信用取引について
おはようございます!
キツネの目と申します。
本日は「信用取引」について記載していきます。
よかったら参考にしてください。
・信用取引制度の概要
信用取引とは、有価証券の売買形態の一つで、投資家が金融商品取引業者から(あるいは金融商品取引業者が証券金融会社から)、資金を借りて有価証券を買付けたり、有価証券を借りて売付けを行う取引をいいます。
「自分を信用してもらい」
資金を借りて買付ける
株を借りて売付ける
このとき、信用して貸す行為を「信用の供与」といいます。
信用取引で買付け・売付けした株式を建株(たてかぶ)といいます。
・信用取引制度の仕組み
信用取引制度は、1951年6月に導入されました。
導入の目的は、株式購入資金や保有株式を持っていない投資家を市場に参加させることで、市場の流動性に厚みを持たせるためです。
流動性に厚みを持たせることで、円滑な価格形成に繋がると考えられたのです。
信用取引とは、株式等を購入するための資金や売却するための株式等を持っていない投資家に対して、金融商品取引業者が資金や株式等を貸し出すことによって行う取引のことです。
・信用取引の種類
信用取引には、制度信用取引と一般信用取引の2つの種類があります。
・制度信用取引
取引所に上場している株券等が対象。
銘柄、品貸料、返済の期間、権利処理など取引所の規制により取引を行う。
顧客と金融商品取引業者が金利を自由に設定可能。
貸借取引を利用できる。
・一般信用取引
取引所に上場している株券等が対象。
銘柄、品貸料、金利、返済の期間等を顧客と金融商品取引業者との間で自由に決める。
貸借取引は利用できない。
・銘柄区分
・制度信用取引銘柄
制度信用取引が行える銘柄。
証券金融会社から融資を受けられる。
株券、J-REIT、ETF(上場投資信託)、外国投資信託受益証券、外国投資証券など。
・貸借銘柄
制度信用取引が行える銘柄。
制度信用取引銘柄のなかから、さらに一定の基準を満たした銘柄が選定される。
証券金融会社からの融資と貸株を受けられる。
・貸借取引
金融商品取引業者と証券金融会社との制度信用取引に関する貸付けを貸借取引といいます。
金融商品取引業者は、原則として信用取引に必要な資金や有価証券を自社で保有している資金や持株でまかないます。
ただし、それ以上に資金や有価証券が必要な時は、証券金融会社から借りることができます。
・証券金融会社
証券金融会社は、内閣総理大臣の免許を受けて、金融商品取引業者に対し、信用取引の決済に必要な金銭や有価証券を貸し付けることができる、特殊金融機関です。
証券金融会社として、以前は、日本証券金融(=日証金)と中部証券金融(=中証金)がありましたが、2017年9月末に中部証券金融(=中証金)が解散した後は、日本証券金融(=日証金)のみとなっています。
※証券金融会社
信用取引が機能を発揮するには、豊富な資金と株券の裏付けが必要です。金融商品取引業者だけの自己資金や手持ち株券だけではこれを賄えないので、金融商品取引業者もどこかで資金や株券を借りなければなりません。
そこで、金融商品取引業者へ円滑に資金や株券を供給することを専門に行う、証券金融会社が設立されました。
・開始基準と委託保証金
・信用取引の説明書交付
金融商品取引業者等は、金融商品取引契約を締結しようとするときは、あらかじめ、顧客に対し、法令に定める契約締結前交付書面を交付しなければなりません。
信用取引は、自己資金以上の取引が可能になるため、損失リスクも大きくなるので、顧客にリスクについての説明を十分に行う必要があります。
信用取引では、注文を受ける際に、その都度、制度信用取引(PTS制度信用取引を含む。)か一般信用取引(PTS一般信用取引を含む。)か、顧客の意向を確認しなければなりません。
・信用取引開始基準の設定
金融商品取引業者等は、各金融商品取引業者ごとの信用取引開始基準を定めることを義務付けられています。
顧客の投資経験、知識、財産の状況、取引の目的に照らして、不適当と認められる勧誘を行ってはなりません。
また、金融商品取引業者の役員又は従業員は、信用取引の利用が禁止されています。
・信用取引の口座設定約諾書及び同意書
信用取引を行うには、信用取引口座を設定する必要があります。
信用取引口座設定約諾書に署名又は記名押印が必要です(電磁的方法による提供が認められています)。
顧客にはその写しを交付しなければなりません。
・信用取引の注文の指示
信用取引口座を有する顧客が信用取引による売買注文の委託をする場合には、その都度「信用取引である」ことを指示しなければなりません。
この指示がない場合は、信用取引にはなりませんので、当該取引は、現物取引とみなされ、反対売買による差金決済ができないので注意が必要です。
・委託保証金制度
顧客が信用取引で金融商品取引業者から資金や株券を借りる場合には、一定額の委託保証金を差し入れなければなりません。
委託保証金額は、約定代金の30%(以上)。
最低限度額は30万円(30万円未満は30万円)。
金融商品取引業者は、売買成立の日から起算し、3営業日目の日の正午までに顧客から徴収する。
原則現金だが、有価証券で代用できる。
代用有価証券の評価額は現金加算率(代用掛目)を超えない額とする。
【代用有価証券の現金換算率(代用掛目)】
・国内の取引所に上場されている株券(外国株券を含む)
100分の80
・国債証券
100分の95
・地方債証券
100分の85
・投資信託受益証券及び投資証券(国内の取引所に上場されているもの・投資信託協会が前日の時価を発表するものに限る)
・公社債投資信託の受益証券
100分の85
・その他のもの
100分の80
・その他
100分の80~90
Q:時価500円の株式を2万株買建てる場合の必要委託保証金はいくらですか?(買建ての場合)
また、その委託保証金を上場株式で代用する場合に必要な時価金額はいくらですか?
・追加保証金
信用取引の建株の値下がりや代用有価証券の値下がりにより、委託保証金の残額が信用取引の建株の約定代金の20%を下回る場合には、20%に達するまでの金額を追加保証金(追い証)として、損失計算が生じた日から起算して3営業日目の日の正午までの金融商品取引業者が指定する時間までに、差し入れなければなりません。
Q:当初、約定建株が1,000万円、委託保証金として差し入れてある金額が300万円であった。
その後、建株が値下がりし、200万円の評価損が発生した場合、追加保証金はいくら必要か?
A:評価損発生後の委託保証金残高=300万円-200万円(評価損の額)=100万円 ・・・①
追加保証金の額=200万円(最低20%なので)-100万円(①)=100万円
・信用取引の金利・信用取引貸株料・品貸料
顧客は、信用取引を行う場合、所定の金利や信用取引貸株料を授受することになります。
買い方も売り方も金融商品取引業者に対して支払います。
貸借銘柄について、証券金融会社において株不足が生じ、この株券を調達するために費用がかかった場合には、品貸料を授受することになります。
品貸料は1株当りで計算され、売り方(売建株)から徴収し買い方(買建株)に支払います。
・金利(日歩)
信用買いの顧客は、金利を支払う。
信用売りの顧客は、金利を受け取る。
金利は業者と顧客で自由に設定。
・信用取引貸株料
株券を借りて売る顧客は、株券を借りる費用として信用取引貸株料を業者に支払う
(売方のみ)。
・品貸料(逆日歩)
貸借取引での融資株数よりも貸株数が多くなった場合に発生。
証券金融会社が他の金融機関から借りる費用。
売り方は支払い、買い方は受け取る。
業者と顧客が自由に設定。
・金利・信用取引貸株料・品貸料の計算期間
金利等の計算期間は次の通りです。違いに注意して覚えてください。
・金利・信用取引貸株料
金利及び信用取引貸株料は、新規売買成立日より3営業日目の受渡日から弁済売買成立日より3営業日目の受渡日までの両端入れで計算される。
・品貸料
品貸料は、新規売買成立日より3営業日目の受渡日から弁済売買成立日より3営業日目の受渡日の前日までの片端入れで計算される。
・信用取引の決済
・信用取引の弁済期限
・弁済期限
買付代金、売付株券の弁済期限は、約定日から3営業日目(受渡日)の翌日とし、その2営業日前の日(約定日の翌日)までに顧客から弁済の申し出がないと繰り延べる。
・制度信用の弁済繰り延べ
売買成立の日の6ヵ月目の応答日から起算して3営業日の日を超えることはできない。
・一般信用の弁済
顧客と金融商品取引業者とで自由に決定される。(最長6ヵ月の規定はない。)
・信用取引の弁済方法
信用取引の弁済方法には、差金決済(反対売買)と受渡決済(現渡し又は現引き)の2つの方法があります。
・差金決済
差金決済は、買建株については転売により現金を返済し、売建株については買戻しにより株券を返済し、それぞれ差金の受払いを行います。
・受渡決済
受渡決済は、買建株については現引き(現金を渡す)して株券を受け取り、売建株については現渡し(当該株券を渡す)して売却代金を受け取る方法です。
・信用取引の権利処理
信用取引では、取引期間中に配当落ちなどによって株価が下落することがありますが、このときには適正な処理によって、買い方と売り方の損益調整が必要になってきます。
株式分割があった場合には、原則として「株式を受ける権利等の価格」に相当する金銭を、信用売顧客から徴収し、信用買顧客に支払います。
・信用取引の規制
取引所は、信用取引制度の健全な運営を図るため、次のような管理運営を行っています。
①日々公表基準(ガイドライン)の設定・運用
信用取引の利用の行き過ぎを防止するため
→ ガイドラインに触れた銘柄を公表する。
※あくまでも注意を促すものであり、規制銘柄ではありません。
②信用取引の規制
株価の急激な乱高下など、行き過ぎがあるとき
→ 委託保証金の徴収率引き上げ、売買制限・停止などが行われる
③規制銘柄の勧誘制限
以下の場合、信用取引の勧誘の自粛を行う。
→ 禁止ではない
取引所が信用取引の規制又は禁止措置を行っている銘柄
証券金融会社が貸株利用等の申込制限又は申込停止を行っている銘柄
・外国株式信用取引
外国株式信用取引とは、協会員が顧客に国内において信用を供与して行う外国の金融商品市場における有価証券の売買の委託の媒介、取次ぎ又は代理であって、現地取次証券業者から協会員又は顧客が信用の供与を受けないものをいいます。
なお、対象となる株式は、米国に所在する適格外国金融商品市場に上場されているもので、協会が定める「銘柄選定等に係るガイドライン」に基づき、金融商品取引業者が選定した銘柄とされています。
なお、外国株式信用取引は、国内株式の信用取引に比べて、厳しい規則が設けられています。
・契約の締結等
・取引開始基準の設定
協会員は、外国株式信用取引を行うにあたっては、取引開始基準を定め、当該基準に適合した顧客との間で当該取引等の契約を締結しなければなりません。
・外国株式信用取引口座の開設
協会員は、顧客との間で外国株式信用取引を行うにあたっては、顧客から「外国株式信用取引口座設定約諾書」を受け入れ、「国内株式信用取引口座」とは別口座の「外国株式信用取引口座」を設定しなければなりません。
・委託保証金の受け入れ
最低保証金
協会員は、外国株式信用取引による売付け又は買付けが成立したときは、委託保証金を約定日から起算して3営業日目の会員が指定する日時までに、顧客から受け入れなければなりません。
なお、最低保証金は、外国株式信用取引の約定価額の100分の50を乗じて得た額とされています。
ただし、当該金額が30万円相当以上の額として会員が定める米ドル通貨の額(以下「最低委託保証金設定額」といいます。)を下回るときは、当該最低委託保証金設定額とされています。
委託保証金として受け入れる金銭の種類等
協会員が顧客から外国株式信用取引に係る委託保証金として受け入れることのできる金銭は、米ドル通貨又は円貨となります。
円貨により受け入れる場合には、協会員が指定する外国為替相場により米ドル通貨に換算した額に100分の95を乗じた額とします。
なお、外国株式信用取引に係る委託保証金については、有価証券をもって代用することも可能ですが、外国株式信用取引に係る保証金代用有価証券の現金換算率(代用掛目)は、国内株式の信用取引より低い値となっています。
委託保証金の維持
外国株式信用取引に係る一切の有価証券の約定価額に100分の30を乗じて得た額を下回ることとなったときは、当該金額を維持するために必要な額を、当該顧客からその損失計算が生じた日から起算して3営業日目の会員が指定する日時までに、追加で保証金を受け入れなければなりません。
本日はここまでとします。
次回は「先物取引」について記載していきます。
よかったら参考にしてください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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