノに決まってんだろ。
△△:まぁちょっとした妄想だよ。〇〇も考えようぜ。
しかし、まあ大変なことになってしまった。
これについての返答で彼女との関係が大きく変わってしまうと言っても過言ではない。
ふと彼女の方を見ると、会話の内容が気になるのかこっそりと見ている。
チラチラ見てるの、バレバレだぞ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
和:ねぇアルノ。さっきからチラチラ何見てるの?
アルノ:いや、何も?
嘘。〇〇から貰った焼きそばパンを頬張りながら〇〇を見てる。
だって〇〇の返事、気になるし…
和:わかった!さっき〇〇君と喋ったからちょっと気になって見てるんだ!
アルノ:違うから!
和には〇〇と付き合ってること、バレたくない。
だってそれは間接的に〇〇と和が仲良くなっちゃう原因になるから。
〇〇だけは譲りたくない。
和:ほ〜ん…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
△△:俺は井上さんかな!
□□:分かる!究極に出来上がってる顔といい、あの高嶺の花感!
△△:付き合ったら絶対自慢したくなるよな。
□□:こっそり付き合ってるっていうのもロマンあるけどなぁ。
分かる。今、ロマン感じてる。
△△:〇〇も彼女にするなら井上さん?
来てしまったこのキラーパス。
まぁでもちょっと同意するくらいなら、大丈夫なはず。
〇〇:まぁ、井上さん可愛いよね。
コロコロコロ……
ん?なんか消しゴムが転がってきた。
転がってきた先を見ると、顔を膨らませている彼女がいる。
多分、消しゴム俺に当てようとしたけど、届かなかったんだろうな。
そんなどんくさいとこも可愛い。
しかし、可愛いっていうのもアウトなのか…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
むぅ……
和:アルノ?なんで〇〇君の方に消しゴム投げたの? 届いてないし。
アルノ:ソフトボール投げの練習を…
和:当分ないよ?
やっぱり〇〇も和のこと可愛いって思ってるんだ
そうだよね…和めちゃくちゃ可愛いもん。
でも…〇〇私のこと好きって言ってくれたし。
信じてるから。
じぃ〜〜っ
和:もうガン見してるよ?
アルノ:見てない!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
□□:〇〇、井上さん派だと思ってたんだけどなぁ。
いや、アルノ派ですね。
□□:じゃあ…菅原さんはどう?あの明るさ。デートしたら絶対楽しいと思う。
〇〇:んん…菅原さんもいい人だよね。
もう俺に質問しないでくれ。
この後大変なんだから。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
和:さっちゃんはいい人判定かぁ〜。
アルノ審査員長的にはセーフなの?
アルノ:まぁぎりぎりセーフかっ… 何が?
和:それだいぶ無理あると思うな?
まだ、バレてないもん…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
□□:菅原さんでもないとなると…。中西さんもいいよね!
△△:わかる!めっちゃ可愛い。
ついに彼女の名前が出てきた。
まぁウチの彼女可愛いしな。もっと早くに出てきてもいいくらい。
…ん?ちょっとアルノ。俺が他の人に可愛いって言ったら嫉妬する癖に、俺以外からの可愛いで嬉しそうにするなよ。
…なんで暴れてんだ?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
和:おぉー。見どころだ。
ん?アルノなんで嬉しそうなの?
アルノ:〇〇が誇らしげなのがちょっと嬉しい…
和:恋だね〜。
アルノ:…はっ! これは違う!違うの!
和:ちょ、ぺちぺち叩かないで!
〇〇、どう答えるんだろう…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
△△:でどう?中西さんなの?
ここでアルノって言ったら関係バレちゃうかもしれないしな。どうしようか…
まぁアルノと仲良いし、やっぱり最初に名前が上がった井上さんで手を打っておこう。
〇〇:うーん。まぁ、僕も強いていうなら井上さんかな?
△△:やっぱ井上さんモテるなぁ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
和:あれ? 私だ。
アルノ:……ずーん……
和:だ、大丈夫?
アルノ:…やっぱり、和だよね….。〇〇だって私より和が彼女の方が幸せに決まってるんだ…
和:そんなことないって
アルノ:私に勝ち目なんてなかったんだぁぁ!
和:じゃあ付き合ってるってことは、認めるのね?
アルノ:…はい…
和:…はぁ、仕方ないなぁ。 私に任せといて!
和。…不安しかないんだけど。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
よーし、とりあえず乗り切ったな。 ……なんかすっごい気配感じるけど。
これで一安心っと…
和:私のこと呼んだ?
WARNING!!!!!!!!!
全然乗り切ってない!
井上さんが来るのは話が違うって。
どうする?ダッシュで逃げる?
△△:井上さん!いや、あの…
おっ、△△。俺を助けてくれるのか? やっぱり持つべきものはしんゆ…
△△:〇〇が彼女にするなら井上さんだって言ってました!
〇〇: は?
まさかお前、俺を売ったのか? お前彼女いない仲間って言ってたよな?
…じゃあ仲間じゃなかったわ…
〇〇:いや、井上さん。違うんだよ。これは…
和:…じゃあ私と付き合ってみる?
〇〇:...へ?
和:前から〇〇君かっこいいと思ってたんだよね。
…俺、もしかして告白されてる?
いやでも俺にはアルノという彼女がいるわけだし、断るに決まってるよね。
アルノ:ちょ、ちょっ!
和:ん? どうしたアルノ?
小声で和に話しかける。
アルノ:いや何してるの?
和:アルノが自信持たないなら、私が〇〇君と付き合おうかなって。
アルノ:ダメだから!私の〇〇!
和:ちょ、聞こえるって…
△△:私の、〇〇?
アルノ:いや、これは…。 ……もうっ!
私、〇〇と付き合ってます! それじゃ!行くよ!
〇〇:えっ、ちょっ…
〇〇とアルノはどこかへ行ってしまった。
和:…はぁ、正直にしてればいいのに…
□□:〇〇中西さんと付き合ってたのかよ…
△△:井上さん、じゃあ俺と付き合って…
和:はぁ?
△△:すいませんでした。
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僕の手を取り人気のない所まで連れ出すアルノ。
周りに人がいないことを確認し無言で抱きついてくる。
その無言は僕への抗議を示しているよう。
〇〇:ごめんアルノ。バレない方がいいと思って嘘ついた。
アルノ:…やっぱり〇〇も和がいいの?…
〇〇:俺はアルノが一番だから。
アルノ:…ほんと?
〇〇:本当。
アルノ:じゃあ、今度奢りで許す。
嫉妬深いけど、このちょっと甘い所が好きだ。
ごめんの気持ちを込めて抱きしめる。
アルノ:ちょっ。強いって…
〇〇:俺は、まだ足りないんだけど。
アルノ:も、もう終わりっ…
恥ずかしがるその顔を、ころころ変わるその表情を、また何度でも好きになってしまう。
〇〇: じゃあ、教室戻ろっか?
何も言わずに、教室まで手を繋いで歩く。
〇〇:もうバレちゃったけど、どうする?
アルノ:…まだ、バレてないことには?
〇〇:出来ないですね。
アルノ:だよね。
〇〇:でも、秘密のままがいいなぁ。
アルノ:なんで?
決まってるだろ。
俺といる時の可愛さがみんなにバレたら、彼女にしたいランキングトップになるんだから。
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